二年ぶりの再会 黒き歴史の過去
「まさか依頼主が2人だったとはな」
改めてマジク教授とマリカを見る
二年たったとはいえ2人ともあんま変わんねぇな
マジク教授は相変わらず気難しそうな表情をしたじいちゃんだし、マリカも小せえままだ。2年前から身長が1ミリも伸びてないんじゃないか?
「失礼な!こう見えて3ミリ伸びてるんだよ!」
「へぇ、小さすぎて気づかなかった」
「なんだとぉ!」
このやりとりすら懐かしい。学生時代もこうしてマリカと騒いでいたな
二年ぶりの親友との再会に、俺は自然と笑顔を浮かべていた
そんな俺とは対照的に、ダイアは
「っ!私以外にもクロスの心を読める人が…」
と、驚いて固まっていた
「まさか貴様が冒険者としてワシの依頼を受けることになるとはのう」
教授がクロスたちに出すようの紅茶を入れながらつぶやく
「なんだよ、教授。うれしいのか?」
「違うわい!貴様、ワシが推薦した就職先を働きたくないからとすべて断ったくせに冒険者なんぞになりおって!このばかもんが!」
「わはははは」
「笑い事じゃないわい!」
「はははは、そう怒んなって♪」
「まったく、本来であればお主がこの国の魔法界を引っ張っていくべき存在だというのに…」
そういいながらマジク教授は額をおさえる
「そうだよ。私、クロスが卒業するまでロイヤルナイツかマジックナイツになるんだと思ってたよ」
「?なんでだよ。俺一回もそんなこと言ってなかっただろ?」
「だってクロス、卒業の日に言ってたじゃん」
卒業の日?……ダメだ、思い出せねぇ。俺、なんか言ったっけ?
「私が「卒業しても私のことを忘れないでね。たまには手紙ぐらい書いてよね」って言ったの覚えてる?」
「…もちろn」
「そしたらクロス言ったじゃん」
”これから俺は忙しくなる。手紙を送るのも難しくなるだろう。だが、心配するな。俺とお前の運命は強く結びついている。世界の命運をかけた戦いの中、再び巡り合う日が必ず来るだろう。その時まで努力を怠ることなく精進しろよ”
「そうクロスが言ったから、私は勉強を頑張って今年の主席にまで上り詰めたのに」
「……」
そういえばそんなこと言ったわ!
「忙しくなるっていうから大変だけどこの国でもトップクラスに偉い仕事についてるんだとばかり思ってたのに
うわー--------!二年前の俺恥ずかしすぎるだろ!たしかこれ、マリカにニートになることを言うのが恥ずかしくて適当に言ったやつじゃん!なんで全部覚えてんだよ!
「実際には家で引きこもっていたなんて」
この時俺は
「そういえば卒業してから一回も手紙をくれなかったけど」
最悪だー---!今日まで忘れてたのに思い出しちまったー------!
過去の自分自身がした発言に大きく悶えており
「よく考えたらいつでも送れたよね?」
気づかなかった
マリカが眉間にしわをよせていたことを
マリカがその小さい拳を握りしめ、プルプルと震えていたことを
「今になってムカついてきた。ねぇ、クロス?」
「へ?」
マリカはそういいながらクロスに歩みよって行く
そこでクロスは初めてマリカの様子がおかしいことに気づくが
もう遅い
「あの、マリカさん。えっと、よく分からないんだけど少し落ち着いて」
「私は落ち着いてるよ」
「はは、だよな。よかっt」
「落ち着いたうえで怒ってるんだよ。この」
「え?」
マリカは大きく拳を振りかぶり
「バカ!」
思い切りクロスの横頬に拳をヒットさせた
「ぐぉぉぉ。そこまでじゃないけど地味にいてぇ」
ろくに防御せずまともにくらった俺は、その場に崩れおちることはなかったが思わず手で殴られた箇所を抑えていた
「なにか言うことは?」
聞いてなかったからなんでマリカが怒ってるのか分かんねぇ
「なぁ、俺はなんで」
「なにか言うことは?」
「す、すみませんでした」
「よろしい」
その後俺は、なぜマリカに怒られたのかという疑問が解消されないまま依頼についての話が始まってしまった
移動中
「そういえばマリカってどこに住んでんだよ」
「…あれ!?言ったことなかったっけ!」
「たしか聞いたことなかったはずだぞ?それで俺、一回手紙だそうとしたのを断念したの覚えてるし」
「…そうだったんだ。大学に来てくれればいつでも教えたのに」
「いや、俺もそう思って行ったんだけど、卒業生でも公共機関からの申請がないと学園に入るどころか伝言を頼むのも禁止だって言われたんだよね」
「そ、そうだったんだ。ちょっと待ってね」
そういいながらマリカは持っていたメモ用紙から一枚引きちぎり
「はい」
そこに住所を書いてクロスに渡した
「お、サンキュー」
「どういたしまして…ところで、私がさっき殴ったとこ大丈夫?」
頬を掻きながらそうマリカが訊いてくる
なんだ?自分で殴ったくせに気にしてんのか?
「こんぐらいなら大丈夫だぞ」
「はは、なら良かったよ」
「てかやっぱり、俺さっきなんで」
ハッ!
そこまで言いかけて、クロスは慌てて口を噤む
クロスは過去の経験から学習していた
危ねぇ、謝ったあとに怒られた理由を聞くのはダメなんだった。前にそれやってダイアにメチャクチャ怒られたんだよな
「なんか言った?」
こころなしかマリカから威圧感に似たなにかを感じる
もしかして俺が何を言おうとしたか分かったのか
「あ、いや」
やべ、どうごまかそう
俺がそう考えていると
「あ、見えてきた!あそこが魔物研究科の実験場だよ!」
そういいながらマリカが指を指す
そこには大学の本堂と差支えがないほど大きな施設があった
「へぇ、私もこの大学に通ってたのにこんな場所があるなんて知らなかったよ」
「普通は知らないと思うよ。ここには…」
マリカとダイアが話始める
ふぅ、ダイアのおかげで助かったぜ。ダイアには感謝だな
そう考えながらクロスはそっと胸をなでおろした
そんなクロスを見ながら
「ほんとにわかりやすいなぁ」
「ですね」
「…ねぇ、マリカちゃんはクロスのどんなところが…」
二人が話している内容はクロスの耳には届いていなかった




