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プロローグ 


 ここはサウナか何かですか?と、そう聞きたくなるくらいに蒸し暑くて、そろそろ肉まんにでもなりそう。しかも、下水っぽい臭いが下からムワッと漂ってきていて気分はサイアクだ。

パパによると、蒸し蒸しした気候に、下水の臭いがしていた時は次の日か、そのまた次の日くらいに雨が降る確率が高いんだって。それを聞いた時は、んな馬鹿な!と思ったけど、その次の日、見事に雨が降って、めちゃくちゃビックリ!したのを覚えている。

パパからの情報を信じると(まぁ、偶然だって可能性もあるけど)今はその2つの要素が揃っているので明日辺りに雨が降る、かも。



 正直、明後日ならともかく明日降られるのは結構キツイ。何故なら、今のところ明日までに帰れる気がしないからだ。雨が降って、雨宿りしたまんま立ち往生なんて事になったら、ちょっと面倒だ。

だから、なるべく早いとこ帰らないとダメなんだけど……。


――NONOテラスってこんなに遠かったっけ……?――

割と家から近いと思ってたけど、歩きで行くとだいぶ遠く感じる。(てか、シンプルに道、間違えてる?)

ほんとは、自転車に乗れれば良かったんだけど。でも私の自転車は、半年前に、どっかの馬鹿にパンクさせられて壊されたので使えないんだよね。とっくのとうに粗大ゴミに出しちゃったし。 


 ラップで全身をぐるぐる巻きにされてるみたいにベタベタして(ていうより蒸し蒸し?)汗で服が背中に張り付いている。気持ち悪い。どこかクーラーの効いた場所で休みたいけど、なかなかそうもいかない。休む前に、とりあえずNONOテラスに辿りつかなきゃ。食糧調達をしなきゃいけないんだから。それに生活用品も。トイレットペーパーがそろそろ切れそうだし、あと洗剤も。水だけで食器を洗うのは、もうごりごりだ。


 それからチョコレート!チョコは絶対に欠かせない。

美味しい上に、「あれ」対策にもなる。ま、食べ物だから消費しちゃうのが残念な所だけど。半永久的に無くならないチョコとかあったらいいのに。食べた所から再生して、元にもどるとか。そんなのあったら最っ高!こんな風にわざわざ、夜中に買い物に出掛けなくて済むしね。


 NONOテラスは、家から1番近いショッピングモールだ。モールまでは車で約10分。電車で行けば、二駅で着く。 

 電車と言えば、あたしの家は最寄り駅からホントにすぐそこだ。どのくらい近いかと言うと、1、2分で着く。しかも歩きで。走れば30秒で着いちゃうかも。だから、所詮5キロそこそこの距離に煩わされる必要はない。まぁ交通機関が生きてたらの話だけど。


 NONOテラスは、都会にあるデッカくてお洒落なモールには負けるけど、品揃えは意外に充実している。

何より都会に比べると圧倒的に安いんだよね。全くおんなじ商品なのに、何であんなに値段に差がつくんだろ?おんなじ商品だったら安い方買うに決まってるじゃん?



 家から歩いて5分の所にスーパーはあるけれど、既に食糧品は尽きているし、近所のスーパーを2軒、回ったけど大して変わらなかった。

 NONOテラスに入っているスーパーは割と、規模がデカイ。まぁ、モールの中のスーパーって基本大きいけど、それも踏まえても広めだと思う。あの規模ならもしかすると、まだ品物が残っているかもしれない。

と、思って、ここまで歩いて来たけれど、見事に迷った。けど、迷うのも仕方がない気がする。

第一、今は夜だから辺りが暗すぎて方向が掴めないし、そもそも車で10分の距離がこんなに遠いとは思わなかった。


 それに、家を出てきたのが10時くらいだったから、多分もう夜中の12時は回っている気がする。ひょっとすると1時くらいにはなっているかも。

 とにかくこの街は、街灯ひとつ灯っていないから、どこまでも真っ暗闇が広がっているし、辺りを照らす光と言えばこの手に持っているちょっとベタベタする懐中電灯だけ。しかも電池切れかけ。さっきからチカチカ点滅してるし、そろそろ寿命を迎えそうだ。いつ電池が切れるか分からなくて、ちょっと怖い。いっその事、車のヘッドライトでも引っこ抜いて来た方がまだましだったかも。


 そういや、ヘッドライトと言えば従兄妹のサム•kがつまずいた拍子に、叔父さんの高級車にペンキをぶちまけていた。ヘッドライトはもちろんのこと、ボンネットや、窓ガラスにまでペンキがかかって、めちゃくちゃ叔父さんに怒られていた。元の光沢ある高級車に戻るまで、徹底的に掃除させられていた。(ま、サムが汚したんだからサムが掃除するのは当たり前だけど!)

ホント、笑える。


 サム・K、というか、叔父さん一家はうちから徒歩2分位の超!近場に住んでいたから、サム・Kは割とよくうちに遊びに来ていた。遊ぶと言っても、大体はゲームやるか映画観るくらいで飽きたら帰る、と言った感じだ。サムは、あたしが寂しくならないように一緒に居てやってるんだ!とか言ってたけど、絶対にただの暇つぶしに来てたに決まってる。暇つぶしならサムは友達がたくさん居たし、その友達と遊べば良かったのに。わざわざうちに来るなんて迷惑な奴だ。自分の従兄妹ながら嫌になる。


 そういえば、サム・Kの事で、もう一つ思い出した。

サム・Kは時々、おじいちゃんみたいな事を言う。

コンビニとか、スーパーとか、モールとか、そういう建物を見て、ほんとに文明って便利だよなーとか言っていた。その時は、何言ってるんだこいつぐらいにしか思っていなかったけど、今ならサムの言っていた意味が分かる気がする。

ホント、文明って偉大だ。無くなってみないと分からないって、まさに今の事を言ってる。文明が、ていうか主に明かりが無くなった世界がこんなに暗いなんて知らなかった。


 コンビニや街灯、玄関先の灯りが常についているから、わざわざ懐中電灯なんて持たなくても良かったし、道に迷ってもすぐにスマホで調べられた。(今思うと、Googleマップってめちゃくちゃ偉大だ。)なのに今は前も横も見えないし、道も分かんない。

 家を出る前に、地図で道順を確認して来たはずだったのに。どこで間違えたんだろう。



 とにかく、いつまでもこんな所に突っ立っていれば、そのうち朝になってしまう。そして、それはちょっとまずい。かと言って、既に徒歩2時間の距離を歩いてしまっている(体感だけど!)し、今更引きかえすのも勿体ない気もする。もうちょっと進んでみようかな。というのが、さっきから続いている。キリが無い。ほんとに、そろそろ引きかえすべきかも。

 何より、このまま朝になってしまうのが1番怖い。それに懐中電灯の残りの電池も心配だ!

モールじゃなくてもどこかの建物に入れたらいいんだけど。

それに……

”あれ,,は朝や昼に活発に活動する。

建物内にいれば安全かもしれないけど、とにかく外に居るのは結構ヤバい。


 なんで見つからないんだ!という思い(ほぼ八つ当たり)

を込めて、チカチカし続けている足元に、転がってた石ころを蹴ってみる。ころん。ころころころ。地味だ。でも、ちょっと楽しくて、もう一回、もう一回とついつい蹴ってしまう。それを何回か繰り返した後、石がカツンといって止まった。金属に当たったような音だった。うっすらとPの文字が書いてあるのが見えた。

 パーキング、つまり駐車場って意味の看板が立っているみたいだ。しかも割と大きめの看板。こういう感じの看板が立っている所には大抵、おっきい建物があったりする。ん?という事はもしかして?

まだチカチカしたまんまの懐中電灯を上に向けてみると、そこにはドでかい建物がそびえ立っていたのだった!



初投稿です。温かい目で見て頂けると幸いです。

主人公の女の子は、中学2年生くらいの設定です。なので少し話し方が子供っぽい話し方になっています。

次話から、ガラッと話が動くと思います。

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