いつか終わりが来るとしても
−???年
これは、遥か昔 世界が生まれる前の話
「マリカ、君が好きだ」
俺は、冷たい雨に打たれながら、静かになってしまったマリカの身体を抱きしめていた
俺は、弱くあることを憎んだ
俺が弱いからマリカを失ったのだ
俺が全てをぶっ壊せるほど強ければ、何も失わなかったのに!
これが、クロスが最狂に至った原点
その呪いは引き継がれ、この世界のクロスは産まれながらに俺とは違って才能を持っていた
初めから大事な人間に気づいていた 守ろうとした
そして、結局は自らの手で全てを滅ぼした
「俺がいなくなれば、きっと世界は少しだけ良くなる」
これがクロスの最初で最後の絶望だった
なら、クロスにとっての希望は?
「マリカ!」
「!ダイア!遅い!何分遅刻してると思ってるの?」
「ごめんごめん、家の用事でさっきまでパーティーに行ってたんだよ」
「まったく!次からは時間に間に合うように来てよね」
「さっすがマリカさん。10分遅刻して来たこと忘れたんですかね」
「なんか言った?アッシュ」
「え〜 何も言ってないですよ〜」
「こら!待ちなさい!」
「あー!ダイアさん助けてー!」
「俺は、あの3人が笑ってくれるならいいんだよ。その世界に俺がいなくても」
「私たちって本当に変な関係だよね」
「?どうしたの?急に」
「だってそうでしょ?私は勇者で、マリカは世界が誇る大賢者、それでアッシュは歴代最強って言われてる魔王なんだよ?」
「そんなの今さらじゃない」
「そうですよ〜 本来だったら巡り合った瞬間に敵同士で殺し合うはずだったのに」
「「「会ったら戦うのが嫌になったなんて」」」
3人は顔を見合わせて笑い合った
「おかしいよね 私、たくさんの魔族を殺した」
「私もよ」
「私は人間をたくさん殺しました」
「それなのに、会った瞬間に戦いたくなくなるなんて 本当に変な運命」
「俺がいなくなれば、この世界は消える。俺が能力に目覚めた瞬間に飛ばしてくれ」
「私たち、すっごいわがまま言ったよね」
「えぇ、ほんとに」
「マリカさんが世界連合に対して”世界を滅ぼされてくなかったら大人しく和平しなさい!”って魔法突き付けながら同意書にサインをさせてたのは今でも覚えてますよ」
「さすマリだよね」
「俺が初めから存在しなかった世界線に俺が書き換える。」
「……クロス、それでいいのか。そんなことしたら、二度と」
「そのためにやるんだ。俺と逢ってしまわないように。おそらくその世界でなら、アイク、アーク、そしてアレン、お前たちが絶望に面することもないはずだ。これが、本当の”Re・WORLD"だ」
「さてと、じゃあ、そろそろ行くか」
「うん、そうだね」
「はい!」
ここからは、三人の物語が始まる
「この世界を作り出した人がいる」
それは、
「その人は私たちにとってとても大事な人。この世界に生まれた時からずっと気づいてた」
「でも、どうしても思い出せない。実際、そんな人がいたという記録も記憶もない。でも、」
「絶対にいる。だから、私たちで探しに行く」
失われたものを取り戻しに行く旅
「この世界には良く分らない遺跡やなんのために作られたのか分からないような神器がいくつもある。それを調べてみよう」
「必ず見つけ出して見せる。たとえ、何年かかったとしても必ず。だから、待っててね」
これは、世界最強の少女たちがクロスを、いつか必ず見つけ出す物語
最後までありがとうございました