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1話 異世界転移の儀

1話 異世界転移の儀


 初夏の様な暖かい日差しに眩しそうに空を見上げる

ボーイッシュな短めの髪にクリクリとしたパッチリの目に見るからに元気溢れる小柄な女の子、まとま。

校庭の渡り廊下で、気持ち良さそうに

グゥーとカラダいっぱい伸びをした。

ふぅと息をついて思いふける。

自分がなにになりたくて、何をしたいかかぁ〜

いろんなことしたいし、

まだ、なにになりたいかとかわかんないんだよねぇ〜、やってみたいことなんて山ほどあるしなぁ。

先程受けた進路相談を思い出していた。

なれるなら歌唄って人生楽しく送れるなら言うことないよねぇ〜。


まぁ、1番は異世界に行ってワクワクドキドキな

冒険がしたいのだけはわかってるんだけどなぁ〜。

ゲームでは限界あるしなぁ〜

と快晴の空にいっぱいに広がる雲を見上げる。


と、いろいろ悩み多きお年頃であるが、

気分は良いようで顔は笑顔。

なんだか今日はすっごくいい感じ。


しかも、特別な日だ。

「今日はなぜだか行けそうな気がする…。」

思わず、言葉が口にでた。


まとまより少し背の高い幼なじみのハスキーボイスの

ばってんが「行けそうな気がする?声に出てるぞっ!!wまとまっ!」

と、ニカっと笑いながら後ろで結んだ髪が

宙に舞うくらい飛び上がって勢いよく

まとまの背中に抱きついた。

「ちょっ!ばってん!?声出てた?!恥ずかしいんだけど、

そういうのは聞こえてても聞いてないフリしてよ!」

焦って顔を真っ赤にしながら、

絵に描いたようなアタフタをひととおりした後、

ふてくされて、膨れるまとま。

ばってんはその様子をじーっと眺めて

「ホントにまとまと一緒にいると退屈しないね」と、言う。


ちょっと怒った風なまとまが「もぉ〜!知らないっ!!」と、言ってぶーっと頬を膨らませる。

ばってんは「もちろんいい意味でしかないよ」


そして、小さくいつもありがとうと呟く。

ばってんもまとまの先程の進路的な同じ悩みをかかえて、ちょっと落ち込んでいたところをまとまを見つけたのである。

そんな感じで教室までの廊下を仲良く歩く2人。


あっと気がついたように、ばってんが言う。

「そうだ、今日もするんでしょ?アレ。」

まとまの顔がいつにもまして明るくなる。

「もちろん!しかも今日は特別な日なんだよ!!

みんな教室で待ってくれてるからいそがなきゃ!!

ばってん行くよ!」

と、教室に向かって走りだす、まとま。

追いかけるでもなく、

頭の後ろで手を組んだ状態のまま歩き、

まとまの後ろ姿を眺めながらゆっくりのんびり歩くばってん。

「特別な日?なんだろ?!まとまはホントにおもしろカワイイな♪」


異世界研究部と書かれた扉が

バッと勢いよく開きまとまが教室に飛びこんでくる。

「おまたせっ!!」

可愛い異世界研究女子部員の3人がまとまを見て、

おのおのに声をかける。

「ちょっと驚かせないでよ!」

「ホントにおまたせな!」

「先輩遅いですよっ!!今日も、もちろんするんでしょ?」

「そろそろ準備しないとヤバいんじゃない?!」

「間に合いませんよっ!」


まとまが元気いっぱいに言う

「さぁ!今日もやるよっ!今日こそ成功させよう!

異世界転移の儀っ!!」


さて、ここで今からまとまくん達の異世界転移研究部の部員がこれから行う儀式の説明をしよう!!


異世界研究部の歴史はなかなか古い、

そして倉庫の奥から出てきた過去に異世界に行ってきたであろう部員の書物とともに意味深な異世界の事が書かれた物凄く古い書物が発見され、それに書かれている異世界に行く方法によれば、4のつくものがキーとなっており、4時4分4秒に四角形の教室の4方向の端に1人ずつ立ち、そこから教室の真ん中に向けて腕を差し出して4歩で4人の手のひらを4方向から近づけ、真ん中で4人の手のひらで四角の空間を作る。

もちろん、本気で異世界に行きたいっ!と願うことはいうまでもない。

成功した瞬間にその空間に異世界への転移の扉が開かれると言う。

今までもう何回失敗したか数え切れないが古い書物と自分の熱意でここまで付き合ってくれる部員に感謝している。(部活動の一環ではあるのだが)

まとまが特別な日と言っていたのは、本日、4月4日なのである。

そして数えられないくらいと言ったが、

なにを隠そう今回が444回目のチャレンジである。

さて、いよいよ、いろんな条件が整ったのか?!


「んじゃ、いつも通り逆算して4秒前から4321でスタートね!!」ニッと笑みをうかべて、机の上に座りばってんが言う。


女子4人が了解とばかりに静かに頷く。

まとまの顔がキッと凛々しくなる。

ふぅーと深呼吸してその時を待つ。


行くよ!

4 3 2 1 !!


4人が息ぴったりに、いち!にっ!さんっ!しっ!!と同じ歩幅で前に進み!

ハイッと同時に右手を突き出す!!

今までで1番タイミングバッチリ!!

4人がそう思った瞬間!!!!

「ひゅっ」と手のひらに風を感じた。


4人がその異変に気づき「えっ」と声がでる。


小さな風を巻き起こしている真ん中に

黒色の球体なのか、空間に穴が空いているのか、

わからないがそこにそれはあった。


まとまがそれをもっと近くでみようと覗き込もうと

前のめりになった時、手のひらがその漆黒に触れた…瞬間っ!まとまの姿が消えた!!

 

「えっ」と他の2人は地べたにヘタっと座り込む、息を飲んで1人はそのまま固まる。


目の前でパッとまとまが消えた。


「マジで成功させちゃったのか?!まとまが消えた?!」

ばってんが目を見開いて驚き

叫ぶと同時に、机から飛び降り

椅子から自分の鞄をとっさに掴み、

漆黒のそれに手を伸ばす!


ばってんは瞬時に思考をめぐらす。

その黒いヤツの出現時間はどのくらい?!

自分が触れられる時間はあるのか?!


間に合えっ!!

と、ばってんがそれを掴む。

(まとまっ!ひとりで勝手にいってんじゃねー!!)


呆気にとられていた残された3人が

「「「ばってん!まとま!!!」」」

と、叫びつつも起きた現象に驚きすぎて動けないでいた。


「もしかして、成功っ!!!

やったーーー!!!」と思い

ガッツポーズをとった瞬間

まとまは特別な空間にいた。

…ここは!!

きっとココは転移中の空間のはず

今まで何千回と妄想していた場所!

夜の星空の中に浮いているがゆっくり下へと

降りている感覚がある。

この場所のできっと転移後のスキルとか決定される

大事な場所なハズ!絶対欠かせないスキルは〜と

声に出さずに思っただけなのだが。


「スキル・クラフトを取得しました。」

と、ナビっぽい声が聞こえた。

おおお!

チャンスチャンスチャンス!!!

ここで好きなスキルをっ!!!

1秒も無駄にできない!

とばかりにスキルの取得に必死になるまとまさんなのでした。


まとまを追いかけ、とっさに飛び込んでしまったばってんも同じく転移中の空間にいる、周りを見渡すがまとまの姿はない。

特別な空間にいることは、わかったけどこれ、

ちゃんとまとまと同じ異世界行くんよな?

んんん、まさかそれぞれの世界行くなら飛び込んだ意味ないんだけど、しかも、元の世界の戻り方ってなんだっけ?とか冷静に思っていた。

で、この空間ってなんだっけ?

まとまなんか言ってたな…。

ま、いっか。

なんか色々考えるの面倒だけど大事なんだっけかな?。

ま、なるようになるか。

ん、なんか声聞こえるな。

取得?

んー、あ、おっ、面白そうじゃんと、

ばってんさんもスキルを取得するのであった。

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