表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いずれ最強伝説  作者: piccle
78/114

必然

「必然って言いたいのか?」


 そうクロスに言われた瞬間、俺は心の中で


 それは違う


 そう俺は思った

 必然。クロスが放ったその言葉からは、運命によってすべて決められている。そのようなニュアンスが感じられた。だが、実際には違う


 全ては俺が仕組んだことなのだ


「俺にはすべてが分かっている。この世の全てに気づいている」


 クロスが水の都に到着するずっと前、俺が粛清をしに王都へ行くよりも前からクロスの存在に俺は気づいていた

 この世界の中でひと際異質な魂を持つ男、それがクロスだ

 俺が気づかないはずがなかった


 やつは人ではない。だが、人でもある


 明らかにおかしい魂をもつクロスだが、俺は本来、やつには興味がなかった

 どちらかというと、王都に住んでいる一人の少女に興味があった

 その少女の魂も普通の人間からは大きくかけ離れている。平たく言えば、オーバーロードだ

 しかも彼女は生まれながらのオーバーロードだろう。俺の感知能力が完全に覚醒した時点で彼女はすでにオーバーロードになっていた


 おそらく持っている能力もあとから自力でオーバーロードに至った俺のものとは全く違うものなのだろう。いつか仲間に引き入れたい


 そう考えていた俺は


 ある日、その少女に近づいてくる特殊な魂に気づいた。それこそが


 クロスだった


 俺は当時危惧していた。この魂をもつものがその少女に悪影響を与え世界を救うための活動の妨げになってしまうのではないかと

 だが、それは杞憂だった


 そのクロスとその少女の魂は運命によって示しあわされているかのように引き合わされ、高まりあい、高位のものへと昇華されていった

 これは俺にとっては嬉しいことだった。少女の魂はより明るく、より強い魂の輝きを放つようになっていた


 だが、これが二年ほど前からぱたりと止んだ。理由は分からないがその魂は少女のもとを離れてしまった。それ以来、少女の魂が成長することがなかったかと言えばそうではない

 その魂と共にあった時に比べればゆっくりとだが、確実に成長していた


 だが、つい最近、またその少女の魂に変化が訪れたのだ


 再びその魂と少女が巡り合ったのだ

 俺はこれを喜んだ。この魂との再会が再び彼女の魂に更なる成長をもたらすだろうということを


 だが、それはすぐに不安へ転じてした

 その少女の魂はその魂と巡り合うことで激しい成長を始めた。が、同時に

 まっすぐだった魂にゆがみが入り始めた


 真っすぐな魂にこそ清く正しい思想が宿る。だが、この歪みかたはよくない。これは良く知っているゆがみかただ。これは、心が揺れ動き痛みを伴うことで生まれるものだ。きっと、彼女に何かが起こっているのだろう

 そう思った俺は彼女と触れあっている魂に注意をしながらいつでも動けるようにしていた

 そして、事件は起こった


 王都の付近で魔族が妙な動きをし、人類にとって脅威となる魔王種を使用していることが分かった。だが、俺はこれを傍観するつもりだった。王都に少女がいるかぎり魔族に対して敗北することは起こりえない。少女がいるかぎり魔王に人類が敗北することはありえない。だからこそ、俺は傍観した


 だが、その魔王種を周囲の精霊ごとクロスの魂が喰らった


 クロスの魂は著しい変化を遂げ、人間の身体に留めておくにはあまりに強すぎるものとなっていた。それこそ、彼の魂は精神を歪め肉体を破壊するまでに

 だが、それを彼はどうやってか抑え込んだ


 結果、彼は元の精神を保ったまま肉体が破壊され、再構築された

 俺と遭遇したころには

 未完全ではあるがオーバーロードになっていた

 クロスは魔法の力で蘇生していたから死なずに済んだと言っていたが、それは実はありえない。俺の剣はすべての事象を断ち切る


 肉体と精神、魂のつながりさえも


 だが、クロスは死なず


 まだないようだが、もしくは自覚していないだけか。クロスにもいつかオーバーロードにふさわしい能力が宿ることだろう


 俺はクロスの魂の変化が激しすぎたことからあらゆる予定をはやめて王都での粛清を実行した

 そうすれば、クロスが釣れると考えた


 そして、俺の想像通りクロスは現れた


 一目見て分かった。クロスは


 人間になんとかできる領域にすでにない。たとえ、神であろうとも

 これが成長して第二の災厄となってしまうのは防ぎたい

 だから俺は


 クロスを俺の過去が気になるように誘導し、あの施設へと近づけた


 偶然俺とクロスがあったというのは嘘。

 俺はクロスを始末するために近づいた。今度は確実に殺すために

 もしここに偶然性が介入していたとするならばそれは、近くになぜか聖女が一人で来ていたことだけだろう


 施設内でのクロスの変化は、俺の予想していた通りのものだった。クロスは全身を通常の人間には許容できないほどの呪いに汚染されていた。本来であればそのまま放置しておけば死ぬが、クロスの身体はその呪いを徐々に受け入れ適応し始めていた

 今回はその呪いは利用することにした。呪いに汚染されたものは邪悪なものからの干渉に極端に弱くなる。それこそ、クロスにぶつけた化け物のような

 クロスは徐々に追い詰められ、そのまま行けば死ぬ。かのように思えた

 ここでクロスに


「なぜ、クロスが<世界を照らす希望の光(サン)>を手にしている」


 予想外の進化が訪れた

 クロスが希望を象徴する剣を手にしていたのだ。

 サンはこの世界で唯一闇に干渉することができる聖剣、俺が探し求めてやまないもの

 それをなぜかクロスが持っていた

 必然、俺はクロスを殺すことができなくなってしまった



 クロスを救出後、俺は驚いた

 クロスが手にしていた剣が魔力へと還り霧散していったのだ

 クロスはこれがどういうことなのか理解していないようだったが、クロスは現物もなしにサンのような特殊な魔剣すら自身の魔力で一時的に生み出すことができるということだ

 そして、深まる謎はなぜ生み出された剣がサンと全く同じ見た目なのか。クロスはどこかでサンを直接見たことがあるんじゃないか

 それこそ、つい最近


 もしかしたら、クロスのすぐ側の誰かが


 俺はクロスを殺すという考えを止め、仲間に引き入れることにした


 天井の壁画に最近まで気づかなかったというのも嘘、本来の目的はあの壁画の謎をいつかクロスが自らの力で解いてこの世界の災厄に気づくこと


 それまでは


「もう一人をどうにかするか。もう一人のオーバーロードを」


 神は人類を見捨てた。祈るのはやめよう。真に世界を救うのは神ではない

 人類なのだ。神は俺の世界救済を傍観するだろう。神は人類の災厄への抗いのための行動の全てを傍観するだろう。たとえ


 悪魔のような所業が起ころうとも

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ