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いずれ最強伝説  作者: piccle
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衝撃的な登場

 そろそろ時間だ


 そう、誰かがつぶやいた

 時間にして夜の十二時、夜の闇は深まり、街灯と松明の明かりがなければ何も見えていないだろう


 まぁ、俺は感知能力があるからたとえ目が見えなくなったとしても何も問題ないんだが


 さて、粛清騎士、おまえはどれほどなんだ

 その場にいたすべての人間の視線は、宰相宅の門の向こう側を向いていた

 なぜ、全員が同じ場所を見ていたのか、普通なら宰相宅の全方位を囲んでどこから来るのか警戒するべきだが、それをしないのか。そこには、粛清騎士の行動には一定の規則性(というよりは儀式、禊というのが正しいだろう)があるからだ


 ・粛清対象を暗殺することはしない

 ・粛清対象者に対して正面から向き合い、守護するものをすべて倒してから対象者を粛清する


 そして、


「おい!お前たち!いくら粛清騎士が強くともビビるんじゃねえぞ!やつは悪人でなければ殺さねぇ!倒すべき相手だが、胸を借りるつもりで全力で挑め!」

 オウ!


 ・粛清対象者以外は殺さない、それどころか傷すら負わせない


 それが粛清騎士という人間だ。これはこの街に来る前からずっと続けている粛清騎士の信念とも言えるものだ。これが破られたことは一度もないし、おそらくこれが破られることもないだろう

 その証拠に


 前回は成すすべなく我々は敗北してしまった!今度こそやつに勝利し宰相様をお守りするのだ!


 騎士たちの中にはすでに粛清騎士と戦ったものもいるようだ

 というか、成すすべなく敗北したんなら来るなよ。思いっきり足手まといじゃないか


 カチ カチ カチ   ボォォ


 誰のものかもわからない懐中時計の針が進む音と、松明の炎が揺らぐ音だけがその場を支配し、緩やかに時間が流れていた

 そして、


 ザク ザク ザク ザク


「?なんか聞こえてこないか」


 ザク ザク ザク ザク


「確かに聞こえるぞ!足音だ!足音が聞こえるぞ!」


 ついに、粛清騎士が遠くから現れた

 特段早くも遅くもない

 ゆったりとした、まるで散歩でもしているかのように落ち着いた足運びで門へと近づいてくる


「あれが、粛清騎士…あれが…」

「あぁ、なんていうか…」


 普通だな


 それが、クロスの抱いた感想だった。粛清騎士の装いは兜に鎧、そして、一振りの剣というどこにでもいるような騎士の恰好だったからだ。おそらく、その場にいたほとんどの人間はそう感じたのではないだろうか


 ガチガチガチガチ


「ク、クロス、」

「…?ダイア?」


 一部の冒険者を除いて


「あの人が粛清騎士なんだよね…」

「あぁ、そうだな」

「あの人、ヤバい」


 そう、強張った表情でダイアはクロスに告げた


 ヤバい?ダイアが言うならそうなんだろう

 俺の感知能力は魔力量とかは分かっても実力は分からないからいまいちピンとこないんだよな


 そう思いながらも、俺は粛清騎士に対する警戒心を強くしていた


 ザク ザク ザク ザク


 相変わらずのペースで門に近づいてくる粛清騎士だったが、


「……よくもこんな人数を集めたものだ。情報通りとはいえ

 …

 さすがにめんどうだ」


 そう呟いた次の瞬間、


 ゾゾゾゾゾ


 ガラッと纏っていた雰囲気を変えた



 死



 クロスの脳裏に浮かんだのは、その一文字だけだった

 気づけば


「クロス!?その魔力は」

「まさか、やつの闘気だけで俺様を引き連れ出されるとはな」


 俺様の()()()()()()()()()()()()()()()


 粛清騎士の野郎、俺様がこの状態になったっていうのに、なんつー威圧感だよ


「俺が闘気を解放したというのに…まだ立っている人間がいるか」


 粛清騎士が言い終わるのと同時に、


 バタバタバタバタ


 俺を含めた数人を除いて、全員が地に付した


「まぁ、数人は気絶せずに起きていてくれた方が都合がいい。俺の裁きを世に知らしめるための見届け人となってもらおう」


 …気絶してる。まぁ、こいつらも俺様に比べて遥かに弱いとはいえ、まがいなりにも冒険者、ショック死なんてダセェまねはしないか。まぁ、粛清騎士がこれでもまだ手加減してるってことも考えられるけどな


 さて、まだ起きてるのはどれくらいいるんだ?


 そう考えながら周囲を見渡してみる


「…こんだけか?」


 起きていたのは 俺様 ダイア 英雄数人 そして、


 バァン!


 勢いよく扉が開く。音がした方をむくと、


「おいおい!なんだこの闘気は!これが粛清騎士なのか?!初めてだぜ!バケモンかよ」

「起きてるのは…なんだこんだ…あ?おいもう一人バケモンがいるぞ」

「ホントだ~。バケモンが二人いる」

「…そうね」


 そう言いながら、四人組が宰相宅の扉の向こう側から現れた。一人は軽装に小ぶりな剣を持つ男、一人は盾と大きな剣を持った男、一人は突起のついたグローブを付けた少女、そして、最後の一人はローブを羽織、魔杖とも聖杖とも区別のつかない杖を持った少女

 感覚的なものではあるが、このうち杖を持った少女からはなにかとてつもない力を感じる


「ねぇ、そこの少女、その隣に立っているバケモンは我々の味方なのですか?」


 ローブを羽織った少女がそう口にする


 …コイツ、誰に対して言ってんだ?


「この人は私のパーティーのリーダーです」


 そうダイアが答える


 ……ハッ!


「バケモンって俺のことか!」

「お前意外にいねぇだろうが!なんだその魔力!俺たちが前に討伐した超魔導特殊集合体Σよりも遥かに魔力が多いじゃねぇか!」


 …いや、それよりもなんだその魔物の名前。長ったらしいうえにどんな魔物か全く分かんねぇぞ


 そんな風に俺たちがやり取りをしていると


「…おい、もういいか。俺は、待つのはそんな好きじゃない」


 俺たちが話しているのを待っててくれたのか、門の場所で粛清騎士が立ち止まっていた


「意外だな。まさか粛清騎士が俺たちを待っててくれるとはな。今までの行動から決めたことは決して変えない頑固で制止の効かないやつだと思ってたが、そうでもないのか?もしそうだとしたらそのまま後ろを向いて帰ってくれると俺としては助かるんだがな」

「それはできない相談だ。俺の目的はこの世から悪人を一人残さず粛清し、真っ当に生きるすべての者が悪人から理不尽な目にあわされない世界を作ることだ」

「そのためなら、その結果国が混乱することになろうともいいってか?国の要人にしかできない仕事もある。それこそ宰相が抱えている重要な案件とかな。お前がやっていることは裁きと称した国の破壊だ。俺たちにそれを許すことはできない。ここで止めさせてもらう」

「そうか、まぁ、いつも通り気絶させるだけだ」


 そう言い終えると、


 ガキン!


 いつの間にか抜いたボロボロの剣で勇者の一人と刃を交わらせていた


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