第7話 2人の仲間
7. 2人の仲間
食堂と言われて連れられて行ったのは、変わった建物の2階だった。
一階は冒険者ギルドと呼ばれるところで、その二階が食堂になっていた。
建物に入ると、ダイヤウルフを連れた子どもというのは人目を惹くらしく、みんなにじろじろと見られたが、ヨシノは、自分の連れているユキミをみんな見ているのだと気づいて、どことなく誇らしい気持ちになった。
ブレ―ドさんは、受付の綺麗な女の人に一声かけると、そのまま二階に案内してくれた。
「何か飲むか?」
そう言われて、自分が喉が渇いているのだと気づいた。
「冷たいお茶をください」
「うーん、たぶん冷たいお茶はないかなぁ 水でもいいか?」
ヨシノは頭をこくりと動かした。
「お腹が空いたので、何か食べたいです。お金ならあります」
そう言って、ヨシノは小袋から金貨を出して見せた。
その時、ブレードはお金の横にあるものを見て、目を大きくした。
「じょうちゃん、それをどこで?」
「ああ、このお金ですか? 洞窟で拾いました」
「いや、お金じゃなくて、その竜晶石の方だ」
「この綺麗な石ですか。一緒に中に入っていました。警察に届けた方がいいですか?」
「警察? 何のことか分からないが、そんなものはないよ。自分で洞窟で拾ったのなら、自分のものだ、その武器も自分のものだ。心配しなくてもいい」
そう言われて、ヨシノはほっとした。
「俺が聞きたいのは、その緑の石の方だが、それは竜と契約をするときに使うものだ。いくつある?」
「3つです」
「みっつ!!! それ一つで家が何軒かは建てられるとても貴重なものだぞ。じょうちゃんは、ダイアウフルといい、その竜晶石といい、とてもついているようだな。だが、それを欲しがっている奴は沢山いるので、気を付けた方がいい」
「あのぉ、それなら、のの石、ブレードさんにあげます。その代わり、わたしが出て来た洞窟から帰りたいので、できたらあ、無事に帰ることができるように、その洞窟について来てくれませんか?」
「どこの洞窟だ? 名前は分かりません。このお城の西の方にある洞窟です」
「ああ、アイゼンヘーレの洞穴のことだな。そうか、それなら何人かおじょうちゃんに付けてやろう。幸い、今暇そうなのが2人いるし」
ブレードさんがそういうと、食堂の奥にいるお兄さんとお姉さんに声をかけた。
近づいて来たのは少しふっくりした大学生くらいの女の人と、もう一人は高校生くらいに見える男の人だった。
「こいつは、ナオミとセトという。19と17だ。こいつらはそこそこ強いぞ」
「この子はヨシノ ダイヤウルフの方はユキミって言うんだと。この子をアイゼンヘーレの洞窟まで案内してやって欲しい。ゲートができたのかもしれん」
「ブレード、そこそことは失礼ね。私だって結構強いんですぅ。ヨシノちゃんて言うのかな。よろしくね。」
「俺は、まぁそこそこ強いとまでは言えないけど・・・まだ竜も貰えないし・・・」
「おい、セト ブツブツ言うのはお前の悪い癖だなぁ。まあ、こういう変わった奴らだが、腕は確かだから、安心してくれ」
「ナオミさんとセトさん、よろしくお願いします。わたしが帰るのを手伝ってくれたら、これを差し上げます」
そう言って、竜晶石を見せると、セトの方は顔色を変えた。そして、いきなりヨシノに近づいて来たかと思うと、いきなり握手をして来た。
「旅の安全は、ぜひ、俺にお任せ下さい」
そう言って、手をぶんぶん振り回してきた。
なんとか、これで帰れるようになるといいけど・・・ブレードさんが紹介してくれたお兄さんとお姉さんが一緒に洞窟に行ってくれることになった。これで家に帰れるかもしれないと思ってわたしはだいぶほっとしたのだった。