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いずれ最強伝説  作者: piccle
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疑わしきは罰せよ!

 拝啓、父さん、母さん

 僕は今、大変困った状況下にあります


 人はなぜ、同じ過ちを犯してしまうのでしょうか


 過去の体験から学び、次に活かす事ができることこそが人間の強みだと僕は考えています

 ですが、そんな人間でも同じことで間違えてしまうことはあります

 それはなぜか、一つには、間違えてしまった原因がちゃんと分かっていなかった事にあると僕は考えます

 分かっていたつもりでも分かっていなかった。それが同じ過ちを犯すという結果に繋がったのだと思います

 ただ、ここでひとつだけ言わせてください


「ねぇ!俺なんか悪いことしたぁ!?」


 この状況だけはマジで意味分からん!


「すぐ終わるからじっとしてて」

「ああ、分かった、ってなるかぁ!なんで手と足に枷をつけられて、その上で木にくくりつけられなきゃならないんだよ!」


 マジで、俺何か悪いことした?

 そう思いながら俺は今日までのことを思い返してみる




 精霊国家エルフーンに到着して調査を開始してから既に2週間。調査に進展はあったものの、それは微々たるもので、唯一分かっているのは


 エルフの大人たちは、子供が攫われたと推測される時間帯の記憶の一切が抜け落ちている


 ということだった

 しかも奇妙な事に、記憶がない時間もいつも通り仕事をしていたらしく、つまりは、意識がない状態でもエルフの大人たちは活動していたというのだ

 俺たちはこれを、かなり強力な集団催眠などの精神干渉系能力者の仕業だと断定し、ある対策をとった

 まぁ、これは至ってシンプルで

 いろんな場所に点在するエルフの集落全てに、中央部へと集結するよう指示し、俺が超広範囲の探知魔法と探知能力、さらに結界に干渉した探知能力の3つで敵を探すという力技だ

 探知能力を三つ重ね掛けするのはさすがに精神的な面で負担が大きかったが、その効果は凄まじいもので、探知範囲に存在するものなら何でもわかる

 それこそ、地中でミミズが数ミリ移動した程度であろうともだ

 だが、最初この方法はダイアたちに反対された。なぜかというと、俺が寝ずに起きている間ずっと効果を発動していると思われたからだ

 まぁ、実際にはそんなことはなく、俺に限界が来たら別世界線の俺を能力で連れてきて、そっちの世界の俺に記憶を付与してから別世界線で回復するまで休む、ということをひたすら繰り返していただけだ

 ダイアたちには、能力で作り出した分身と交代でやっていると説明した

 そして、この対策に効果があったといえるのかは分からないが、子供が攫われるということはなかった

 ただ、結局のところ、事件の解決へは進んでいないので 今日も事件現場を回って手がかりを探そう

 と、思っていたのだが


「ねぇ、クロス。ちょっと来てくれない?」

「おう、いいぞ」


 ダイアから突然呼び出された

 なにごとかと思いながらダイアの後についていくと


「お、来たね」


 そこには、マリカとアッシュ、それにユーシア、ベニザクラ、ビライトがいた


「このメンバーが一度に集まるなんて初めてあった日以来だな。どうしたんだ?」

「まぁ、まぁ、とりあえずはこれを」

「ん?……あの、俺なにかしましたか」

「いいからいいから」


 そう言いながら、マリカが渡してきたのは手錠だった。しかもその手錠、少し見ただけでわかるほど、明らかに


 デカイ!


 超凶暴な魔物を拘束しておくぐらい大きな手枷、その分厚さは、たまに見かける分厚い本とは比べ物にならないほど大きく、さらに手枷からは1メートル以上はあるだろう大きな鎖がつながっていた


「てか、今普通に受け取ったけど、これめっちゃ重いな。よく片手で持てたなマリカ」

「え?なに?私に筋肉ゴリラって言いたいわけ?」

「そうは言ってねぇよ」

「ダイアならともかく私は違うんだからね」

「マリカちゃん!?私のこと筋肉ゴリラだと思ってたの?!」

「あー、まぁダイアはな」

「クロスまで!?…アッシュちゃん、アッシュちゃんは違うよね。そう思ってないよね」

「……フイッ」

「アッシュちゃん!?なんで目を逸らすの?」


 アッシュちゃん?おーい

 ちょ、やめてください。こっち見ないでください

 アッシュちゃん?!


 …いつも通りだな。別に何かあったわけではないのか。まぁ、気晴らしというか、息抜きに何かやるんだろう。これでみんなが満足するなら、まぁ、いっか


「ほら、付けたぞ」

「それじゃこっちも」

「…足の分まであるのかよ」


 まぁ、いいけど、いいけどさ

 なんか囚人みたいだな


「付けたぞ。これ超動きづらいな。それで、俺はどうすればいいんだ?」

「それじゃこっち来て。木に縛り付けるから」


 え?俺何されるの


 そう思いながらもダイアたちのいう通りにし、木へと縛り付けられた俺、

 そんな俺にダイアたちから告げられたのは


「それでは被告人、クロスへの刑罰を執行します!」

「「はい!」」

「え?」


 理不尽な刑の宣告だった

 そして、時は今に至る


「さて、被告人、あなたは自分が犯した罪について自覚していますか?」


 そう言いながらダイアがみんなから一歩前に出て、剣の切っ先を俺に突きつける


「ちょ、ちょっと待ってくれ」


 つ、罪?…俺本当に覚えがないんだが。なんか無自覚にやってたか?


「アナタにはある疑いがかけられています。それは」

「おう」

「敵に操られており、敵に力を貸しているという疑いです」

「おう…はぁ?!」


 俺が力を貸してるだって?!


「ちょ、ちょっと待てよ。そんな事した覚えはないぞ」

「そりゃそうだよ。クロスが自覚してるわけない。だから、言ったでしょ?操られてって」

「マリカ。いや、それよりも俺が操られてるだって?俺がそんな精神干渉系の魔法に掛かるほど精神が弱いと思うのか?それに、もしそんな魔法を掛けられていたら俺の身体には俺以外の魔力が残ってるはずだろ?でも、そんな魔力は感じな…」


 まさか、みんなが言おうとしてるのは


「俺は何者かに操られていたのか。魔力を一切必要としない能力、そう、オーバーロードの能力で」

「うん、多分そうだと思う」

「多分?」

「私たちも確信があるわけじゃないんだよ。ただね、クロスが探知させるために出した分身とね、今ここにいるクロスがね、ちょっと違うんだよね」

「分身と俺が違う、だって?」


 そんなバカな事があるか。だってアイツは、俺が連れてきた平行世界の俺本人だぞ、そんな事が…


「…どう違うんだ?」

「なんかね、身体の中というか、身体の中なんだけど身体の中じゃないみたいな場所に変な感じがあるの」


 なんじゃそりゃ?


「よく分かったな」

「「「「「!?」」」」」

「アイツの言ってたことは本当だったな。この能力を使って誰かを操った場合、本人やただの知人にはバレないけど、親友や恋人には一瞬でバレるってのは」

「ク、クロスなの?今喋ったのは」

「?なに言ってんだ。そうに決まってんだろ?」


 変なことを言うなぁ


「そっか、私たちの仮説は合ってたんだ。でも、本人の意識があったうえで、自覚はないまま操るなんて」

「お、おい、どうしたんだよみんな。急に険しい顔して」


 どうしたんだ、急に、まさか


「もしかして、俺、今、操られてたのか?」

「……うん」


 なっ、そんな感覚は一切なかったが、もしそれがホントなら


「ダイア、やってくれ」

「クロス」

「たぶんだけど、俺にかけられている能力を解除する方法は存在しない。俺たちが今考えている方法を除いては。そしてそれは、不死身の俺にしかできないことだ」


 おそらくこの能力は魔法やなんかじゃ解除できない。だが、俺ならそれを無理やり解除することができる。その方法とは


「それじゃいくよ」


 そういうと、ダイアは剣に希望の力を集め始める。


 希望の力によって俺にかけられている能力ごと俺を消し飛ばす。それから俺は肉体を再生させて再び魂をもとに戻す

 それしかない


「正気じゃねぇな。少しでも当てる範囲を失敗すればオーバーロードといえども消滅は免れないというのに」

「…あなたが誰かは知らないけど、クロスの身体をもとに戻させてもらうよ。それに、身体全体に当ててもクロスは消滅しないよ。必ず右腕だけは残るらしいから」

「?そんなわけが」

「よし、これだけ溜めれば十分かな。行くよ<消滅する希望の光(ホワイトブレス)>」


 その瞬間、クロスは眩い希望の光に包まれ


 ボト


 前回同様、右腕だけを残して消滅した



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