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「…力が欲しい」
「?いきなりどうしたのクロス。」
食事の手を止めたダイアが俺の顔を不思議そうに覗き込んでくる
こいつは俺の幼馴染であり、俺の悪友
一緒にいすぎてもはや兄弟とまで言える仲だ
「だから!力が欲しいんだって!」
「……なんで?」
しかしそんな相手にも俺の考えが通じないことがあるようだ
「男なら分かるだろ!」
「いや、私女だからね」
「男が急に力を求め始める理由なんて、一つしかないだろ!」
「え?…まさか、好きな人ができたとか?」
「ふっ…何を言っている。俺は基本ダイア以外の人間の区別ができないことを知っているだろう。だからそんなにじり寄ってくるな」
「それならいいんだけど……じゃあなんで」
「決まっているだろう。それは、俺が男に生まれたから……あぁ!待ってよぉ!」
先に食べ終わったダイアが食器を片付けて出ていこうとするのを引き留める
「もう…早くいくよ。今日冒険者登録するんでしょ?」
そうなのだ。昨日、俺の誕生日を迎え俺とダイアはともに15歳になったので一緒に冒険者登録をすることにしたのだ。
今日この日、神童と呼ばれていたダイアと天才とよばれた俺の伝説が始まるのであった
「ねぇ!ほんとにおいてくよ!」
冒険者ギルド
初めて来たわけではないが今日は冒険者登録をしにきた
今日から俺も冒険者かぁ
ギルド内を見渡す
「おぉ、なんか人がいっぱいいるなぁ」
「そこまで考えて感想がそれ?もっと他にもあったでしょうに…」
「えぇ?そうか」
再び冒険者ギルドの中を見渡してみる。
う~~ん。どこを見ても人がいるなぁ。でも、それぐらいしか…あ!みんな筋肉が凄い。特にあの女の人、女性のほうが筋肉はつきずらいはずなのにあんなに引き締まった体をしていて
「ちょっと、どこ見てんの?」
怒りのこもった眼差しと脇腹にズキリとした鈍い痛みをプレゼントされた
ひどい。ダイアがいうからもうちょっと考えようと思って見ただけなのに
そんな俺の講義の視線を無視してダイアは受付へ向かっていってしまう
理不尽だ。そう思いながらも俺は大人しくダイアの後をついていくのであった