クロと戯れる
「おいすー」
俺は目の前にいるコイツ、クロに手を軽く挙げながら近づくがクロはピクリとも動かない
「相変わらず反応はなしか」
ここ一週間同じことを毎日繰り返しているのだが進捗は全くない
最初のうちはダイアとアッシュも毎日来てくれていたのだが、二人には俺が頼みこんで別の依頼を受けてもらった
さすがに進捗が全くない状態で毎日俺に付き添ってもらうのはもうしわけないからな
「クロスまた来たの?」
俺がクロの前で変な動きをしながら考えていると奥から飲み物とお菓子をもったマリカが現れる
「一週間に一回だけでもいいんだよ?」
「ふっ。本当は俺に毎日会えてうれしいくせに」
「なっ!そ、それはそうだけど」
「まぁ、俺が毎日来てるのはクロに興味があるからだけどな。それに、今日は進展があるかもしれないぞ」
「!ほんとに!」
「あぁ」
そういいながら俺は<契約召喚>を発動する
この一週間俺はいろんなことを試した
・クロの前でいろんな動きをしてみる
・クロの好物をさがす
・クロに魔法をぶち込む
・クロに剣で切りかかる
・直接触ってみる
このすべてがダメだった。最後のなんか俺、腕を溶かされながらなでたのに無視されたぞ。あんまり過ぎる
ちなみに、このことはマリカに無断で行い、ケガを治療しているところを見つかりめっちゃ怒られた
だが今日は、そんな俺にも秘策がある
「いでよ!高貴なる龍の王、クリス!」
何の効果もない詠唱を大声で唱え、俺はクリスを呼び出した
「どうだマリカ」
「すごい、龍の幼生体なんて初めて生で見た。ちょっと触ってもいい?」
そういいながらマリカは、クロスが答えるよりも早くクリスの身体中を撫でまわしていた
今の確認は何だったんだ
「俺は考えた。人がダメでも魔物なら仲良くなれるんじゃないかとな」
「へぇ~、安直だね」
「おい!辛辣すぎるだろ」
「でもいい考えだと思うよ。この子、普通の魔物と比べて遥かに高度な知性を持ってる見たいだし。今はしてないけど会話もできるんじゃないかな?」
「!今のでそんなことまで分かったのか?」
「私が何年魔物と触れてきたか知ってるでしょ?」
「ふっ…俺と仲良くなってからだからちょうど三年ぐらいだな」
「あれ?私が思ったよりも短い。二十年ぐらいの感覚だったよ」
「なんでだよ。それに二十年前じゃまだ生まれてないじゃん」」
まぁ、さすがマリカと言ったところか。そこまで分かってるなら隠す必要はないな。クリス、もういいぞ
”マリカお姉さん!僕クリス!よろしくね!”
「すごいこの子!<念話>ができるの!」
「そうだろ?」
クリスが普段から使っているので勘違いしてしまいそうなものだが、本来、<念話>は<契約>を結んでいないとよほど波長が合わない限り<念話>を送ることすらできない代物だ
「俺は何回かクロに対して<念話>で話しかけてみたが反応がなかった。無視されてるってのもあるだろうが俺の言葉が分からなかったのかもしれない」
「だからクリスちゃんならいけると?」
「あぁ。クリスなら魔物の言語も分かるんと思ってな」
「…闇の効果で魔法が無効化されてるって可能性もあるんじゃないの?」
「いや、それはない。なんでか知らんがクロと俺の回路がつながったからな」
本当になんで回路がつながったんだろうな。失敗するだろうなって思いながら<念話>を使ってつながった時はかなりびっくりしたぞ
闇のせいで魔法が無効化されるもんだとばかり思ってたからな
「頼んだぜ、クリス」
”うん!任せてよ!”
そう元気よく言うと、クリスはクロに向かって近づいて行った




