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いずれ最強伝説  作者: piccle
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地下遺跡の秘密

「なぁ、アレン。いいところってもしかしてお前の家のことなのか?」


 例の施設を離れてから歩き続けた結果、俺たちはアレンの家まで来ていた


「違うな。まぁ、俺の家の近所ではあるが、ちょっと待ってろ……さて、こんなもんでいいか」


 アレンは家の中からそこそこ大きい袋を持ってくるとそれを魔法袋の中にしまい込んだ


「今のは?」

「向こうについたら教える」


 そういうとアレンは再び歩き出してしまう

 しばらくそのまま一緒についていくと十分ほど歩いたところで


「ここだ」


 何もないところでアレンが立ち止まった


「…何もないが?」

「…クロス、お前は感知能力に頼りすぎだ。もう少し自分の目で周囲を観察した方がいいぞ」


 そう言いながらアレンはその場にしゃがみ込むと


 ガコッ


「こんな風に隠し通路があることがある」


 地面に完全に擬態していた地下へと続く隠し通路の扉を開いた


「うそ!そんなところに扉があるなんて気づかなかったぞ」


 なんで俺の感知能力や、<探知>に引っかからなかったんだ?


 そう不思議に思い考えていると


「何かを欺くときは下手に魔法を使って隠すよりも少しだけ手を加えてあとは自然と一体化させてしまうのが一番分かりにくい。自然は全てを包み込む。興味があれば精霊国家エルフーンに行ってみるといい。俺の言ったことがわかると思うぞ」


 そう言いながらアレンはどんどん地下へと降りて行ってしまう




「へぇ、地下にこんなもんがあったのか」


 地下へと続く階段を降り切ったところ、クロスの目の前には複数人が横に並んで歩けるほど広大な遺跡の道が続いていた


「地下遺跡に入る場所がこんなところにあるなんてな」

「…なんだ、知ってたのか」

「いや、冒険者ギルドの依頼書で読んで知ってるだけで、実際に来るのは初めてだ」

「依頼書だと?」

「知らないのか?」

「俺は冒険者ではないのでな」

「あぁ、まぁ、冒険者じゃなきゃ依頼書なんて見る機会すらねぇよな。実は…」


 それからクロスは冒険者ギルドで読んだ依頼書の内容について話したところで


「それ、俺だな」

「は?」


 アレンがそんなことを言った


「いや、今のどこにお前の要素があったんだよ」

「俺はこの遺跡が結構好きでな。ほぼ毎日時間帯はバラバラだが来てるんだ」

「…なんとなく分かったんだが」

「多分想像したことで間違いないぞ。この地下遺跡には図書館ぐらい広くて尚且つ頑丈な場所がある。俺はよくそこで鍛錬をする」

「それでお前の闘気にあてられて気絶すると?まさかとは思うがお前の闘気ってこの地下遺跡全部に届くとか言わないよな」

「いや、届くが」

「…」


 予想外すぎる。話を聞いた時点で遺跡内に睡眠を促す物質がガス状であるのか、もしくは人間が意識を保てなくなるような環境が自然にあるのかと思ってたが、まさかアレンが原因だったとは

 でもよ


「ちょっとおかしくないか?」

「なにがだ」

「この前の宰相の家で闘気を解放した時は勇者は気絶しなかっただろ」

「そうだな」

「なんで今回は勇者まで気絶してるんだ?何か違いでもあるのか?」

「あぁ、それはシンプルな話だ。闘気を抑えて解放していた。ただ、それだけだ」

「はぁ?!あれで抑えてたのかよ」


 それじゃあ闘気を抑えてなかったらそもそも勇者たちは戦わせてすらもらえなかったってのか?


「…あぁ、思い出した。お前だけには闘気を全力でぶつけた」

「…え、なんで?」


 ほんとになんで?


「いや、お前だったら別に制限する必要ないかと思って」

「俺だけ全力の闘気を受けたってこと?その方が闘気の制限難しくないのか」

「人によるが、俺は制限したい部分だけ制限する方が楽な方だな」

「それじゃあ俺以外が受けてた闘気って」

「お前が感じたのをかなり弱めたぐらいのやつだな」

「はぁー?!なんだよそれ。あの時マジで死ぬかと思ったんだけど」

「結果的に本来のお前を見ることができたから問題ないな。それに、今はもう隠してないんだろ?」

「…」


 確かにあの一件でダイアには俺様の本来の能力がバレたんだよな。ダイアの記憶を消してしまおうかとも思ったけど、それはしなかった

 なんだか、それだけはしてはいけない気がして

 だから隠してたこと全部話して、能力や魔力は自力でコントロールするハメになったけど、結果的には良かった

 隠してたこと話した時は怒られるかと思ったけど、ちゃんと話したおかげでダイアとももっと仲良くなれた気がする


「そうだ、俺、聞きたいことがあるんだ」

「なんだ?」

「あの施設のことだよ。アイツはなんなんだ。俺はそういうのを信じてないんだが、あれか、悪霊ってやつなのか?」

「…その前に、お前はどこまで見たんだ?お前はあの施設で何を見た」

「俺が見たのは、あのバケモン、それと、あの施設で何が起きたのか、そこまで」

「俺のことも見たのか」

「見た」

「そうか、なら、これは話しておくか。俺が持っていた能力について」

「持っていた?」

「あぁ、まずはお前が見たバケモンについてだが、あれは悪霊じゃない」

「断定するってことはアイツを言い表す正確な名称があるんだな」

「いや、そうじゃない。そもそも、お前は勘違いしている」

「勘違い?」

「あぁ、そうだ。お前は勘違いしている。そもそもお前が遭遇したバケモンは、生きている」

「……は?


 アンデッドの仲間じゃなくて?アイツが生者?


「ありえない。それはさすがにありえない。だって、アイツ」

「常識が通用しないバケモンなんていくらでもいる。特に、中層以降の魔死領域の魔物は意味が分からないものも多い」

「なんだと、それじゃああれは魔死領域の魔物なのか?」

「いや、そういうわけじゃない。余計なことを言ったな。……さて、お前が遭遇したバケモンだが、アイツは……俺が生み出してしまったものだ」

「…生み出してしまったって言ったな。つまりあれは、意図せず生まれたものなんだな」

「ああ……クロスは俺を見たと言ったな。それじゃあ俺の怒りも見たわけだ」

「そうだな。俺もあんな怒りを真正面から受けたのは初めてだ」

「そうか、それなら、俺がその時に抱いていた気持ちも分かるはずだ」

「憎い、殺してやる、だろ」

「それだけじゃない。俺はあの時、アイツら全員が永遠に苦しみ続ければいいと考えてしまったんだ」

「…まさか、それが原因でアイツらが生まれたわけじゃないだろ。いくらお前でもたった一人の人間の、それも思いなんかであんなバケモンが生まれるなんて」

「それがありえるんだ。俺は当時、<想うもの>という能力をもっていた」

「<想うもの>?祝福か?」

「違う。俺の<想うもの>は誰かから与えられたものじゃなくて俺自身の力で能力にまでしたものだ。世の中には俺と同じであることを突き詰めていった結果能力にまでした人間は一定数いる。俺はこれを”昇華”と呼んでる」

「それで、アレン、お前の<想うもの>はどういうもんだんだ」


 気軽にアレンに対して<想うもの>について聞いた俺は


「<想うもの>は、俺の想いの強さに比例して無限に力を俺に与えてくれる。もし、俺が心の底から世界の破壊を望んだらそれすらも可能にしてしまう。そういうものだ」


 アレンの言葉を聞いて驚いた


「それ最強じゃん」

「いや、そうでもない。想いが強ければ強いほど力を貸してくれるが、実際そこまでの想いは俺の制御できるものではない。だから、」

「永遠の苦しみで不死身のバケモンが誕生したというわけか」

「そうだ、だから、俺は<想うもの>を別のものにした」

「別のもの?」

「そうだ。俺にはもう<想うもの>はない。代わりに俺には<断裁>がある」

「<断裁>。それは<想うもの>に縛りを入れて効果を変えたものなのか?」

「その認識で間違いない。<断裁>は、俺が正しいことをしていると心の底から強く思うほど力を貸してくれるものだ。そしてそれは、<想うもの>とは比べ物にならないほど強い力になる」

「そうか。粛清をしているアレンにとってはぴったしの能力だな」

「まぁ……そうだな」

「?」


 それから俺は、アレンからウィンディーネの観光スポットなどの話を聞きながら歩き続け


「着いた、ここだ」


 アレンが言っていた通り、広大な広場まで来ていた


「本当に地下にこんな広場があるなんてな。物語だとこういう広場にはボスがいたり、聖剣あったりと特別な場所だったりするが、なにもないな」

「そりゃそうだろ。ここにいたボスは俺が殺したし、聖剣も俺が持って行ったからな」

「……え?マジ」

「ああ」

「ボスいたの?」

「ボスというか、都市の地下にいてはならないぐらい強いやつはいたな。たしか、精霊の守護者とかそんな名前だった気がする」

「聖剣あったのか?」

「あるぞ、ていうか、俺の持ってる剣<月光の吸血姫(ルナ)>は聖剣だぞ。ほら、あっちに台座がある」


 そう言ってアレンが指さしたところまで来るとそこには、アレンが言った通り台座があった

 しかし、


「なぁ、台座が二つあるんだが、もしかして聖剣は二つあったのか?それとも、一つはとっくに誰かに持ってかれていたのか?」


 どういうわけか台座が二つあった


「相反するものは、そのお互いのバランスを保つために常に側にいるものだ」

「今持ってないってことは、どっかにいったのか?」

「あぁ。あの日にどこかへ行ってしまった。」


 意思を持ち自由に動くことができる聖剣か。おもしろいな。昔読んだ冒険譚には人に変身できる魔剣とかあったな。そういうのは大抵美少女って相場決まってるもんだが


「ルナは人になって動けたりしないのか?」

「…できなくなった」

「できなくなった?どういう意味だ?」

「…剣に戦闘で使わない能力っているか?」


 ……!まさか、


「まさか、聖剣の人化能力を」

「いらないから消した」

「嘘だろ!もったいねぇ!」

「もったいないか?実際必要ないだろ人化能力なんて」

「む」


 そういわれるとそういう気がしてくる


「そもそもなんで人化能力なんてつけたんだ?製作者が誰かは知らないが聖剣ていうのは世界を救うための剣なんだろ?それなのに人化能力なんて無駄なものをつけて剣の持つ本来のスペックの最大限を出せなくしている。はっきり言って聖剣の製作者はふざけてるとしかいいようがない」

「うーん、まぁ、ロマン?」

「ロマンなんて命のかかった戦場においてもっともいらないものだろ」

「確かにそうだが、アレンは夢がねぇなぁ」


「それで、これがアレンが見せたかったものか?」

「違う。天井が見えるか?もし見えないなら閃光灯を持ってきてるが」


 そう言いながらアレンは持ってきた袋から閃光灯を取り出し天井を照らした


「アレは?」


 アレンが照らし出した場所、そこには


「古代の壁画と何かの記録だ」


 天井一面を埋め尽くす絵と、その周りに古代の文字がたくさん書き綴られていた


「急に the いかにも古代遺跡感が凄いな」

「俺がアレに気付いたのはつい最近だ。それまで天井を見なかったかと言われたらそういうことはない。何度も天井を見上げたことがあるはずなのについ最近まで気づかなかった。」

「へぇ、それは不思議だな。俺も言われなかったら天井を見ることすらしなかったから気づかなかったかもしれないが」

「それで俺は考えた。最近俺の周りで何か大きなことがなかったか。そうして考えついたのはお前との出会いだ」

「俺との出会いがどう関係してくるんだ?」

「時期的にもちょうどお前にあった直後だったし、もしかしたらお前に関係あるのかもと考えていたら、偶然俺の目の前にお前が現れた。いや、もしかしたらこれは偶然じゃないのかもしれないな。これは」

「必然って言いたいのか?」

「そうだ」

「意外だな。アレンが運命とか、因果を信仰してるなんて」

「まぁ、昔にいろいろあってな。俺たちの知らないところで繋がってるなんてのはよくあることだ。それに、俺に言われなかったら天井を見ることすらしなかったと言ったな。お前に天井のことを知らせるために俺が今ここにいる、そう考えることもできないか?」

「さすがに無理があるだろ」

「そうか?遅かれ早かれお前たちのパーティーはこの地下遺跡の攻略をしてたはずだろ?だが、お前と遺跡の壁画を見てるのはこの俺だ。もしかしたら俺とお前以外には見せてはいけないというものなのかもしれない」

「そんなこと言ったらこの世の全ては運命で導かれてるってことになるじゃないか。そんなの嫌だぞ。初めから決められた運命なんて」

「いや、俺が言ってるのは見えない部分で繋がってるってだけだ。」


 まぁ、アレンが言ってることも分からなくはない

 アレンの言ってる通りに今の状況を考えるなら


「俺は壁画を見た。だから、俺にはやらなければいけないことがある…壁画と古代文字の解析か。え、普通に嫌なんだが」

「まぁ、それは好きにすればいい。それに、あの絵、ただ見る分にも綺麗だろ。運命とか関係なくお前に見せたかった」


 たしかに綺麗だな


「あんなに綺麗なら<念写>で紙に写して持っておきたいな」

「紙なら持ってるぞ」


 そういうと、アレンは袋の中から白紙の束を取り出した


「うーん、運命」


 それを見てクロスは、少し複雑な気持ちになった



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