装備を整える
翌日、俺たちは
「ねぇ、クロス、どっちが似合うと思う?」
「どっちも似合ってるよ」
「クロスさんクロスさん、これはどうですか?」
「うん、凄くいいと思う」
装備を整えるために防具屋へと来ていた
なぜこうなったのかと言うと、それは一時間前に遡る
ギルドにて
「疑問なんですけど、どうしてクロスさんとダイアさんは装備や道具を何も持たないのですか?」
今日受ける依頼をどうするか考えていた俺とダイアに、アッシュが突然そんな質問をした
装備、それは冒険者がより上を目指すうえで必要不可欠な要素である。それ一つで命が助かることもあり、遺跡や迷宮から発掘された装備などは人智を超えた特殊な効果、祝福を纏ったものもある
そんな大事な装備のことを
「考えたことなかった」
「私も」
俺たちはすっかり忘れていた
「必要だって思ったことがなかったからすっかり忘れてたよ」
クロスもダイアも魔法で有利に戦闘をすることができる。だから、普段の戦闘で攻撃を喰らうようなことはなく、装備が必要になったことがなかったのだ
俺は魔法で武器も作れるし、防御力も上げることができるから正直必要とは思えないんだよなぁ~
「それじゃダメです!せっかくですから今から装備を見に行きましょう!」
そう、アッシュに強引に連れられて俺たちは防具屋まで来た
そして、今に戻る
「ねぇねぇ、これはどうかな?」
そういいながらダイアが試着した装備を見せてくる
はぁ、これで何回目だ
防具屋についてから少なくとも三十分はこうして、ダイアとアッシュの装備を見せられている
俺からしたら正直どれもそんなに変わらないのだが、ダイアたちは楽しそうに防具を選んでいる
何がそんなに楽しいんだか
俺はというと、店に入った瞬間、
「君!ぜひともこの装備を付けてみてくれないか」
と、店主に漆黒の皮鎧をすすめられ何も考えずすぐに買ってしまった
デザインもかっこよく俺好みだったのだが、その皮鎧が思ったよりも高くて銀貨二枚と大銅貨七枚も持ってかれた
金はアメリアさんの指導依頼を受けたくて貯めていたので問題なく払えたが、正直そんな額を払ってまで購入する価値があったのかは分からない
まぁ、かなり軽い装備だから今まで通り素早く動くことができそうでよかった
「ねぇねぇクロス~ちょっとこちに…」
「はいはい、今行くから」
その後俺は、さらに一時間ほど装備のファッションショーを見せられることになった
結局ダイアは装備を買わないことにしたらしい
動きやすい今のほうがいいんだとか
え?あんだけ時間かけて選んでたのに結局買わないのかよ。俺のあの時間はなんだったんだ
そう思ってしまう俺であった
ちなみに、武器屋でも同じことが繰り返され、帰るころには俺は
良いねしか言うことのできない良いねbotになっていた




