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いずれ最強伝説  作者: piccle
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戦闘

「弓部隊、矢を放て!」


 エルフの護り手がそう指示をすると同時に、空気を切り裂く音を立てながら鋭い矢が一斉にクロスを目がけて飛んでくる

 その矢の一本一本に人間どころか高位の魔物ですら簡単に貫くような力が込められており、一発でも着弾すればクロスは身体に大きな風穴を開けられてしまうだろう

 もし、当たればの話だが


「ほい、ほい、ほい」


 普通の人間なら反応することすらできない速度で飛来する矢であろうとも、クロスには関係ない

 クロスは絶え間なく撃ち込まれる矢の嵐を危なげもなく全て躱していく


 それを見てエルフたちは少しずつざわつき始める


「まさか飛来する矢の全てを認識できているとでもいうのか」

「そんなことがあるか!何か仕掛けがあるに違いない!」

「そうだ!認識できたからといってこの速度で飛来する矢を回避し続けるなどありえない。どんな仕掛けかは分からないが、そうでなければ我々が矢を外すなどありえない」

「…」


 今まで矢を外した経験がないのだろうか。クロスに矢を回避され続けるという事態を受け、エルフたちは動揺しているようだった


 そもそもの話だが俺は感知能力で飛来する矢を全て認識できている。もっと言えば矢を放つ動作の時点からこの領域内の全てを認識できているのだ。

 俺にとって、動作から矢の軌道を予測するなど朝飯前のことだ

 まぁ、<偽りの世界>の効果で領域内の全てが認識可能になっているから、仕掛けがないというわけではないけど


 さて、このまま回避し続けることもできるけど、それじゃあ時間がかかるしらちがあかない


「そろそろ反撃させてもらおうか」

「!全員警戒!攻撃が来るぞ!」

「警戒しても無駄だと思うけどな。お前たちは自分の矢を喰らったことはあるか?」

「なんだと…全員矢を放つのをやめろ!」

「いい想像力を持ってるな。だが、遅すぎたな。地面にこぼれた水がもとあったグラスの中に戻らないように、一度放った矢はもう止まることができない<鏡写しの世界>」


 俺が魔法を発動した途端


「「「ぎゃああああああ!」」」


 俺を目掛けて飛んでいた矢は、ある地点で百八十度方向を転換し、エルフたちを蹴散らした

 まさかエルフたちも自分が放った矢に射抜かれるなど考えもしなかっただろうな

 矢の攻撃が当たらなかったのか無傷のエルフは数人いたが、それ以外のエルフは全身をズタボロにされた状態で地面に転がっていた


「まだやるか?」

「キサマ!よくもみんなを!」


 その光景を目の当たりにした護り手は、怒りに身を任せ俺に切りかかろうとして


「お嬢、落ち着け。一人で行っちゃだめだ」

「そうですぞ。激情は強い力になりますが、強すぎるがあまり毒にもなります。ここは一度冷静に」


 臣下と思わしき二人に羽交い絞めにされて無理矢理止められる


「こんなことをされて冷静でいろと!」

「そうです。ここは一度冷静に状況を分析し、コヤツに勝つ方法を考えるのです。どうやらコヤツは自分から攻撃してくる意思はないようですし」

「そこまで分かってるんならさっさと降伏してくんない?俺は仲間だって言ってるだろ?」

「ほざけ!これだけのエルフを殺しておいてお前が俺たちの仲間のわけがないだろ!」

「いや、殺してないんだが」


 俺が使った魔法<偽りの世界> これは俺が持つ究極の魔法<絶対暴君>を参考にして、作られた魔法だ。

 俺の持つ魔法の中でも最強に思える<絶対暴君>だが、これには大きな欠点が存在する。

 それはとてもありきたりで、誰にでも起こりうる問題なのだが、

 <絶対暴君>は魔力の消費が異常に多すぎる

 初めて発動したときは気づかなかったが、アッシュと初めて遭遇した日にこの問題が発覚した

 おそらく最初に使った時は周囲から魔力を吸い取る量が消費する魔力を大幅に上回っていたから気づかなかったんだろう

 だから俺は考えた。どうにかして魔力消費を抑えて<絶対暴君>に似たような効果をもった魔法を発動できないか。その結果生まれたのが 世界シリーズ だ

 俺が<偽りの世界>によって作り出したこの世界において、生死という概念は存在しない。すべてが俺によって認識され、すべての生物には死が訪れない(俺が死を与えない限り)

 次に俺が発動した<鏡写しの世界>だが、これは、同列に存在する反転した世界の空間を切断しつなぎ合わせただけ。だから俺から攻撃することはできないが向こうも攻撃できない

 ようは、鏡に写る自分目掛けて矢を放ったら、鏡の中にいる自分に矢が当たってしまった。ただそれだけのことなのだ。


「爺や。アレを使うよ」

「なっ、姫様、いけませぬ。その力はコントロールできていない。そんな状態で使えばどんなリスクがあるか、分かったものではありませぬ」

「そうだぜお嬢。まずはその力を使わないで勝つ方法を考えるんだ」


 …アイツ。自分のことを護りてだなんて言っていたが、アイツらの話しぶり的に、エルフのお姫様みたいだな。そして、その周りはお供の、歴戦の老兵、若く才能あふれる若大将。なんとも物語通りの

 爺や、お嬢、姫様か。おもしろいな

 ただ、


「手を抜いた状態で俺に勝てるとでも?<鏡写しの世界>は解除してやる。全力でかかってこい」

「アイツの言う通りだよ。私たちには精霊凱を使わないなんて言う選択肢はないんだよ。それに、逃げようにもここから脱出する方法は分からないし、なにより、みんなをこんな状態でおいてはいけない」

「姫様……」

「お嬢……」

「いや、


 殺してないんだが


 そう言ったクロスの言葉は先ほどと同様耳に届いていないのか、


「キサマを殺してみんなを里へ連れて帰る!」


 そう言いながら護り手は胸の位置にあったペンダントを手に取ると、それに魔力を込め始める

 込め始めるが


「なぁ、まだか?」

「もう少し待て!」


 いつまで経っても何かが起こりそうな雰囲気が出てこない

 周りの側近たちも


「なぁ、お嬢。それ以上は魔力の無駄だからやめようぜ」

「姫様、諦めてください。今日まで一度も精霊凱が発動したことがないのです。体調が万全でしたら起動できたかも知れませぬが、今日は、あの日でしょう」

「うるさい!今発動できなきゃ私たちに勝ち目はないんだ。諦めるもんか!あと、なんで爺やは私の周期まで知ってるんだよ!」

「臣下たるもの姫の生理の周期を知っておくのは当然のことかと」

「爺やが知ってるのは違うと思うよ?!」


 俺もなんか違うと思う。あと、


「使ったこともない力を実戦で使おうとしたのか?」

「なんだ、悪いか!そうしなきゃ勝てないんだから仕方ないだろ!諦めない心にこそ精霊凱は応えてくれるはずなんだ!エルフに伝わる秘伝書にもそう書いてあったし」

「ふーん」


 秘伝書ね。それじゃああのペンダントは歴代で受け継がれてきたものなのか


「ちょっと貸して」

「なっ、何をする」

「いいから」

「ああ!エルフに伝わる宝具が!」

「姫さま、今はその男の好きにさせましょう。我々に勝ち目はありません」

「そうだぜお嬢」

「二人とも?!」

「あきらめが良すぎるだろ」


 まぁ、もう2人は気付いてるからなんだろうな。矢を受けたエルフたちがもう元の状態で復活していて、こっちを眺めているってのを

 気づいてないのは護り手の姫さまだけじゃないのか

 なんだろうな。なんとなく分かってきたが、この姫さま、さてはポンコツだな。

 実力はあるはずなのにポンコツ、だから守りたくなってしまう、そういうタイプの姫さまだ。


「おい、何か分かったのか?」


 あ、やべ。余計なこと考えてないで宝具を見ないと…これか?


「なぁ、姫さま」

「姫さまって呼ぶな!」

「一つ聞きたいんだが、秘伝書には宝具専用の詠唱は書いてなかったのか?」

「詠唱だと?そんなものは書いてなかったぞ」

「おかしいな。この宝具の正統な使用者が初めて使用した際の詠唱が固定されるようになってるんだが」

「なぜそんなことが分かる」

「いや、ここに書いてあるじゃん」

「…まさかお前、魔法言語が読めるのか?」

「…それでどうなんだ?一度でも起動に成功していたら、その時の詠唱でいけるが」

「いや、起動に成功したことは一度もない」


 ふーん、じゃあ他に考えられるとしたら


「魔力が足りないんかな?」

「まさか、私はエルフ族の中でも飛び抜けて魔力が多いと言われてるんだぞ。そんな私の全魔力を込めても起動できないなんてことがあるか」

「さあ、試してみないと」

「試すだと」


 そう言った瞬間、俺は魔力をペンダントに向けて込め始める


 …なんだこれ、魔力の通りがめちゃくちゃ悪い。まるで、俺を拒んでるように魔力がペンダントから溢れ出しちまう。なんだこれ


「なっ、なんじゃこの魔力量」

「ぐっ、側に立ってるだけでも意識が飛びそうになる」

「コイツ、本当に何者だ」


 でも、ちょっとずつだが魔力の通りが良くなってきたぞ。この調子で無理矢理魔力を押し流し続けてみるか


 そうして魔力を流し続けること数分


「お、お嬢、精霊凱が」

「な、まさか、あれほど練習しても全く反応しなかったのに」


 少しずつ、少しずつ、純白の光を放ち始めるようになっていた


 よし、多分だがこのまま行けば起動できるはず、もっと魔力を込めれば


 そう、俺が考えた瞬間


 我は希望


 唐突に誰かの声が頭に響いた


 だれだ?

 我は希望、我は光、

 !もしかして、このペンダントが

 強い求めに応じて来てみたが、正統な使用者ではないようだな


「おい、コイツ、俺に話しかけてきたぞ」

「なんじゃと!?そんな馬鹿な」

「なっ、それは本当か!」


 おい、あの姫さまが使用者なんだ。

 …あの少女ではまだ役不足だな。まだ力が足りぬ。まだ、想いが足りぬ。光が足りぬ。

 なに?そうなのか、

 しかし、我を起こしたお主も、ヤツ同様闇の力を持つもの、これも因果か

 ヤツ?誰のことだ?

 だが、我には闇を祓うという役目がある。お主からもらった魔力、返させてもらうぞ

 は?それはどういうこ…


 俺が言い切る前に、精霊凱は周囲に霧散したはずの俺の魔力を集約し始めた

 そして、魔力が高まれば高まるほど、纏っていた光は強くなっていき


「くそっ!なんだこれ、手から離れねぇ!」


 俺の中にある本能が、危険だと警鐘を鳴らしていた


 どうなってんだ!


「お、おい、大丈夫なのかこれは」


 事態がよく分かってない姫さまが心配してくるが、俺はそれどころではなかった


 お主の中にある闇はやがて世界を包み込む巨大なものとなるだろう。もしかしたらヤツが目指した別の闇すら飲み干してしまうほど大きな力に

 だが、それもこの攻撃を耐えれればの話だが


 くそっ!仕方ない<絶対暴君>


 この世で最も純粋な光を喰らうがいい<消失の光>


最近、ウンパルンパにハマりました

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