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お久しぶりです
コロナで寝込んで毎週投稿途絶えてすまんの
ただ、今月忙しくなるから投稿頻度落ちちゃうけど、読んでくれるとありがたいです
「うっ…ここは、どこだ?」
冷たく、濡れた空気が漂う森の中で青年は目覚めた
「俺は、誰なんだ」
その青年には記憶がなく、なにか自分が置かれている状況を把握するためのものがないかキョロキョロと周囲を見渡した。そして、すぐにあることに気づいた。
それは、
「この少年は、誰だ」
自分のすぐ側、というより真下で、黒上の美しい美少年が下敷きになっていた
その少年は眠っているのか意識がないようで、上から退くと、青年はその少年を観察し始めた
…この子、見覚えがあるような気がする。自分のことすら分からないのに変な話だが、この子には何か深い縁があるような気がする
「さて、どうしたもんか」
この少年、俺が目を覚ました場所にいたんだ。無関係という事はないだろう
「とりあえず起こすか」
そう思い身体を軽く揺すると、
「んっ、」
少年はすぐに目を覚ました。
「…アンタ誰?」
「俺が聞きたいよ」
「えぇ〜、?」
と同時に俺が一番聞きたい事を質問してきた
なんだ、この子がなんか知ってるのかと思ったけどそんな事ねぇのか…え?じゃあ俺このあとどうしよう
「アンタ、こんなところで何してるの?」
俺の存在が怪しいと思ったのか、多少は警戒したような様子で俺を見てくるが
「そう言われてもなぁ〜。そもそもここがどこかすらわかんねぇしなぁ…そうだ!お前、俺にいろいろ教えてくれ」
「いろいろってなんだよ」
「いろいろはいろいろだ。ここがどこなのかとか、…まぁ、そんぐらいしか今は知りたい事思いつかないな。あとは、俺が誰なのかぐらいで」
「変なやつ。まぁ、教えるぐらいはいいけどさ。ここは魔死領域の中層と深淵領域のちょうど中間あたり。絶望の途切れ目、希望の木漏れ日、って呼ばれる森だよ」
「まし、領域?」
「魔死領域を知らないのか?そんなんでどうやってここまで来たんだよ」
「知らん。気づいたらここにいた」
「はぁ?なんだよそれ…いいか、この世界はな」
それからいろいろ、俺は少年からこの世界の事について教えてもらった
だが
「それじゃあ俺は誰なんだ」
「いや、知らねぇよ」
結局、俺の記憶が戻ってくることはなかった
魔法だとか、魔物だとか、神だとか、光だとか闇だとか、創世神話だとかよく分からん話ばかりしやがって
なんも思い出せねぇよ
でも、魔法かぁ。面白そうな響きだな
「俺でも魔法使えるのか?」
俺がそう聞くと、少年は少し困ったような表情をした
「うーん、どうだろう。魔法ってさ、さっきも言ったけど魔力が必要なんだよ。でも、アンタは、その、魔力を持ってないんだよね」
「なんっ、だとぉっ」
それを聞いて、俺は膝から崩れ落ちた
「そんな落ち込むなよ。ほら、見せてやるから、<光球>」
「すげぇ何これ!触っていい?あ、壊れた」
「答える前に触んなよ。…あれ?今の魔法実体無いはずなのに触れたのマ?」
「おい、他の魔法も見せてくれよ!」
「…まぁ、いいけど。俺本で読んだのしかまだ使えないぞ?<温風><火種><冷水>」
「うわっ!すっげぇ!…なんか地味だな」
「おい急にスンってなるなよ。仕方ないだろ?お母さんに魔法書読ませてって言ったら生活魔法のススメって本渡されたんだから」
…これなら俺でもできそう
「<火種>!…これ叫んだらできるんじゃないの?」
「俺の説明聞いてた?やり方はさまざまだけど、術式に魔力を流し込むことで超常の力を発揮するんだ」
「なんか、感覚的にできそうだったんだよな。それに、」
魔力がないって言われたけど、身体の中になんか自分とは違うようなエネルギーを感じるんだよな
「術式に魔力を流し込めばいいんだよな」
「そうだけど。術式わかんの?」
「これだろ?…ほら、書けた。見せてくれたから覚えたぜ」
「合ってる…今の一瞬で覚えたのか?アンタまじで何者だよ」
「これに魔力を流し込めば魔法を使えるんだよなぁ?」
「そうだけど」
「そうか」
…これに、身体の中を流れるこのエネルギーを流し込んだらどうなるんだ?
「<火種>!」
「いや、無理だって…え?」
俺がエネルギーを流し込んだとたん、術式は瞬時に消滅してしまった
が
「なんで 魔力の反応は一切ないのに」
美しい炎だけは、俺の掌の上でゆらゆらと揺れていた
そして、
「そうか、俺は そういうことか、そういうことだったのか」
俺はついに失われていたすべての記憶を取り戻した
そして、理解した
「なぁ、少年。君の名前を教えてくれないか」
「なんだよ。急に。 クロス クロス・ゴッド・オーバーロード」
「そうか クロスよ。俺は記憶を取り戻したぞ」
「!取り戻したのか!それで、アンタの名前はなんていうんだ?」
「ふっ、秘密だ」
「はぁ?秘密?」
「そうだ、秘密だ。その代わり、お前が教えてくれたこと以外のことを教えてやろう。どうやら俺は世界最強の冒険者らしいんでな。」
「……まじで変な奴」
「俺にことは師匠と呼ぶがいい」
これが、クロスと師匠との出会いだった