ゴブリンキルレース
「いやだいやだいやだ!やりたくない!」
「そんなこと言わずに受けようよ。ねぇ?」
ダイアが小さな子供をあやすみたいな態度で俺に接してくる
「ダイアさん、これは」
さっきまで初めての仲間だからと俺がかっこつけていたため、急にこんな状態になった俺にアッシュは驚きを隠せないようだった
「あぁ、ごめんね。アッシュちゃんは事情を知らなかったよね」
俺が仲間になったばかりのアッシュに対してここまで無様な姿を見せる理由、それは
「ゴブリン討伐なんかもう受けたくないよ!」
ランクダウンでブロンズになった俺は、またゴブリンと戦わなければならない
のだが、
「もういいじゃん!俺のギルドカード見てよ!」
そういいながらダイアたちにギルドカードを見せる
そこには
「うっわ、凄いね」
「え!クロスさん、ゴブリンに何か恨みでもあるんですか?」
累計ゴブリン討伐数 4.9k
と、記載されていた
「もう虐殺だよ、虐殺。これ以上殺すのはかわいそうだよ」
「クロス」
「だから、ポイント低くても他の依頼を」
「クロス」
「はい」
「文句言わないの」
「はい」
ダイアには逆らえない俺であった
「この先、ゴブリンが数匹います」
「へぇ、盗賊の人ってそんなことまで分かるんだね」
「そうですね、そういう特殊な訓練はしてますからね」
そうなのだ。実は盗賊というスタイルはかなり珍しい。なるためには試験に受かる必要があるうえに、戦闘もできる人でなければなれないのだ
「見ててください」
そう言いながらアッシュがゴブリンとの距離を瞬く間に詰め、一瞬でその首を刈り取る
なんとも鮮やかな手口だ
ゴブリン相手に使うのがもったいない
「ん?クロス、どうかしたの?」
というか今思ったんだが、俺たちみんな強いんなら、別々で動いたほうが効率良くないか
依頼のポイントはパーティーメンバの数で分配される。今みたいに一緒に動いていたら確実に時間の無駄だ
「クロス?」
「ダイア、競争しないか」
「え、急になに」
「誰が一番多くゴブリンを殺せるか競争しようぜ」
「…アッシュちゃんがいいなら」
「私はいいですよ」
「んじゃ一時間後に俺が合図送るから。スタート」
「ちょっと!」
そういうと同時に俺は走り出す
あとでわがままだってダイアから怒られるかもしれないが、それくらいは甘んじて受け入れよう
俺はどうしても早く、この三人で新しい依頼を受けてみたいんだ
一時間後
「「「せーの!」」」
三人同時にギルドカードを出す
結果は
ダイア 74
アッシュ 81
クロス 394
おぉ、意外。アッシュが強いのは分かってたけど、ダイアよりも多くゴブリンを殺してくるとは思わなかったな
「クロスだけ討伐数おかしくない!?もしかしてあれからずっと走ってたの?」
「クロスさん、凄いです!」
二人は驚いているようだが、まぁ、こうなるのは分かっていた
俺はあれからずっと森の中を走り回った
その際、探知能力に引っかかった魔物はすべて魔法の遠隔操作で皆殺しにしていた
そして、その魔物の死骸はクリスが片っ端から食べてくれている
だから、俺はなにも気にすることなく自由にゴブリンを殺して回れた
「これでランクも上がるだろうし明日は新しい依頼が受けられるな」
明日が楽しみだな
ギルドで依頼の達成を報告した俺たちは、俺とダイアがシルバー、アッシュがブロンズに上がった




