第8話 聖獣師?
9. 聖獣師?
ヨシノは二人に連れられれ洞窟に戻って来た。
洞窟に入ったので、わたしが自分の持ってきた懐中電灯の明かりを灯すと、2人は驚いたように懐中電灯に見入っていた。
けれど、わたしにしてみれば二人の灯したランタンの方が驚きだった。
二人は、何やら赤色の魔石をマッチのように地面に一度こすりつけると、そのままランタンの中に装着した。すると、その魔石から炎がいつまでもでているのだ。
「ナオミさん。そのランプはどうやっているんですか?」
「ああ、これ? これは私たちの住んでいるこのお城から北に馬で一日くらい進んだところにあるエルツの森というのが、私たちの住んでいる森なんだけど、その森では昔からこうやって火を灯すのよ。普通は油を使うんだけどね。私たちはレッドスライムの魔石を使うの。お金かかんないしね」
「へぇーすごい。魔石って、これですか?」
すると、それを見た、セトが目を見開いた。
「へぇヨシノはコボルトをやっつけたことがあるのかい?」
「わたしじゃなくて、このユキミがね」
「しかし、君の年齢でダイヤウルフを使役させてるってすごいことだよ! ひょっとすると聖獣師の適正があるのかもね」とセトが言った。
「聖獣師?」
「ああ、聖獣師というのは、人間が使役できる聖獣と人とを契約させることができる人のことをそう言うんだよ。とれも珍しい職業で、一国に一人いればいいほうって言われるくらい珍しいんだ。お隣のゴール帝国は、今血眼になって聖獣師を探しているって言うよ。そのくらい少ない職業なんだよ」
「へぇ。セトさんは見たことあるんですか?」
「いや。俺は残念ながらないんだ・・・でも、ナオミは地竜をもらった時に、聖獣契約させてもらってるんだ」
「ナオミさんは竜に乗れるんですか!!」
「ええ、私は一応竜騎士ってことになってるわ。さっきあなたのことを助けてくれた、ブレードも竜騎士よ。でも、今回は、あなたがたのお供だから、竜はブルックスのお城に置いてきたの」
「その竜との契約はどんなふうにやるの?」
「ヨシノが持っている竜晶石を、まだ飼い主のいない地竜の頭の上に置いて、新しい名前と一緒に、決まった言葉を唱えるのよ。そうすると、一瞬あたりが輝きだして、その光に包み込まれると、契約は終了。そんな感じよ」
「なんか、わたし、ユキミと約束したときも同じような光があったかもしれません。ずーっと一緒にいられますようにって言ったら、光にぱーっと包まれたんです」
「あらぁ私の時と同じねぇ・・・ヨシノ本当に聖獣師になれるかも。もし、竜が見つかったら、そのセトにやってあげてみて」
「あっ はい。分かりました」
セトは目を輝かせて喜んでいる。
「セト、あんまり期待するんじゃないわよ。竜なんて、めったに出てくるものじゃないし、この洞窟の竜はもうみんな捕獲されたばかりなんだから」
「分かってるって。ナオミは意地悪だなぁ・・・」
そんな会話をしながら洞窟を進んでいくと、急にダイヤウルフのユキミが唸り声を上げ始めた。
「ぐるるるるるるるるるるる」
「どうしたのユキミ?」
「何かいるみたいね。気をつけてね」