竜騎士長様は高所恐怖症につき！

「俺は相棒の飛竜と一緒に飛ぶのが好きだったんだ。――でも、戦争で仲間や飛竜たちがたくさん落ちていくのを見て、俺自身も相棒を失って……そこで初めて気付いたんだ。いつか翼は、堕ちるものだって」


職業斡旋所に務めるシーウィの元に依頼が届き、やってきた場所は何故か王国軍の北域駐屯基地。しかも依頼人のディックは竜騎士長で、元英雄で、貴族様で――だけど高所恐怖症で飛べなくなった、不潔な変質者だった……？
彼のために転職先を探すがうまくいかない。それもこれも、彼の立場やトラウマが原因だった。

5年前の戦争。他国の謀略。裏切り。喪失。依存。
それらが大きな火種となり、やがて世界を巻き込む戦火となる。


――――これは過去（トラウマ）を乗り越え、人生と向き合う者たちの物語。

「俺はもう空は飛べないけど、だけどもう、誰も飛竜も堕ちない“空”になればいいと思うんだ」

ただ願うは、平穏だけだというのに。