第5話 戦利品
5. 戦利品
ユキミが犬人間から落ちた綺麗な石を見つめている。
「これって、魔石とかっていうやつかなぁ、確か、アニメで見た時は、ギルドとかに売りに行くとお金になるやつだ」
すると、その一つの魔石をユキミが一つ食べてしまった。
「ユキミ? それ食べ物じゃないよ? 大丈夫なの?」
ヨシノは魔石を食べてしまったユキミを心配して見ていたのだが、どうも問題ないようだ。
そして、魔石を食べた後から、少し元気になった気がする。
残りの魔石には興味を示していないので、残った2つの魔石を拾い上げた。
「さっき袋の中に入っいたのは魔石だったのかなぁ」
ヨシノは袋から出して確認してみることにした。しかし、明らかに違うようだ。
魔石の方は親指大の大きさだが、緑の綺麗な石のほうはタマゴほどの大きさがある。
「ユキミ、ちょっと元気になって良かったね」
その周りには、さきほどの犬人間が持っていた剣、槍、弓、矢筒が落ちている。
重そうだけど、弓のセットと、剣だけを持って行くことにした。
何となく、剣を持って振り回してみる。
自分で使える気はしないが、弓の方なら使える気がする。
一度、矢を持ってつがえてみたが、弦が堅くてあまり引けないのと、矢を持って引くと、矢が変な方向をむいてしまい全然使えそうにない。
「ダメだ・・・難しい。 プリキ○アのようにはできないのかな?」
おかあさんはそういうおもちゃをいつも買ってくれないので、ヨシノにとっては念願の弓だ。弓を手にして何となく、嬉しい気持ちになっている。
今の持ち物を確認して見てみた。
ヨシノ:10歳 女
白いもふもふ犬:ユキミ
持ち物 リュックサック、水筒、お菓子、タオル、緑の綺麗な宝石3個、金貨3枚、魔石2個
剣、弓、矢筒
これがゲームならけっこういいスタートのような気がする。
ちょっと剣が重いので持って行くかどうか考えたが、重くて持てなくなったら途中ですてればいいと思って、持って行くことにした。
ユキノに連れられて行くままに、歩いていくと森の中に、急に見事なお城が見えて来た。
人がいるところに来るのはちょっとドキドキするが、これで少し安心することができる。
お城は、ヨーロッパにあるお城のような雰囲気だった。
「うわーこれ、テレビで見たのがそのまんま出て来たみたいなお城だ」
そんなお城に圧倒されながら、ヨシノとユキミはそのお城の中に入ってみることにした。
お城の門は開け放たれている。
そのお城に入ろうと思って、城の入り口の門を潜ると、そこにいた兵隊さんに呼び止められた。
「おじょうちゃんはどこから来たのかな?通行書か何かもってる?」
「通行書?」
不思議と言葉は通じるようなのだが、「通行書」というのがよく分からない。
「通行書がないと、この城に入れるわけにはいかないんだよ」
「えー、入れないの?」
そこで、ヨシノは思わずへたり込んでしまったのだった。