モンスターヘイト×異常種
「邪魔すぎる!」
異常種に近づこうとするも次々に迫ってくるゴブリンたちを前に俺は叫ぶ
俺のことを敵とはみなしてないようだが、食事の邪魔をされるのを煩わしいと思った異常種が途中から周囲のゴブリンに命令して俺を襲わせていたのだ
すでに<灼熱付与>と<身体能力強化>は解除していた
最初のうちはそれでも<灼熱付与>の効果でゴブリンたちを余裕で倒せていたのだが、途中で<灼熱付与>の弱点が発覚した
まさか、魔法の維持に加えて燃やした分だけ魔力を持ってかれるとはな
おかげでただでさえ少ない魔力が無駄に多く持ってかれた。魔力消費の少ない<身体能力強化>すら使うのを制限することになるとは思ってもみなかった
今は<焼却>という魔法だけを使っている。この魔法を使う分の魔力を<身体能力強化>に回せばもっと楽に戦うことはできるのだがそういうわけにはいかない
先ほど倒したゴブリンをそのままにしておいたら、他のゴブリンが死体を回収して異常種のところまで運んでいったのだ
「最悪だ」
たぶんこれは偶然が重なったんだろう
俺がゴブリンを殺し続けてモンスターヘイトを引き起こすことも、その近くにこの異常種がいたことも
正直ここから逃げ出したい気持ちはあるがそういうわけにはいかない
あの異常種が仲間の死体を喰い終わったら満足するとは思えない
おそらく今度は、周囲の生きたゴブリンたちを喰い始めるだろう
ここで俺が逃げ出したらあの異常種はどこまでも成長して、さらなる食糧を求めて動き始めるに違いない
より多くの食料(人間)がある、王都の方へ
「最悪だ」
そういいながらもダガーを振るい、倒したゴブリンを片っ端から<焼却>で燃やしていく
しかし
「ッ!もう魔力切れかよ!」
それも長くは続かない
「引くしかないのか」
しかし、俺はすでに前も後ろもゴブリンたちに囲まれている
どこにも逃げ場はない
ダガーを振り続けながら、今の自分にできることを考える
このままゴブリンは殺し続ける
ただし、死体は運ばせない
ダイアがこれを見たらなんて言うんだろうな。ゴブリンの死体を命がけで守るなんて初めての経験だ
時間が経過する程増加していくゴブリンの増援、数が増えて守るのがどんどん難しくなるゴブリンたちの死体、異常種の食事を止められないことへの焦り、そして
「はぁ、はぁ」
万全でない状態で長時間戦い続けた弊害、大きな疲労が俺の身体にのしかかり、俺を追い詰めていく
すでにゴブリンたちへの対処も完全ではなくなってきており、何度かゴブリンたちの攻撃が被弾していた
ただ、この苦しい状況を耐え続けるしかない俺は胸の内で祈っていた
まだなのか!ダイア、頼む早くしてくれ
ダイアが早く高ランクの冒険者を連れてきてくれることを、そして、なにより早く球を壊してくれることを
そんな俺の想いが届いたのか
「きたぁぁぁああ!」
俺の魔力が全体の三割ほど急激に回復する
<焼却>
それまで守っていたゴブリンたちの死体を一気に焼き払う
「これでまだ戦える。第二ラウンドと行こうぜ」




