フェーズ2まもなく始動!!に水を刺すモノ
にゅー(゜ω゜)
「ヨッシャー!ヤッフー!皆ー!俺ヤッタドー!」
ユージが跳ね回りながらリビングドームに駆け込んできた
「ん?」
「エッ?」
「ハァ?」
「もしかしてユージ君!」
ユリアの問いかけに大きく頷きユージはスマホを掲げて見せる
「ドヤー!俺の一本目の世界樹植林成功だー!ドヤー!」
「オオー!ユージおめでとうー!」
「やるなー!ユージ流石だ!」
「キャー!ユージさっすがー!」
「ユージ君おめでとうー!」
リビングドームは歓声で沸き上がる
(進み始めたの!アラヤの考えたが正しく進み始めたの!)
俺の心の声も嬉しそうだ
そう割りきる事にした
だって異世界ナンダモノ
何でもありだろう
ファンタジーがあっても良いだろう
だって神様とメールのやり取りが出来る世界
神様に愛される世界
いいじゃないか心の声が男女で何人いたとしても
《アラヤは深く考える事をやめた…》
「ユージ良く頑張ったな!」
「ああ!おっさんの言う通りに粘ったんだ!そうしたらおっさん言った順番の畑の程度に出だしたんだ!そんで最良が出たんだ!おっさんこのメモメッチャ役にたった!」
俺がコツコツと書き留めたファンタジー・ファーマー・ファクトリーのメモ帳
皆に配ったデータ集
ゲームと言うものは難しくてもある程度の法則がある
一見ランダムのようであっても
確率と言うものにはどうしてもある程度の法則が出てくる
多くのデータが必要になるが成り立て新人ニートにはそれを集める時間がある
情報を集める資金もある
データ集めはネットの中にも沢山ある
それを精査してパソコンで纏めたものをスマホにアップロードしメモ帳にして皆に配った
一昔前なら手作業でどれだけかかるのか終わりがあるのかさえわからない作業だけど
パソコンの進化とネットワークの進化で作業は楽々
時間さえあればポチポチカチカチとやればデータはそろう
まだ日本にいた頃に集めた世界樹の育成データ集
みんなで共用しない手はない
最低でもアラヤ達とミリーシアエルフ達の人数分の世界樹が必要となる
世界樹の育成出来る人数は五人しかいない
1本でも多く育成せねばならない
更にこの世界の大地に植え直さなければならない
アラヤにも当然焦りはあった
しかしユージが光明を見つけた
見つけてくれた
心からアラヤも喜ばずにはいられなかった
例え世界樹を植えた事で世界の滅びが加速したとしてもアラヤは世界樹をこの世界に植えなければならなかった
みんなの為に今を生きるモノ達の為に
小さな生命の息吹きを少しでも広める為に
生あるモノ達に僅かにでも安らぎを与える為にも
アラヤ達は今日も畑を耕し続ける
とは言うものの主にベヒモスシリーズ達がなのだが。
日が長くなりプールで皆と等しき遊び夕食後に一機のワイルド・ベヒモスの反応がリンメル草原に近付いて来ていた
俺は素知らぬ振りをして皆が寝静まるまで持ち出す装備品を調え身支度を済ませた
ぐっすりと寝ているミリーシアの額に軽く口づけをしビッグ・ミラージュ・ガード・ドームから出てワイルド・ベヒモスの向かって来る方向に走り出した
「我が声に応え我が箱庭から出でよ!ユニバース・ベヒモス!我と並走し我に敵意ありし者の元へ最大速度で運べ!!」
俺の言霊に呼応し夜の闇に深紅の体躯を月明かりに照らし出され力強い駆動を上げ俺左側を並走するユニバース・ベヒモス俺が少し速度を落とすとコックピットドアが開き俺を吸い込む様に搭乗させると魔道内燃機関の回転数がみるみる上がりユニバース・ベヒモスの速度もぐんぐんと増していくそしてリンメル草原から25キロメートル程離れた位置にワイルド・ベヒモスが停車しておりその橫に人影が見えた
「くそ、急に止まりやがって動け!このポンコツ!戻れマシンビースト!消えろ!気付かれちまうだろうが!消えろってんだ!」
男が文句を言いながらワイルド・ベヒモスの右前輪を蹴飛ばしていた
「そんな風にその子を扱って欲しくはないんだかな。
『ワイルド・ベヒモス!我が元に還れ!箱庭へと還れ!』で、要件はなんだ?破壊の勇者、お前の同郷の群の連中達はどうした?」
俺は解り切った事を目の前にいる破壊の勇者に平静を装った声で聞く
「へっ!足りねぇんだよ!食っても喰っても足りねぇんだ!」
そう叫ぶ破壊の勇者
装備しているボロボロの衣服と鎧に下半身は剥き出し
(全くあやつは何者じゃ!男の持ち物に儂は興味はないんじゃ!)
その通りだとアラヤも頷く
どうやらまた馬鹿が出たようだ
「ふぅ、お前ら破壊の勇者は馬鹿だろう?」
「何だとこの*******野郎!」
半ばが放送禁止用語だったようで聞き取れなかった
「お前の股間にぶら下がるモノのことを言ってるのか?確かにフニャフニャしているようだな。短くまだ被っているようだしな。馬鹿なお子様のようだな」
自分の股間を見て慌てて腰当てを引き下げようと引っ張る破壊の勇者
「くそ!あの女達を喰ってそのままヒリ出した時に履き忘れちまっただけだ!見るな!」
「そんな粗末なモノを見たくもない。その辺りに生えているお前の股間のモノより大きな葉で隠せばいい話はそれからだ」
「くそ!待ってろ!ここにこうしてよし、これでいいだろ!食いものを養分を出せ!この星の食い物も原生種族を喰っても腹が満たされねぇんだ!」
「馬鹿な悪食の異星人め…出したところでお前にはもう無駄なだけだ。他の到来者達に渡した方が遥かに役に立つ。馬鹿に喰わせる飯はねぇ!」
「何だと!ここまで来るのにどれだけかかったのか判ってんのか!俺は腹が減ってるんだ!テメェを喰ってもいいんだ!降りてこい!」
「お前馬鹿だろう?お前が振り撒いている放屁に猛毒が含まれている事を俺が知らないとでも思っているのか?」
「くそ!ようやくパワーが戻り始めたんだ!喰わせろ!テメェを!!」
「お前の話は飯の事だけか?群の連中をその汚い股間から何処に撒き散らしてきた?ドーム外なんて言ったら報いを受けて貰うお前達のドームは特別に誂えたモノだったからな。俺のかけた手間隙を無駄にしたのなら許しはしない」
「はっ?そんなところでびびってフンゾリ反っている弱腰野郎は言われた通りに養分を大人しく出せ!出さなければ勇者達や原生種共の住みかに乗り込むぞ?いいのか?ああ!」
「お前本当に馬鹿だろう?その街や到来者達のドームにはどうやって行くつもりだ?」
「載って来たマシンビーストに乗ってだ!…ああ!いねえ!出て来やがれ!!マシンビースト!…?出て来いマシンビーストー!…?くそ!テメェだな!俺のマシンビーストに何をしやがった!!返しヤガレ!」
何を思っているのか俺の貸し出していたワイルド・ベヒモスを返せと言い出した
「いつワイルド・ベヒモスがお前に譲渡された?ワイルド・ベヒモスはお前達に貸し出していただけだ。手荒く使う馬鹿にはもうかせん。歩いて帰れ。お前の同胞達の排泄物に生まれ変わった亡骸が暫くすればゲートに変わるだろう。そこまで歩いて行け。お前に用はない。とっとと消えろ」
「何だと!テメェ寄越せ!歩いて戻れだと?歩きで戻れるわけ無いだろう!俺は3日もなにも喰ってねぇんだよ!帰れるはずがねぇ!辿り着く前に養分が切れて干上がっちまうだろ!」
「知らんな。食糧を最初に渡したときのメモを見直せ馬鹿者。ユニバース・ベヒモス、リンメル草原に全速戻れ」
「待て!待ってくれ!メモを見る!…そんな…そんな馬鹿な…俺は…俺はどうなるんだ…?」
「どうもこうもお前は再び順応してしまった。もう元の世界の強度の生物には戻れない。ゲートを潜り肉片となって時空の狭間にでも吸い込まれて消滅しろ。同胞達まで喰らうとは悪食にも程がある。ようやく会えたと泣きながら抱き会っていた幼なじみの彼女達までも喰らうとはな。お前の生きているせいでこの星に悪影響が出ても困るな。『スペシャルクリーンルームミラージュ・プリズン・ガード・ドーム!ブラインドを展開し中のモノが廃棄物になるまで地中深くに潜航せよ!ドームと廃棄物は適切に浄化処理したのち消滅せよ!』お前のせいでフェーズ2までの準備が滞っている。俺は頭に来ているんだ相当にな。それとも今すぐ俺が引導を渡してやろうか?この吸魔刀《黒穴》で」
破壊の勇者にストレージから取り出した吸魔刀を左手で掲げ持ち上げ見せる
「馬鹿な…ありえねぇだろうが!超重力を…武器に?そんな馬鹿な!お前が造ったのか!世界をお前が滅ぼす気か!」
「俺が作り出した物では無いから知らん。危険だから預かっているだけだ。精魂込めて耕している畑を自分で壊す馬鹿はいない。馬鹿はお前で最後にして欲しい。ドーム!潜航開始!」
「待ってく……」
破壊の勇者をミラージュ・ガード・プリズン・ドーム
は叫ぶ破壊の勇者を包み込むと慌てた土竜の様にいそいそと地中に消えて行った
|д゜)チラッ
誤字脱字報告ありがとうございます!
これからもよろしくお願いいたします!