やっぱり何事にも目標ってのは必要なもんで
今回の依頼で俺とダイアは、冒険者のランクが冒険者見習いからペーパーに昇格した
冒険者のシステムは割とシンプルで依頼の難易度に応じてポイントを加算するという形式だ
冒険者のランクは下から、
冒険者見習い、ペーパー、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ダイアモンド、英雄、そして、英雄のなかでも上位十名だけが勇者とよばれる
また、それとは別に、エメラルド、ルビー、サファイアなどなど完全に独立した称号がある
例えばエメラルドの称号があれば、本来ダイアモンド以上しか受けることのできない薬草関係の依頼全般をどのランク帯であろうと受けることができるようになる
もちろん、一度取得したからといってずっとその称号を保有できるわけではない
年に二回、冒険者ランクは全員がランク二個分下げられる
また、エメラルドなどの特殊な称号を持っている冒険者は四年に一回試験を受けて合格する必要がある
そして、冒険者は依頼を失敗した際、ランクポイントから依頼のポイント分引かれ、同じ月に三回以上依頼を失敗した際は、ギルドから指名依頼がない限り来月の冒険者活動を禁止される
だから、冒険者の中でも上位を目指す人はいかに多く、依頼を失敗せず達成できるかを意識して活動しており、それが結果的に冒険者ギルドの依頼達成率を高める要因になっている
まぁ、まだペーパーの俺には関係ないことなんだけどな
とはいえ、今月中にシルバーに到達できるよう頑張ろうかな
この時の俺は予想だにしていなかった。この後に待ち構えている残酷すぎる結末を
一応ダイアにもその話をしてみた
「ダイアももちろん目指すよな」
「当然でしょ」
「だよな」
よかった。これから一緒に受ける依頼、ちょっと楽しみだな
そんな風に俺が考えていると
「このまま依頼を受け続けたらそのうち依頼が二人だけじゃ達成できないくらい難しくなって新しい仲間を加える必要がでてくるのかな?」
ダイアが一つの疑問を投げかける
新しい仲間!
なんで俺はそのことを失念していたんだ!
ダイアの言葉で俺の頭の中に一つの未来のビジョンが浮かび上がる
新しい仲間でかわいい女の子が加わって、それでその子にピンチが迫った時にさっそうと俺が駆け付け助ける。女の子は俺に惚れる。ゴールイン。人生easy good game
なんて完璧な計画なんだろうか。自分の才能が怖くなるぜ
「……その線は考えてなかったなぁ~」
「ん?なんか言ったか?」
「ううん。なんでもないよ」
「それならいいんだが、新しい仲間、楽しみだな!」
「うん。そうだね」
「新しい仲間か~」
そのまま、クロスは自分の世界に入りこんでしまう
「クロスに女の子が惚れるっていうのが普通にありえるから困るんだよね」
ダイアはぼそりとつぶやいた
この時、ダイアは思い返していた。今日までの激しい戦いの日々を
クロスが他の女の子になびかないように、そして自分のことを好きなってもらうよう奮闘した日々を
クロスってみんなから人気があったからな。クロスが飛び級で卒業しなかったら危なかったよ。何人かは告白するみたいなこと言ってたし。
大学生時代だけはクロスが先に進むのがはやすぎて一緒にいられなかったけど、それでも私があまり知らないのは一年しかないし、その間になにかがあったとは思えない
まぁ、あったとしても大丈夫
「私は運命に愛されてるからね」