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いずれ最強伝説  作者: piccle
103/114

最後の聖戦 開幕

一応予定が全て片付いたので毎週投稿できると思います

しばらくは空き時間もできたりするので、投稿頻度が上がればいいなとは思ってます

「ここが帝国かぁ」

「なんていうか、無機質な雰囲気の国だね。こう言っちゃ悪いけど、灰の街みたいな」

「ああ、そうだな」


<転移門>を使った俺たちは、帝国内にいた

 そして、


「この中だな」


 すでにアッシュがいるであろう建物の前に来ていた


 …大聖堂か。なんとなく分かってたけど、俺の記憶に何度も出てきた教祖ってやつも関わってるんだな

 大聖堂…俺の人生、何かと宗教と関わることがあるなぁ


「よくここって分かるね」

「ああ、なんかここにアッシュがいるような気がするんだ」

「カン?」

「そうだな。それに、実際間違ってなかっただろ?」


 そうクロスが言い放つと同時に、大聖堂の扉は開かれ、3人の男が出てきた

 そして、その3人を見た時、クロスは大いに驚いた


 1人はさっきまで戦っていたアイク、もう1人は全く知らないが、なんとなく教会で高い位にいるであろう格好をした青年、そして、最後の1人は


「アレン。お前、何してんだ」

「そうか、お前はそっちの道を選んだんだな」


 驚くことに、クロスが気を許している数少ない友人のアレンだった


「アレン?初めて見る人だけど、クロスの知り合い?」

「あぁ、マリカは素顔を見るのは初めてか。でも知ってるはずだぜ。敗北の記憶からな」

「?」

「粛清騎士だよ」

「…え!嘘!それって」

「あぁ、分かってる。こいつは」


 かなりキツイ


「初めましてだね。クロスくん。私はアーク・ドッペル・ディボアホープ。アークとでも呼んでくれ」

「そうか。それじゃあアーク。俺が何でここに来たのか、分かってるよな?」

「君の仲間のアッシュちゃんを取り戻すためだろう?」

「そうだ。それで、大人しく解放するつもりはあるか?」

「それは最高戦力である私たちが君の前に現れた時点で分かってるだろう?」

「言ってみただけだ」


 そうか、俺たちは


「やり合うしかないのか」


 そう言いながら俺は、アレンに対してまっすぐに視線を向けた


「どうするの?どっちがどういう分担する?」

「俺が…アイクとアーク、マリカがアレン…そうだな。これでいこう」


 たぶんこれが最善の分担。マリカなら瞬殺されることはないだろう。倒される前に俺が2人倒せばいい


「それはさせない」


 だが、そんな俺の考えはお見通しだとでも言うかのように、アレンは剣を引き抜き横に構えた


「!マリカ!」


 それを見た瞬間、背筋に電流が流れたような感覚に襲われた俺は、咄嗟にマリカの頭を抑えて地面に付した


 次の瞬間には、アレンの剣が俺たちのすぐ上を通り過ぎていた

 その一閃は世界を引き裂き、それによって副次的にもたらされた暴風はすべてを吹き飛ばした

 しばらくして、風がようやくおさまり、顔をあげて後ろを見るとそこには


「嘘だろ。アレン、お前…」


 どこまでも続く、水平線がクロスたちの背後に広がっていた


「はあ?嘘だよな?アレン」


 いともたやすく行われた虐殺行為。大した意味などなく行われたこの邪悪な行為。それを見たクロスの心の内側を支配していた感情は


「お前、道を違えたな」


 失望の怒りだった


「俺のすべてを喰らえ。俺にすべてを委ねろ。月光の吸血姫(ルナ)紅蓮の狂気(ブラッド・カーニバル)>」


 アレンが剣に魔力を込めると、アレンは漆黒と紅蓮の入り混じった瘴気に包まれた


「本当にこれがお前の選択なんだな。アレン!これが!お前の目指す正しい未来のために必要な行為なんだな!アレン!」

「そうだ」


 ギリッ


「なんでお前が…絶望に屈してんじゃねぇよ」


 そう悔しそうに呟くと、


「<世界の絶望(ブラック)()背負うもの(メシア)>」


 今度はクロスが漆黒の闇に包まれた

 そして、


「なんだアレは、初めてみるな。アーク、知ってるか?」

「いや、知らない。だが、なんとなくどんな力なのかは分かる。あれは、」


 それを見たアークたちは態度には見せてないが動揺していた。なにせ、クロスが纏っているものは、希望とはほど遠い代物。希望の対極に位置するような存在


「絶望は俺一人だけで十分なんだよ。」


 絶望そのものだったのだ


 アレンを包む瘴気と、クロスを包む闇。その二つが晴れた時

 2人は光を一切反射しない漆黒の鎧に身を包んでいた。

 2人の変化はそれだけでなく、アレンは紅蓮の剣を一つ、クロスは漆黒の剣を二つ、そして、クロスは頭に邪悪な光を放つ冠をしていた

 2人に共通点があるとするならそれは、お互いに普通の人間なら見ただけで狂気に苛まれるような禍々しい見た目であるということだけだ


「そういうことか、クロス、お前があの時持っていたのは<世界を照らす希望の光(サン)>じゃなかったんだな。あの時、お前が持っていたのは」

「<世界を覆う絶望の闇(ブラック・サン)もちろん<邪神の遺骸><暴君の冠>もある」

「昔の文献にあった、光の三大至宝と対を成す存在、闇の三大死宝が存在すると。だがそれは」

「失われたはず。そうだよな。歴史ではそうなってるよな。まさか、能力によって生み出されたものだなんて誰も考えないよな。」

「どういうことだ。なぜお前がそれを…それにその力は」

「まぁ…いろいろとな」

「…そうか」


 それから2人は、無言になると、何かの合図があるでもなく静かに戦いを始めた




「始まっちゃった」


 アレンとクロスは2人だけの世界に入り込んでしまい、どことなく置いてかれたような感覚を覚えながらマリカは2人の戦いをただ眺めていた

 そんなマリカに


「…おい、どうする。俺たちもアレンに加勢するか?」

「僕はそうするべきだと思う。が…」

「がんばれ〜クロスー」

「「……」」


 2人は困惑していた。積極的に戦おうという意志は感じない。が、アレンに加勢しようとすれば止められるだろう

 というか、クロスとマリカは仲間のアッシュを助けるためにここに来ているのであって普通は戦いを挑んでくるはず

 なぜマリカはそうしないんだ

 2人はそう考えていた

 マリカがなにを考えているのかわからない。だからしばらくは様子を見る。それが2人の判断だった

 そして、それは


 私の思惑どおり


 マリカが狙っていたどおりの状況だった


 私も能力が完全に目覚めたとはいえ、試してすらない能力をいきなり実践で使うのはイヤだし、それに、そもそも同じオーバーロード同士だったら1対2なんて勝てるわけがない

 だったらそもそも戦いなんてせず、クロスがアレンに勝つまで待つ

 それこそがこの場における最善の選択


 そうマリカは考えていた


 そしてこの作戦が上手くいったのは、ひとえにアレンとアイクたちとの関係性によるものが大きい

 もしクロスと戦っているのがアイク、もしくはアークだったらアイクたちは加勢するために容赦なくマリカに攻撃をしていただろう

 仲間になったばかりでそこまで仲良くない

 そんな3人だったからこそ通じた策


「勝って。クロス」


 今のマリカにできる最善の策は、クロスを応援する以外にはなかったのだ



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