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いずれ最強伝説  作者: piccle
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本心

「へー、ここがアンタの家なのかー。なんていうか普通の家だな」

「…」


 少女と別れた俺たちは、大聖堂から王城方面に40分ほど歩き、本当に粛清騎士の家へと来ていた


 粛清騎士のことだから、剣とか鎧がたくさん置いてあるような倉庫っぽい家想像してたんだけどな、意外だ


「それにしてもアンタ…レアンって呼べばいいのか?」

「…アレンだ。」

「え?」

「レアンは俺の偽名だ。本当の名はアレン。俺たちしかいない場所だったらアレンで構わない」

「そうか、ならアレンって呼ばせてもらうぜ」

「ああ」

「それで、アレン、お前本当にいろんな人から好かれてるんだな」

「…」


 アレンの家へと向かう途中、俺たちは何人もの人たちに声をかけられた。本来であればここまでの移動は40分もかからなかったはずだが、話しかけてきた人全てに対応していたためこんなにも時間がかかった。

 そして、驚くことに、話しかけてきた人の誰もが

 レアンへの感謝の言葉を口にしていた


「アレンの名前がこの街の英雄の名前と同じなのも、偽名を使って生活してるのも詮索するつもりはないが、少なからずアレンが今の職業を作ったキッカケに関係してるんだろ?」

「いや、ほとんど関係ないが」

「あら?」


 そうなの


「人が心の底から世界を変えようと、そう思うキッカケはなんだと思う」


 粛清騎士が唐突にそんな質問をしてくる


「世界を変えようと思うキッカケ?」

「なんでもいい。思ったことをそのまま口にしてくれ」


 …世界を変えようと思うキッカケなんて、そんなの一つしかないだろ


「世界に絶望した時、だな」

「そうだ」

「…何があったんだ。あれほどの強さを持つアンタが絶望するなんて、何があったんだ」

「…思い知らされただけだ。いくら力を手に入れても守れないものがあることを。魔物以外にも人に害する魔物が存在することを。そして、世界平和の祈りなど意味はないということを」


 そう言う粛清騎士の横顔は、どこか、寂しそうに見えた


「アレン…お前、一体何を失っ…」

「この世界を本気で変えたいと思った。俺は、ただ傍観して真の平和とやらが訪れるのを待つだけの一般民衆でいるつもりはない。人を傷つけ、悲しませる悪人は




 全て俺の手で粛清する




 そう決めたから俺は、粛清をつづけている」


 ゴクリ


 そう言い切った粛清騎士に俺は、悪人がいなくなるまで粛清を続けるという確固たる意志と、粛清騎士なら粛清を完遂するだろうという凄みを感じた。そして、同時に、もし、粛清を完遂しても 


 世界が良くならなかったら


 粛清騎士はどうするのだろうという小さな疑問を抱いた




「それで、その話がどうカウンセラー?に繋がってくるんだ?」

「…犯罪者が存在するということは、同時に被害者も存在する」

「まぁ、そうだな」

「罪に大きいも小さいもないが、心に負う傷には大小がある。そう言った心の傷は被害者自身の精神に深く根付き一生消えることはない」

「…」

「悪いのは加害者なのにどうして被害者が苦しみ続けなければならない。どう考えてもおかしいだろ。」

「…」


 歪んでる


 粛清騎士の話を聞きながら、俺はそう思った


 言いたいことは分かる。言いたいことは分かるんだ。でも、だったらどうして


 こんなにも他人のことを思いやる気持ちが強いのに、こんなにも人の気持ちを大切にしようとする気持ちが強いのに、人の心を信じられないんだ

 アレンのしていることは、罪を犯したことのない人間の安全と心を守るために、悪人が心を改めて生きていくという可能性を完全に頭から排除したやり方だ

 初めから、人は変われないことを前提としたやり方だ。まるで、生まれながらに悪人と善人が決まっている、そう言われているような気がする


「俺は、そんな人たちの心も救いたい」

「…!アレン、お前…」


 アレンの瞳からは、涙の雫がこぼれ落ちていた


「…いかん、感情的になるとこうなる。俺はまだ、人間のようだな」

「それが、カウンセラーという職業を作った理由か」

「そうだ」

「…優しい理由だな。それで救える人間の数なんて、たかが知れてるだろうに」

「数なんて関係ない。自分に人を救う力があるならそうする。ただそれだけだ」


 そうして救われたのが、さっき話しかけてきた人たちか…あの人たち、みんな笑顔だったな


「あまり多くはないが、俺と会って心が救われたって人から俺の手伝いをしたいと言ってくれた人もいて、実際に数人雇って別々に活動している。俺の活動に懐疑的な人も少なくはないが、まぁ、それはできたばかりの職業だから仕方ない。人の心を救う仕事に対する認識がもっと広がってくれれば、もっと多くの人が幸せになれると思うんだがな」


 そういう粛清騎士の顔は、噴水前で見た笑顔とはまた違って、心の底からそう思ってるであろう笑顔に、俺は見えた


 これが世間の人が知らない粛清騎士本来の姿

 優しくて、まっすぐで、それでいて、


 歪んでる


「…話しすぎたな。もうこんな時間だ。仲間たちが心配してるだろう」

「…あ!」


 やべ、ダイアたちのことすっかり忘れてた!


「仲間とはかけがえのないものだ。大切にしろよ」

「分かってるよ…アレンはこの後予定があるのか?ないんだったら、お前のこと、仲間に紹介したい」

「!悪いな。俺は今日予定がある。仕事と、パトロールだ」

「パトロール?」

「犯罪者の粛清もいいが、治安維持も大事だからな」




 ・レアンのカウンセラー事業


 基本、衛兵や騎士団が保護した被害者の取り調べ後に担当

 稀に、冒険者ギルドから依頼が来ることも

 被害者の精神状態の改善によって捜査解決の糸口となったこともあるため、最近認められてきている






しばらく、本編じゃないこと、書きます

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