このペット、有能です。
”起きて!朝だよ!”
「うるせえなぁ」
翌朝俺は脳内に直接響くやけに甲高い声で無理やり起こされた
目を開く
時計の針はまだ朝の六時を指していた
「いつもだったらまだ寝てる時間じゃねえか!誰だよ、俺を起こしたのは」
そういいながら周囲を見渡すが誰もいない
そこで俺は、腹の上に温かいものが乗っていることに気づく
「あぁ、そういえばお前がいたんだったな、クリス」
昨日に遡る
「その子は、どうしたんだい?」
家にクリストを連れて帰ったら両親に凄く驚かれた
「拾った」
「拾った?」
「うん」
「「………」」
両親は顔を見合わせている
「大丈夫。俺、ちゃんと世話するから」
「…本当に大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫。な、お前もいい子にしてくれるよな?」
俺はクリストに話しかける
”もちろん。迷惑はかけないよ!”
「ほら、コイツもこう言ってるし…え!念話できるの!」
「アンタ、知らなかったの?」
分裂体とはいえ、こんなに小さいし、俺といたときはキュウしか言わなかったからてっきり喋れないと思ってたわ
”意識を形成するまでに時間がかかったんだよ。そしたら、どのタイミングで言えばいいか分かんなくなっちゃって”
タイミングならいつでもあったろうに
”いや、君が僕をただの動物と同じみたいに扱うから”
…忘れてくれ
”別に悪い気分じゃなかったよ。それに、僕は本体の意識とは別に存在してるからあっちには伝わらないよ”
ならば、よし
「念話ができるほど知能が高い魔物とはね」
「凄いだろ?」
あれ、今思ったけどなんで父さんたちは魔物が念話できることに驚かないんだよ
普通驚くよな?
「一つだけ約束しなさい。その子が人に危害を加えないようにしっかりと管理すること、いいね」
父さんが真剣な顔つきで言ってくる
「任せなさい!」
そうして、クリスは正式に俺の家族の一員となった
ちなみに、俺がクリストのことをクリスと呼ぶのは、こんな可愛らしい見た目なのに名前を呼んだ瞬間、あの厳つい顔が連想されて可愛がる気が失せてしまうからだ
両親に認められたあと、クリスはすぐに両親と仲良くなった
そして今、クリスは
”ほら、早く起きて。朝ごはんはもうできてるよ”
”もう寝癖がついてる。僕が直してあげるよ”
”はい、白湯だよ。冷めないうちに飲んでね”
俺の執事みたいになっていた
「執事というよりは飼い主だろ」
そう言って父さんが笑っている
「この子のほうが働き者だし、母さんはこんな子が欲しかったよ」
そういいながら、母さんとクリスが朝ごはんの乗った皿を運んでくる
そんな言わんでもいいじゃん。俺も傷つくよ?
「はは、まぁ、そう言ってやるな。クロスは超天才というぐらいしか取り柄はないが、単純で心優しいいい子に育ったじゃないか」
「父さん」
それ地味に俺のことディスってるからね
「それに、クリスが来たおかげでまたみんなでごはんを食べれる」
「…」
俺は頭の後ろをかく
”ねぇ、早起きしてよかったでしょ”
そういいながら、クリスが笑顔を俺に向けてくる
まぁ、たまにならいいかもな
「「「いただきます」」」
その後、俺が六時以降まで寝続ける日は訪れなかった




