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いずれ最強伝説  作者: piccle
88/114

内緒話

 ピシッ 


 夜遅く、全てが漆黒に染まり灯りの炎までもが闇に包まれるような時間に


 ピシッ


 何かが砕けるような、そんな音が小さく響き


「…?なに?この音?」

「…なんでしょう?気になりますね。マリカさん」

「ん、なに?眠いんだけど」


 来客者用の部屋で寝ていたダイアたちは目を覚ました


 ピシッ ピシッ ピシッ!!


 その、何かが砕けるような音はダイアたちが目覚めた後も止む事なく、次第に大きくなっていき

 それにつれてダイアたちの警戒心は高まっていく

 そして、


「!ダイアさん!これ!」

「!これは…」

「空間が裂けてるね」


 ついに音の正体、広がり続ける空間の裂け目を見つけた


「なんですかコレ、初めて見ました。これ、誰かを呼んでくるべきじゃないですか?私、クロスさんを呼んできます」


 そう言いながら、少し慌てたような様子で部屋から飛び出そうとするアッシュを


「まぁ、落ち着きなってアッシュ」


 ダイアは引き留める


「…もしかして、コレがなんだか分かるんですか?」

「いや、分からないよ」

「なら、やっぱり」

「分からないことが答えだよ。アッシュ」

「え?」

「アッシュも、私も見たことがない、それが答えだよ」

「どういうことですか?」

「簡単なことだよ。こんな事できる人間を私たちは一人しか知らない。まぁ、こんな時間になんの用かは分からないけど」

「人に聞かれたくはないってことは分かる。もう入ってきていいよ」


 そうダイアが言った瞬間


 ピシッ!!!!


 今までで一番大きな音が鳴るとともに空間が縦に引き裂かれ、


 ガシッ


 その空間の裂け目に指がかけられた。その指は空間を横に押し広げ、中から現れたのは


「さすがだな。俺のことをよく分かってる」


 漆黒の衣に身を包んだクロスだった


「部屋、明るくする?」

「いや、このままでいい。俺はただ、みんなに大事な事を伝えておこうと思っただけだからな」

「ふーん、私たち以外には話せない大事な事」

「クロスにはもう、だれが裏切り者なのか分かってるんだ」

「まぁな」

「え!もう分かったんですか?」

「ああ。結論から言うぜ?裏切り者はビライトだ」

「え!?あの人が」

「ふーん」

「そうなんだ」

「アッシュの反応はともかく、ふたりはあんま驚かないんだな」


 よほど驚いたのか、暗闇の中でもアッシュの動揺が伝わってくるが、それが余計にダイアとマリカの反応の薄さを強調していた


「私は能力で何か隠してるの分かってたから」

「そうだったら言えよ」

「ビライトさんがそうだって確信できなかったし、まぁ、なんか知ってるだろうなとは思ってけど」

「なるほどな。それで、ダイアは?」

「カン」

「ダイアらしいな」

「それでクロスさん、どうするんですか?」

「どうする、とは」

「わざわざ私たちにそのことを話したってことは、私たちになにかしてほしいことがあるんですよね?」

「まぁ、そうだな。俺はお前たちに頼みたいことがある。それは、ビライトの監視だ」

「?まだおよがせるの?クロスの魔法で記憶を見ちゃえばいいんじゃない?その方が早いでしょ?」

「それはもうやった。そのおかげでビライトが裏切り者だって確信できたんだが、その記憶に変な点が多くてな」

「変な点?」

「そう、変なんだよ、アイツの記憶。アイツの記憶、欠けてるんだよ」

「欠けてるって、それは記憶がちゃんと残ってないって事?」

「そうだ。そもそもの話、記憶が100%完璧に残っている人間なんかいない。人の記憶は必ず欠けてるものだ。その人間にとって興味がなかったりするものは特に。だが、アイツの記憶の欠け方はどう考えてもおかしい」

「どうおかしいの?」

「ダイアはさ、俺と世間話というか、まぁ、普段のさしあたりない特に中身のない会話をする時、その内容を覚えてるか?」

「うん、ここ数年のは全部覚えてるよ」

「そう、普通は忘れ…え、そうなの…」

「うん」


 あれ?俺ほとんど覚えてないんだけど、そういうもんなの?


「ダイアさん、普通そんなの覚えてませんよ」


 そうだよね


「そう?私は覚えてるけど」


 あれ?


「え?」

「そうだよね。マリカちゃんもクロスとの会話は全部覚えてるよね」

「うん」

「え?私がこれでマイノリティになることがあるんですか」

「コイツらおかしいよな」

「おかしいです」


 よかった。比較的常識のあるアッシュが言うなら間違いない。二人が躊躇いなく言うから、普通なら覚えているもんなのかと思ったわ


「対象がクロスなのが悪いんだよ。これがお父さんとかだったら話したことすら覚えてないよ」

「それはそれでどうなんだ?まぁ、いいか。普通だったら…普通?普通ってなんだ?」

「ああ!二人のせいでクロスさんが!」

「ええー」

「これ私たちが悪いの?」

「クロスさん!しっかりしてください」




「それで、何がおかしいの?」

「ほら、はやく教えてよ」

「クロスさん、大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫だ。危うく思考の無限世界に堕ちるところだった」

「クロスさん…みなさん!クロスさんがまだおかしいです!」

「もう平常だっつーの。はぁ、説明を続けるぞ。それでだな、まぁ、ふつ…俺の場合だが」

「まだ引っかかってるんですね」

「誰かと会話したとき、内容を全部覚えていることはなくても、確実にあることは覚えている。それはなんだと思う?アッシュ!」

「え、どういう質問ですか…確実に覚えていること、う~ん、顔」

「まぁ、正解といえば正解だが、アッシュが意外と顔を見てるってことは分かったな」

「別にいいじゃないですか。いい顔を好きで何が悪いんですか!イケメンはいい目の保養になるんです!」

「いや、そこまで言ってねぇよ」


 なんか、アッシュの意外な一面をこんな風に知るとは思わなかったぞ


「さて、今アッシュが言った通り俺たちは会話した相手の顔、もっといえば会話した相手のことを覚えている。そうだな」

「まぁ、確かにそうだけど」

「それがどう関係してくるの?」

「ビライトの記憶の中にないんだよ。今回の事件の首謀者というか、協力者?みたいなやつ。確実にいることは分かっているんだ。ただ、そいつに関する記憶が一切残ってないんだよ」

「どういうこと?」

「ビライトの記憶の中には会話したという事実の記憶と、会話の内容だけが残っていて、それ以外の記憶、そいつがどんな見た目や声をしているか、それどころかどうやって会話や連絡を取っていたのかという記憶の全てが残ってないんだ」

「なるほどね。裏にいる犯人が全く分からない状態でビライトさんを捕まえるよりも、およがせることで犯人との繋がりを残して、時が来たらその犯人も捕まえる、そういうことだね?」

「話が早くて助かる。今言ったことを頭に入れておいて、もし何か動きがあったら<念話>で俺に教えてくれ」

「…クロス、それって」

「俺は俺にしかできない事をやってくる」


 はい、いつも通り単独行動です




「そういえばクロス、ここへはどうやって来たの?」

「ん?どうやってもなにも見てただろ?空間の狭間を移動してきたんだよ」

「いや、そうじゃなくて、魔法を使わないでどうやって来たの?ってこと。使ってないんでしょ?魔法。魔力が一切動いてなかったから空間が引き裂かれても私すぐには気づけなかったし、それに気配は?」

「気配?俺の気配がどうかしたのか?」

「私ここが一番不思議なんだけど、クロスの気配が二つあるんだよね。一つはここで、もう一つはクロスの使ってる客間の方から」

「…そこまで分かるのか」

「もしかして、新しい能力に目覚めたの?隠しごとはなしだよ?」

「いや、」


 目覚めたってのは間違ってるんだよな。この能力は、俺が<絶対暴君>を使えるようになった日からある

 正しく能力を理解したのはつい最近

 初めて使ったのはゴブリンロードに殺された時だけど、効果が俺の理解できる世界を大きく逸脱してたから本当に分からなかったんだよな

 それに、


「空間を自由に行き来することができる能力?へー、そんな能力まで身につけたんだ」


 どう説明すればいいのか分からない

 確かに副次的な効果でそういうこともできるけど、実際にはかなり違う

 それに、言ったところで理解してもらえないだろう


 並行・分離・分岐、そういった存在しうる全ての可能性世界線を基準である俺の世界線に統合する


 それが俺のオーバーロードとしての能力


 だなんて言っても、それは俺以外には確認のしようがないし、それに、俺が許可しなきゃダイアたちは今俺がした話を記憶に留めておくことができない

 それに、俺も正しく理解しただけで、別の世界線を統合することで何が起こるのか俺も完ぺきには理解していない


 今分かっていることは、大きく三つ


 俺は俺の能力によって存在する別の世界線に移動することができる

 基準となっている俺の世界線から大きく逸脱したものは統合しないほうがいい。そして、

 二つの世界線で()()()()二個ないものは消滅してしまう


 ということだ


 自分でも分からないことだらけのこの能力。必ず俺のものにしてみせる。そうすることが、この能力のさらに奥、この能力の深淵に到達し、アイツの言っていた俺が気づいてない能力に気付くキッカケになるはず


「それじゃあまた明日な」


<1÷2(ダイアモンド)=1>(・ロジック)


 二つの世界は統合され新たな1となる



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