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いずれ最強伝説  作者: piccle
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冒険者も学があるかないかで依頼料が変わる

「ほら、これが依頼の報酬とほかの薬草の買い取り代金だよ」


 そういってイメルダは革袋を二つ渡してくる


「おおぉ~、これが」


 おそるおそる袋の中身を確認する

 袋の中には銀貨五枚、大銅貨が四枚入っていた


「…報酬高くね?」


 それが俺の率直な感想だった


 大銅貨は一枚あればそこそこ旨いもんが食えるし、銀貨五枚もあれば一か月は生活できる

 しかもこれは二人で分配した値段なので本来はもっと高い

 そんな金額を一回の依頼で手に入れたことに俺は驚くと同時に疑問を抱いたのだ


 買い取ってもらったほかの薬草の価値が元から高いにしてもさすがにこれは変だ


「これ、何が原因でこんなに高くなってるんだ?」

「ん?ギルド長が言っていたじゃないか。品質が高かったって」

「でも、それだけで………いや、そういうことか」


 イメルダのその言葉で俺はすべてを理解する


 傷薬や、解毒薬、そんな薬を作る際、薬剤師はできるだけ品質の良い薬草を求める

 それはなぜか


 単純に効能が高くなるから、というわけではない

 高品質の薬草を使えば初心者でも高品質の薬を作ることができ、本来の効果に加えて追加効果が付与されるからだ。最高品質の薬草で薬を作ったともなるとその効果はけた違いになる

 また、薬の中には最高品質の薬草でなければつくれないものもある

 しかも、高品質の薬草を採集できる人材は多くない

 そのため、薬草は品質が高くなると急激に値段が上がるのだ


 あの中に高品質の薬草が一個ぐらいあったんだろうな。だから、俺たちに指名依頼がきてたんだ。まぁ、一回の依頼でこんだけ稼げたのは運がよかったな



 ここでクロスは大きな勘違いをしていた


 例え高品質であろうとも薬草一個では一般人の二か月分には相当するわけがなく、また、そんな薬草が一個まぎれていたからといって指名依頼をするなんてのはありえないのだ


「それにしてもクロス、指名依頼を受けたくなかったとはいえ、エメラルドへの推薦が交換条件に上がるなんてアンタたち、よほど丁寧な仕事をしたんだろうねぇ」


 まぁ、そうだな。大学で学んだ薬草の種類、特徴、採集の仕方、保存処理の仕方がこんな風に役立つなんて当時は思ってもみなかったな



「まぁ、指名依頼じゃなくてたまになら受けてもいいかな」




 ギルド長室


「はぁ~」


 そこでは大きなため息を吐く男がいた


「あそこまで好条件を出しても指名依頼を受けてもらえないなんて思ってもみなかったぞ。エメラルド推薦まで条件にだしたんだがな」


 ギルド長が様々な条件を出してまでクロスたちに指名依頼を受けさせようとしたのには、ある大きな理由がある

 今回の指名依頼、実は本来の依頼者、薬剤師ギルドから来たものではない

 そこよりもさらに高位の組織、国の薬剤に関するすべてを取り締まっている薬剤省からの直々の依頼だったのだ


「はぁ、なんて言い訳をすればいいんだ」


 さきほどよりもひと際大きなため息をつく


「なんでこんなやつらが新人冒険者として入ってくるんだよ」


 そう、イメルダが鑑定した内容を書き留めた用紙を見ながらつぶやく


 実際には最高品質が一個、その他も全部が高品質の薬草だったのだ






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