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黒曜石の呪縛  作者: 紗 織
本編
11/129

<第11話> 振り返り

  派出所から追い払われるように出されて、気落ちをしてしまった影響もあったのだろうか?


  青野の旅行初日、N市の海沿いでの聞き込み調査は、収穫となるような情報を何一つ得る事が出来なかった。



  もちろん、いつまでも落ち込んでいた訳ではない。


  それは、道すがら目が合った優しそうな方に話しかけていく旅行は、青野の気持ちを十分楽しくさせてくれていたからである。



  例えば、写真を見て、同じように美しい海岸があると話をしてくれたご老人がいた。


  N市で有名な白浜海岸の話だった。


  市の西に位置する五島列島まで船で渡ると、そこはたいそう美しい白浜の海岸線が続いていて、とても見ごたえがあると教えてくれたのだ。




  僕は、確認のためにもちろん『光輝夢村』について聞いてはみたものの、五島列島でそんな村名は聞いた事は無いという回答だった。





  次に僕は、中華街にも行ってみた。


  父に旅行中は村を探すだけではなく、観光もきちんとして楽しむようにと言われたのを思い出したからだ。



  中華街では、おすすめと紹介してもらった美味しそうな一口肉まんを食べた。



  そしてそれなりの観光をした後、夕方ホテルにチェックインをした。




  部屋でゆっくりと過ごしていた時、僕は、今日一日頭の中にずっと引っかかっていた事について改めて考えることにした。



  まず第一に気になっていたのは、派出所の警察官に教えてもらった『光輝夢村』の「夢」の字の草冠が切れていたという事実。



  僕は、旅行に持参してきていたノートパソコンを開き、IMEパッドを使って手入力で切れた草冠を入力した。



 (これで、もしかしたら村の名前の情報が何か出てくるかもしれない・・・)



  しかし残念な事に『光輝夢村』についての情報は、やはり何1つ出て来なかった。






  次に島についての情報。



  本当に僕は今日1日、何も得られなかったのか・・・。



  いいや、そうじゃない。


  島について、何かを知っていそうな人物がいたんだ。


  そう。派出所で会った巡査部長は、明らかに何かを知っていた・・・。





  そして・・・




  どうして今までこれを忘れてしまっていたんだろう。


  僕は、ここまできて頭の中の引っかかりの原因がようやく分かった。



  僕は、巡査部長が写真を見た時、彼がさも迷惑そうな表情を浮かべていたのを見逃さなかった。


  そして、同じように写真を見た時に、表情は異なっていたが、何かを知っている素振りをした人物がいたじゃないか。




  写真を見た時に一瞬驚きの表情を浮かべた人物・・・。


  そう、我が父がしたのだ・・・。




  という事は、父も何かを知っているのだ・・・。


 




  でも、どうして二人は、何も教えてくれずにそんな表情をしたのだろう・・・?





  まだ情報が不足し過ぎなんだ。


  これでは、何も分からないよ。






   ・・・明日も頑張らないとな・・・。






  僕は、明日も頑張る為に、今日の良い所を考える事にした。


  村探索の成果は何も上がらなかった・・・。



  だけど・・・、



  天気はとても良かった。


  そして、N市の観光は、楽しかった。

  


  これを素直に喜んで、旅行の一日目を終える事にしよう。



  結局、巡査部長と父の表情の謎は何も解けないままだった。


  しかし僕は、ゆっくりとベッドで休むことを決めた。

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