<第11話> 振り返り
N市の海沿いでの聞き込み調査は、収穫となるような情報を得る事が出来なかった。
写真を見て、N市の綺麗な白浜海岸の話を教えてくれた親切な方がいた。市の西に位置する五島列島まで渡ると良いらしい。当然の事だが、五島の中に探している島は存在しなかった。
父に旅行中は村を探すだけではなく、観光も楽しむようにと言われたので中華街も見て回った。
それなりの観光もして、ホテルに戻って来た僕は、今日一日、頭の中に何かが引っかかっていた。
まず第一に気になっていた「夢」の字の草冠が切れていたという事。
僕は、旅行に持参してきていたノートパソコンを開き、IMEパッドを使って手入力で入力した。
しかし島の情報は、やはり何も出て来なかった。
そして島についての情報。
本当に何も得られなかったのか・・・。
そうじゃない。
島について、何かを知っていそうな人物がいたんだ。
派出所で会った巡査部長は、明らかに何かを知っていた・・・。
そして、、、
どうしてこれを忘れてしまっていたんだろう。
僕は、引っかかりの原因が分かった。
僕は、巡査部長の表情と似た表情を浮かべた人物がいた事を思い出した。
写真を見た時に一瞬同じような表情を、父がしたのだ・・・。
でも、どうして二人がそんな表情をしたのか・・・。
まだ情報が不足し過ぎなんだ。
これでは、何も分からないよ。
・・・明日も頑張らないとな・・・。
僕は、明日も頑張る為に、今日の良い所を考える事にした。
村探索の成果は何も上がらなかった・・・。
だけど、天気はとても良かった。
そして、N市の観光は、楽しかった。
これを素直に喜んで、旅行の一日目を終える事にしよう。