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いずれ最強伝説  作者: piccle
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対話

「…どうなっているんだ」


 俺は目の前に立っている男、確実に、今自分自身の能力でこの世界から完全に消滅させたはずの男を見て、そう呟いた


 おかしい。俺の能力は確実に発動していた。俺はアイツを確実に別の世界線に引きずり込み置いてきた。そのうえで世界線を統合した。アイツは完全に消滅したはずなんだ。それなのにアイツは


 消滅した場所から勝手に生まれてきた


 生まれてきた。この表現が正しいかは分からない。今、確実に分かっているのはアイツが俺の目の前に立っているということだ

 アイツが消滅してすぐは、何も起こらなかった。実際、俺もアイツが完全に消滅したものだと思ってユーシアたちのいるところへ急いで帰ろうとした。だがアイツは、消滅した場所から、もともとその場所に立っていたかのように、ふっと、再びこの世界線に現れた

 これが、コイツの能力なのか?


 クロスが、注意深く男を観察していると


「少し会話をしよう」

「…会話?」


 突然男が、そんなことを言った


「別にいいけどよ、俺たちで何を話すってんだ?お互いの名前すらしらないのに」

「そうだね、まずは自己紹介からだよね。僕の名前は」

「な、まじで会話する気かよ」

「?今僕はそう言ったし、君も同意しただろ?」

「そりゃそうだが」


 なんなんだコイツ。考えてることがさっぱりわからねぇ。このタイミングで俺の前に現れたってことは敵に間違いはないんだろうが、なんでかコイツからは敵意ってやつを全く感じない

 俺を、エルフたちを害そうって気が感じられない

 それどころか、申し訳ない、したくてしてるわけじゃない、そう言いたいかのような()()()が伝わってくる

 ほんとに、なんなんだコイツ


「僕の名前はアイク・ホープ・ドリーマー。気軽にアイクって呼んでくれ」

「そうか。俺の名は、クロスだ」

「へー、ミドルネームがないってことは王国の人か。そうか、王国、豊かでいい国に生まれたね」

「え、どうも」

「今までいろんな国に病気を調べる目的でいったことはあるけど、その中でも王国は凄かったなぁ。あ、僕の生まれ育った国は帝国ヨルムンガンドなんだけどね。そこでは病気の治療に高度に研究された医薬品だけを用いることがほとんどなんだ。まぁ、理由はシンプルで、帝国は他国に比べて個々人の魔法の能力が著しく劣ってるんだ。魔法への研究が他国に比べて大幅に劣ってるんだよね。だから病気の治療をすることができる魔法医師が少ない。でも、魔法の技術では他国に追いつけない。そこで帝国が新たに可能性を模索したどり着いたのが科学の力。誰でも正しい使い方を知っていれば魔法医師には頼らずとも病気を完治することができる。医薬品っていうのはより多くの人を救うために考え出された素晴らしいものなんだ。まぁ、研究はまだ発展途中で治せない病気があることの方が多いから魔法医師にはどうしても劣ってしまうけどね」

「……」


 目の前で一人喋り続けるアイクという男、それに適当に相槌を打ちながらクロスは


 俺は一体何を聞かされているんだ!


 ひどく、困惑していた


 これじゃあ本当にただの会話じゃないか。コイツの考えていることが本当に分からない。コイツは何が目的なんだ。

 しかも、さっきから話を聞いていれば、帝国から来たとか、明らかに敵の情報につながることをボロボロと、本当になんなんだコイツは

 もしこれがただの時間稼ぎなら、それはそれで厄介だ。俺でも殺せない相手をダイアたちに相手させるわけにはいかない。俺は強制的にこの場に留まらざるをえない

 今ここで俺ができることは……会話、そう、会話ねぇ


「……いくつか質問してもいいか?」

「?なんだい」

「なんでエルフの子供たちを攫ったんだ?」

「うーん、それは話していいのか…まぁ、いいか。どうせ知られたところで大した問題じゃないし。ただ、前提条件としてクロス君、君は魂というものをどれほど理解しているのかな」

「魂だと」


 なんだ、エルフの子供たちと魂がどうつながるんだ


「どんな生物にも共通してあるもの、それが魂。目に見えないほど小さい虫であろうと生物ならすべてのものが持っている。そんな魂だが、君はどれくらい魂について理解しているんだい。もしかしてだけど、魂が自由に操れるなら死ぬことはない、程度ではないだろうね」

「…魔力の根源」

「うん。素晴らしい。そう、魂とは魔力の根源、人が魔法や特殊な能力を使う上でなくてはならないもの。それが魂だ。これは僕の主観が入ってるから伝わらなかったら申し訳ないんだけど、魔力っていうのはね、魂が燃焼することで発生するものなんだよ」

「魂の燃焼?」

「そう、魂の燃焼。すべての魂は、燃焼することで魂と精神、肉体を結びつけるエネルギーを生み出すんだよ。そして、その時に生まれたゴミ、何にも使われることなく残った低次元のエネルギー、それこそが魔力だ」

「なっ!ちょ、ちょっと待て」

「あまりに突拍子のないことで驚いたかい?」

「この魔力が、このエネルギーがゴミなのか?」

「そうだよ」


 う、嘘だろ。これが、今俺の身体中を流れてるこの膨大なエネルギーが、ゴミ?

<絶対暴君>のような魔法すら使えるこのエネルギーがゴミ?


「さて、ここで問題だけど、別の人間の魂同士を融合させた場合、どんな問題が起こると思う?」

「は?」


 別の人間の魂同士の融合だと、まさか、コイツらがやろうとしてるのは


「ふざけんな、そんなことやらせねぇ。俺がエルフの子供たち全員を助け出す」

「今ので僕たちのやろうとしてること全部分かったのか」

「全部じゃねぇよ。お前らがエルフの子供たちを何かを合成する素体にしようとしてる事が分かったぐらいだ」

「それでも凄いな。一応解説するよ。別の人間同士の魂は融合すると非常に強い反発を起こす。それはなぜか。答えは簡単、長い年月をかけて生成された非常に強固な精神が互いに拒絶するから。では、どうすればいいのか。これも簡単。まだ精神が完全に形成されてない子供の無垢な魂を使えばいい。無垢な魂は互いを拒絶することなく、寧ろそうある事が当然とでもいうかのように受け入れる」

「なるほどな、そうしてできた数十人分の魂を持った生物を人工的に創り出す、そういうことか」


 だが、なんのために?おそらくそうして誕生した生物は怪物に間違いないだろうが、それは人間に制御できるものなのか?帝国の兵器として運用するつもりだとしたら、なぜ他国の人間を使う

 自国の人間を使えばバレることはなかったはず、それこそ、15年前の宗教団体が儀式を完遂したように


「創り出す、それは正確には違うな。僕たちは儀式によって100人を超える子供たちを犠牲にすることによって、この世に神を誕生させる」

「神、だと。お前ら、15年前に宗教団体がやろうとしたことを再現しようとしてるのか」

「宗教団体?なんの話だ」

「?まさか、知らないはずがないだろ?」


 15年ほど前、帝国ヨルムンガンドにて、数百人に及ぶ才能ある子供たちが宗教団体が行った儀式によって犠牲になった

 その際、勇者クラスが複数人いないと討伐できない化け物が誕生したらしいが、それは軍ではなく、当時そこへ旅行で行っていた冒険者たちが討伐したらしい

 当然、帝国で起こった大事件なのだから知っていてもおかしくないのだが、


「な、なんだその話。そんな話、僕は知らないぞ」


 どういうわけか、しらないようで、誰が見て分かるほどに動揺していた


「それよりも15年前はキメラ病が大流行していて、」


 キメラ病?


「なんだその病気、初めて聞くな」

「っ!キメラ病を知らないのか…どういうことだ。アイツ、何を隠してやがる!」


 隠してる?ただ、知らないだけじゃなくて


「…!記憶の消失!」

「君、どこでその事を」


 今の言い方から推測するに、敵にはもう一人


 オーバーロードから記憶を消す事ができる


 そんな人間がいる

 はやく、ダイアたちに伝えないと

 だが、


「君はここから逃げる事はできないよ」

「逃げるだって?俺が?俺はお前のことを監視してるんだぜ?逃げるって言葉は俺にふさわしくないな」


 そう、ここから離れるわけにはいかない


「…まぁ、いいさ。どうせ君が気づいたところで無意味なんだ。しばらくこうして時間を潰させてもらおうか」




「ふざけてるのか?第3フェーズの力を使わないで俺に勝つつもりなのか。お前ほどの実力者がまさか第3フェーズにすら到達してないなんてありえないからな」

「くっ、」

「それに、お前がいま使っているその能力、お前のものじゃないな?超高速回復、そして、大量殺戮を行うこと前提の能力、明らかにお前に合ってないし、なにより思想に反してる。その禍々しい力は、希望の力を扱うもの、希望を束ねし者(オーバーロード)のものではない」

「…第3フェーズは、使わない。その力を使い続けた先、最後に求められる代償を俺は知っている」

「希望の象徴は時の流れによって無理やり塗り替えられる。俺たちはただ、与えられた役割、人類の希望を守る事だけに集中すればいい。消失を恐れていたら何も成せない。そうだろ?」

「…だが!俺は、お前のしようとしている事を許すことはできない!」

「犠牲なくして真の平和を掴み取ることなど、不可能だ。俺は、尊い犠牲のもとに神を誕生させる。光と闇、両方の力を兼ね備える神をこの世に誕生させることで俺は、魔死領域の最奥にいる存在、世界へと絶望を振りまく絶望の集約体


 ()()()()()


 を消滅させる」

「なっ!お前、アレに手を出すつもりなのか。やめろ、下手に手を出したらどうなるか」

「だからこそ、俺は多大な犠牲を払って神を誕生させ、万全の状態でヤツに挑もうとしている」

「お前、魔死領域を完全に消すつもりなのか」

「そうだ、俺たちオーバーロードが長い年月をかけて、多くの血と犠牲を払って希望を守り続けてきた歴史は、俺の代で終わらせる」

「だが、その儀式、確実に成功する保証はないんだろ」

「…そうか、そういえばお前からは記憶を奪っていたんだったな。お前たちが戦ったものの記憶を」

「何を言って…!」

「記憶を戻した。お前は過去に一度戦っていたな。俺が創り出した失敗作、光と闇を兼ね備えた、神格を持たないただの怪物と」

「なっ!お前はまさか!あの時の」

「どれだけ時間が経とうと、人は変わらないものだな。俺はあれから多くのことを経験したが、結局は今もこうして教祖をやっている。それで、どうだ?お前は知っているだろ?不完全ながらも絶対的だった神の力を」

「…」

「俺はアレを、今度はもっと強く、そして、完璧な状態で誕生させる事ができる、それに、お前も知ってるよな。俺のオーバーロードとしての能力を。あの時、身をもって経験しているよな。俺はあの力を誕生させた神に使って力を吸収するつもりだ」

「…」

「思想は違えど、俺たちの目指す最終的な目標は同じはずだ。その上で言おう、俺と手を組まないか。アレン」


投稿し忘れてた


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