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<第107話> 村長の告白 ①
「青野さん、そんなに何回も謝らなくていい。これは君のせいで起きた事ではない。
それに私は、君に心から感謝しているんだよ。
だってそうだろう。
君は、今日私に大切な真実を教えに来てくれた・・・。
『あの時私が見つけた黒曜石は、凶器では無かったという真実をだ。』
私がどんなに心から願い続けても、もう決して叶わない夢と諦めていた事を、それこそが真実であったと教えてくれる日が来るなんて・・・。
まだ信じられない・・・。
だが、真実だった!
ありがとう・・・。本当にありがとう。」
村長は、嬉しそうに瞳に涙を浮かべながら話していた。
「青野さん、聞いて欲しい。
私が生涯をかけて守り続けようと決めていた秘密を・・・。
私の独りよがりな過ちの話を・・・。」
話を始めた村長の瞳は青野を見てはいなかった。
もっとずっと遠くを見つめていた。
そう・・・。
村長は、事件当日に想いを馳せていたのだ。