クリスと(ゴブリンで)遊ぶクリス 2+α
「爪でゴブリンを倒すことはできるのか?」
”できるよ!”
そういうとクリスは、近くにいたゴブリンに対して腕を一振りする
すると、ゴブリンは爪が通過した場所から切断され、ボトボトと地面にゴブリンの肉のブロックが落下する
”凄いでしょ!”
「へぇ、驚いた。<疾風付与>かぁ」
”そうだよ!”
ただの爪での攻撃じゃあ威力が足りないし、爪のサイズ的に切断なんてできないだろう。せいぜいが肉を少し抉る程度。それを<疾風付与>の効果で切断力を増幅させゴブリンを断ち切ったわけか。
生まれてそろそろ一か月が経つとはいえ、もう魔法まで使えるのか。いや、そもそも魔物って魔法を使えるんだな。知らなかった
というか、クリスは魔法をいつ覚えたんだ?
”一昨日クロスが使ってるのを見て覚えたんだよ!”
「一昨日?…あぁ、あのときか」
夕飯の支度中、ダイアに言われて冷凍肉を切ろうとしたんだけど、固すぎて<疾風付与>を使ったんだよな。おかげで綺麗に切れたけどまな板まで切っちゃって怒られたんだよな
あれ以来<疾風付与>は使ってないがあの一回で覚えたのか
「凄いな」
”でしょ!”
本当に凄い。俺以外で魔法を一度で覚えられるやつにあったのは初めてだ。まぁ、人じゃなくて魔物なんだけどな
その後、いくつかの簡単な魔法を見せたが、そのほとんどをクリスは一度で習得してしまった
”見てみてー!”
そして今、魔法を気に入ったクリスが空を飛びながら
「ギャアアアア!」
「ゴワァァアアア!」
ゴブリンを魔法で殺して回っている
「たった数分でこんなに強くなるなんてな。これは、俺が覚えている魔法を教えてみるのもいいかもしれないな」
”ホントに!?”
俺のつぶやきに反応して、俺の探知範囲内にいたすべてのゴブリンを殺したクリスが飛んでくる
「あぁ、本当だ」
クリスが強くなれば単純にパーティーの戦力アップにつながるしな
ただ、
「その前にゴブリンの死体をちゃんと片付けてくれよ」
”うん!”
もちろん、すべてのゴブリンの死体はクリスの腹の中に消えていった
ギルドで分かったことだが、今日はなんとクリスだけでゴブリンを約200匹殺していた
イメルダはクリスがそこまで強いことにとても驚いていた。たぶん、クリスが愛くるしい見た目をしてるからそんなに強くないと思っていたんだろう。実際俺もそう思っていた。
だが、俺はそれよりも
ほぼ毎日こんなに殺してるのにいつまで経っても数が減らないなんて、ゴブリンの繁殖能力は凄まじいな
と、別のことに興味を示していた
クリスの不思議
「おかしい」
俺はクリスに魔法を教えている際中に、ある一つの疑問を抱いていた
「なぁ、クリスの魔力量はどうなっているんだ?」
”え?どういうこと?”
「う~ん、俺の言い方が悪いな。クリスの魔力の量が変わらないのはどういうことなんだ?」
俺が感じていた疑問。それは先ほどからクリスは何度も魔法を使っているはずなのに、保持している魔力がまったく変わらないということだ
普通、魔法を使えば魔力が消費される。縛りを加えたり、触媒を消費することで魔力消費を減らすことはできたりするが、それでも完全に魔力の消費をなくすことはできない
だから俺はそのことを疑問を抱いたのだ
”僕ゴブリンをたべたでしょ”
「そうだな」
”だからだよ”
「なるほど」
どういうことだってばよ
じっくり話を聞いて分かったが、クリスは食事をした際、そのすべてが異空間に転送されてから魔力へと転換されるそうだ。
そうして生み出された魔力だが、自身の魔力限界を超えて持つことはできないため、余った魔力は異空間に貯蔵され、魔力を消費した際にそこから引き出されるんだと
異空間に転送するのに魔力を使わないのか訊いてみると、それはクリストがクリス(分裂体)を生み出す際、俺の要望を最大限に叶えるために他の能力を制限することで魔力の消費をなくしたらしい
それを聞いて俺は納得した。俺自身、<無限の空間>の使用には大量の縛りをつけている。そうまでしないと成立できないほど、空間に干渉するのは膨大な魔力を消費するのだ
もしかしたら、これ以外にも不思議な構造がクリスにあるのかもしれないな
そう思った俺であった




