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いずれ最強伝説  作者: piccle
82/114

新事実

「ここは…何もない」


 精霊凱からの攻撃を受けたはずの俺は、次の瞬間、なぜか何もない真っ白な空間へと転移させられていた


 …なんかこういうのも慣れてきたな。いきなり知らない場所にいる系

 ただ、今回は<絶対暴君>を発動した。それなのにこんな場所にいるってことは、精霊凱の攻撃は俺の<絶対暴君>の力じゃ抗えないぐらい強い力だったのか?

 もしそうだとすると、まさかだが、ここは


「死後の世界なんじゃないか。そう思うか?」

「!誰だ?」


 自分の目で確認した。何もないと思えたこの真っ白な空間で、突然クロスに話しかける存在がいた


「う~ん、誰だ、と言われてもな。説明のしようがねぇ。お前に説明するとして、一番分かりやすい表現があるとするなら、それはお前自身ってことだな」

「俺自身?だと」

「まぁ、そんなことは気にするな。それよりも今のこの状況だが、」

「俺になにか伝えたいことがあるんじゃないのか?」

「もの分かりがいいな。そうだ、俺はお前に伝えたいことがあってこの空間にお前の魂を呼び寄せた」

「なるほどな……ん?」


 魂を呼び寄せた?


「それ、俺の肉体死んでないか?向こうにある俺の肉体には魂が入ってないんだろ?」

「向こうでのお前の肉体は、状態的には死んでるのとほとんだ変わらないから魂がここにあっても大して問題じゃない。実際、お前の肉体は右腕だけを残して完全に消失した」

「は?それじゃあ俺は精霊凱の攻撃を防御できなかったってことか。だとしたら、なんでペンダントを掴んでた右腕は無事なんだよ」

「…意外だな。割とあっさりと受け入れるんだな」

「別に慌てることじゃないしな」


 アレンが前に言っていたオーバーロードの定義からすれば、この空間から向こうに戻ったとしても魂は自由に世界に干渉できる。

 だったら、普通に右腕をもとにして身体を作ればいい。ただ、それだけだ

 魂を肉体に定着させる方法は分からないけど、元が俺の身体なんだ。どうにかなるだろ


「普通は慌てるもんだが、まぁ、いい。それじゃまずここの説明だが、ここは、お前に分かりやすく言うと<消失した世界>だ」

「<消失した世界>?」

「まぁ、世界から消失したものが存在する世界もあるってことだ。お前の肉体は向こうの世界で消失した。だから俺はお前をここに呼び寄せることができた」

「なるほどな。なんとなく分かった」

「それで、お前をここに呼び寄せた理由だが、俺はお前に言いたいことがある」

「おう」

「お前はなぜ自分の力に気づかないふりをしてるんだ」

「おう?」


 どういうことだ?


「お前は俺と同列の力を持っている。それがどんな能力かは分からないが、お前にはとっくに発現しているはずだ」

「待て、意味が分からん。俺自身が気づいてない能力が俺にある、そう言いたいのか?」

「違う。お前自身が気づかないふりをしている能力だ」

「いや、それが意味が分からないんだって。なんで俺が自分の力から目を背けなきゃならないんだ。理由がないだろ」

「そうだな。普通なら意味が分からない。実際、俺の時も受け入れがたかった。だが、これは事実だ。お前にはすでにオーバーロードとしての能力が発現している。その力の狂気性、異常性から目を背けずに真正面から受け入れることでお前は更なる領域に足を踏み入れることができる。そして、その力こそがいずれ世界を救う力になる」

「ちょっと待て、何を言っている。話が飛躍しすぎだ。世界を救うってどういうことだ。それは俺にそうしろって言ってるのか?俺が知らないだけで世界には危機が訪れているのか?」

「正確には気づいてないだけでずっと世界の危機はお前たちすべての生物のそばにあり続けてきた。そばにあることが当たり前すぎて感覚が麻痺した人類がほとんどのようだがな。その点、アレンはよく己の力で世界の真相に気づいたと言える」

「まさか、魔死領域の魔物たちのことを言ってるのか。確かにあれは人類にとって脅威だが、それでも法則があるだろ?」

「魔死領域から出てくることはないってやつか?」


 昔から魔死領域の魔物たちを危険視する話はあった。だが、それが実際に人類に対して牙をむいたことは数回しかない。

 それはなぜか。理由は簡単

 魔死領域の魔物たちは自らのテリトリーから出たくないのか、人類の生活圏へと進行してきたことは少ないのだ

 それでも一匹によってもたらされた被害は尋常ではないから、戦争は起こりづらい。だが、めったなことがない限り攻めてくることはない。それが人類の共通認識だ

 だが、それは


「それは人類が自分たちが及ばない力と、そして、それすら凌駕する不可解な現象に楽観的な観測から勝手に決めつけたものだ。この世界に魔死領域の魔物を殺せる生物がどれほどいると思う」


 人類が勝手に見ていた幻想のようだ


「ちょっと待て、お前のその言い方だと、今までは魔死領域の魔物を殺すことができる何者かが間引いてきたから人類が滅んでいないだけで、もしその何者かがいなければとっくに人類は滅んでいたといっているように聞こえるんだが」

「実際そうだ。アレン含め、今まではオーバーロードがいない年が一年たりともなかったからまだすべての生物が死滅していないが、本来だったらこの世界はとっくの昔に無くなっていた」

「待てよ、それなら、今は俺とアレンがいる。自信を持って言えるが、人類の中だったら俺たちが最強だと思ってる。それでも世界の危機だっていうのか?」

「残念ながら、魔死領域の魔物はお前たちが気づいてないだけで、とてつもなく長い年月をかけて少しずつ本来の力を取り戻してきている。俺が力を削り取って封印したとしても有り余るほどの力が世界に溢れ出そうとしている。それを止めるのを、クロス、お前に頼みたい。」

「俺が、世界を」

「ああ、そうだ」


 …ダメだ。急にいろんなことを言われて考えがまとまらない。俺が気づかないふりをしている能力?世界の危機?俺が世界を救う?

 突然そんなことを言われて、はい、やります、そう言える人間が何人いるか

 もし即答する人間がいるとしたら、そいつは考えなしのバカだ

 少なくとも、俺は簡単にうなずくことができない


「俺が、やらなきゃ、俺が世界を救うために行動しなかったら、世界はどうなる」

「あと、数年で滅びる。お前の大事な人も、景色も、食べ物も、何もかもが闇に飲まれて消える」

「……」

「だが、俺はお前にこのことを強制しない。俺にはそんな権限もなければ力もない。とっくの昔に消失したただの亡霊だ。たとえお前が、最後の数年を好きな人たちと過ごしたいといっても俺は咎めやしない。お前がきめろ。クロス」


 俺が…


「まぁ、今すぐにとは言わない。お前がその気になりさえすればたとえ人類の9割が死滅したとしてもやり直せる。ただ、頭の片隅に入れておいてくれ。この世界の生物は滅びる寸前だということを」

「具体的には…具体的にはどうすればいいんだ。ただ、魔死領域の魔物を殺せばいいのか?」

「やる気になったか」

「違う。一応、やり方を聞いておきたいだけだ」

「それなら今言ったので問題ない」




「おっ、目が覚めたようだぜ。お嬢」


<消失した世界>から戻ってきた俺が初めに目にしたのは


「なに!本当か!おい!大丈夫か!身体に異常はないか!」


 超ドアップの姫さまの顔だった


「姫さま!いけませぬぞ!男の顔にそんなに顔を近づけては!男は皆ケダモノなのですから」

「意識を取り戻したばかりの人間がそんなことをするわけないだろう」

「近くでデケェ声出すなよ。うるせぇな。」

「わわっ、顔を近づけるな」

「キサマー!姫さまから離れろ」

「まじでうるせぇ」


 俺は地面に仰向けで寝かされていた状態から身体を起こし、手を握ったり閉じたりしてみる


 身体の動作に一切の異常なし。むしろ、身体がちょっと軽いか?調子がいいな。

 これが肉に魂を入れる感覚か。なんだか、わりと、あっさりできたな


「うるさいとはなんだ!お前のことを心配して」

「そうみたいだな。ありがとよ」


 精霊凱からの攻撃で吹き飛んだ肉体は、俺の魂がこっちに戻ってきた時には元に戻っていた。たぶん、さっきあったヤツが直してくれたんだろう

 まぁ、それでも服は消し飛んだままだったからか、姫さまが羽織っていたマントを上から被せてくれていたみたいだ


「なっ、急に立ち上がって大丈夫なのか?立ちくらみとかしないか?」


 …姫さますげぇ心配してくれるな


「心配してくれてありがとよ。まぁ、身体は大丈夫だ。むしろ調子がいいくらいだ」

 そうであろう

「…あ?なんでお前がそうであろうって言うんだ。俺はお前に今殺されかけたんだが」

 結果的に生きているから良いではないか。光は闇を祓うとともに、闇を強めることもある。お主がどっちのタイプなのか確かめる必要があったのだ。それに、我の<消失する光>のおかげでお主の肉体を蝕んでいた愚かな精霊たちの呪いは消えた。呪いのせいで起きていた身体の不調はすっかり消えたはずだ

「そう言われれば確かに、うっ、」


 クロスはうめき声を上げると、腹を抱えてその場に膝をついた


「どうした!大丈夫か!やっぱり何か身体に異常が」


 そんなクロスの様子を見て姫さまが慌てて心配してくるが


「めっちゃトイレ行きてぇ」

「え?」


 クロスの言葉を聞いてポカンとした表情を浮かべた


 そういや、あの日以来ずっと便秘気味だったんだよな。もしかしてそれこそが精霊の呪いだったのか?

 そんなわけなかろう!あれほどの呪いを一人の身に受けておいて生きてるのはオーバーロードと言えどありえないことなのだぞ!

 俺そんな規模で呪われてたの?呪いを知覚できないからイマイチ実感がわかねぇんだけど


「おいアンタ。本当に俺たちの敵じゃないんだな?」

「何度もそう言っただろ。俺は冒険者のクロスだ。」

「…そうか、その言葉、信じよう。お嬢!クロスを本拠点まで連れてってもいいですね?」

「いいぞ」

「いいのか?」

「お前には聞きたいことがたくさんある。俺たちに敵対する意志もないし、俺たちの力になってくれるって言うなら」

「だから力になるって言ってるだろ。それよりも早く案内してくれ、俺がトイレを我慢できなくなる前に」





投稿ペース 週一ぐらいになると思います

早くかけたら土曜日よりも前に

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