第9話 ゴブリン
9. ゴブリン
もふもふ犬のユキミは洞窟の奥の方を見ながら、警戒態勢をとっている。
すると、洞窟の奥から例の緑色の魔物が姿を表した。
「うぁぁぁぁ、あの気持ち悪いのが出てきた」
ヨシノは最初に追いかけられてから、ゴブリンに対してかなりの恐怖を感じている。
「ヨシノ。大丈夫だから。あれはゴブリンといって、あなたのユキミがやっつけたコボルトよりも弱いから、安心して。それに、私たちもいるし」
ナオミがなんとかヨシノを安心させようとしているが、ヨシノは怖くて、ナオミの言葉はあまり耳にはいっていない。
すると、セトの方が前に進み出た。
セトの方はシルバーのアーマー姿で、盾と鎧という重装備だ。
「ヨシノ。見ていて。大丈夫だから」
セトはそう言うと、ゴブリンの方に一人で向かっていった。
しかし、ゴブリンは5体もいる。
「セトさん。五匹もいるんだよ。危ないよ・・・」
「大丈夫、見ていて。それにもし何かあったら私がこの弓でやっつけるし、あなたのユキミもいるんだから、ねっ」
ナオミにそう言われて、ヨシノは少し落ち着きを取り戻することが出来た。
セトは、ゴブリンの集団のほうに突っ込んでいくと、1体のゴブリンが剣を振りかざしてきた。
それをセトは剣で受けることもしないで、さっと交わして、頭から切りつけた。
その瞬間、そのゴブリンは消えてなくなった。
ヨシノは、ゴブリンの死体が転がっていないので少しホッとした。
だが、それをみた、ゴブリンが3体同時にセトに切りかかってきた。
「あっ、あぶない!」
わたしが叫ぼうとすると、その瞬間にはもう三体とも消失し、魔石になっていた。
「すごい・・・セトさんってすごく強いんだね」
そういうと、横でナオミがヨシノに声をかけた。
「じゃあ、私がすごいところも見てもらおうかな」
ナオミはそう言うと、まだゴブリンまでは20メートルほどの距離があるのに、弓を放って、その最後の1体のゴブリンを消失させた。
「すごい・・・こんなに遠いのにやっつけるなんて」
「ああ、これは弓だからね。遠くの距離からやっつけるなら弓が役に立つのよ」
「ナオミさんも強いんだね」
「ヨシノも弓を手に入れたんなら使ってみたら。その小さい弓ならヨシノでも使えるようになるよ」
「ホント?じゃあ、お姉ちゃん教えて」
「お姉ちゃん? そうね。じゃあ今度からお姉ちゃんでもいよ」
「じゃあ、この洞窟を進みながら弓の練習をしながら行こうか」
「うん。ありがとう!」
セトは魔石を5つ持ち帰り、何やら話したそうにしている。
「ヨシノ。この魔石は君に渡しておくよ」
そう言うと、5つの魔石を手渡した。
「このゴブリンの魔石は特別な使い方があるんだ」
ヨシノはセトの話に耳を傾けた。
ブックマークつけてくださった方ありがとうございます。