第一関門終了!
「それじゃあ、派手にいきますか。」
俺は両掌の向日葵の種に魔法力をたっぷりと込め召喚儀式の間にばらまく様に弾き飛ばす。
召喚儀式の間の徹底破壊をする。
再建も出来ない様に。
「養分が無いのが残念だ。養分があれば向日葵畑になるけどな。まぁ仕方がないか。」
床には大きな穴が無数に開き穴の深さもあり人が踏み込めない様に念入りに破壊した。
全ての柱も破壊し天井も無くなった。
もはや部屋ではない。
入り口を入れば穴。
外、以上。
綺麗に破壊しつくした。
「あとから更に壊すがな。人が城からいなくなればいつも通りにやるからこんなものか。ケイ達も球コロを手にいれているだろう。さて、そろそろ俺も様子を見に行くとするか。」
空になった両ポケットに手を入れて確認して球コロの部屋に俺は向かう。
扉のドアノブを回し扉を開ける。
「「バ○ス!!」」
ユージとユカの声が聞こえた!
途端に強烈な閃光が俺の両目を貫く!
最後の破壊の言葉を唱えた少年と少女がここにもいたようだ!
「グァ!目が、目が~!」
右手で両目を覆い左腕を伸ばし探りよろよろと俺は球コロの部屋に入って行く。
「プッ!おっさんマジでマストだな?なんでなんだ?プハッハハハハハ!」
「おじさんちゃんと合言葉聞こえたでしょ?目を隠さなきゃ。プフフフ」
「アラヤさんよ何度目なんだ?合言葉の意味がネェ。球コロの開放は終わって俺のモンになったぜ。ユカいつものをアラヤさんに頼む。」
「アラヤさん大丈夫ですか?私の手を握って下さい。!ここです。」
「ユリア?ああ、ユリアありがとう。いつもより強い光だったな?」
「おじさん、たぶんミリーシアさん達もたっぷり魔法力を入れたからかな?『フルブラインド・キュア!』おじさんどう?見える?」
ユカの手が俺の両目蓋に触れ魔法をかけてくれた。
目を瞑っているが段々とユカの手の温もりが伝わりズキズキと刺すような痛みも段々と無くなっていく。
俺の身体に沢山の手が触れてくる。
とても優しく暖かい。
「アラヤ様。あのような強い閃光を受けていたのですね?目が見えなくなるはずです。皆もアリシアも心配しています。皆もアラヤ様に癒しを。母なる守護大樹よ癒しの力を与えたまえ。『フルリカバリー』」
『『『『『『フルリカバリー』』』』』』
ミリーシア達の魔法のお陰で身体中がポカポカと暖かい。
「凄く身体が暖かい。ありがとう皆。ユカもありがとう。目の痛みも無くなっていく。もう少しで見えそうだ。いつもより凄い閃光だった。皆は大丈夫だったのか?」
「合言葉の前に目隠しをしていたから大丈夫だったよおじさん。」
「おっさんやっぱ掛け声は大事だな?目隠ししてたけど光メチャ強かった。おっさん目潰しはあれはヤバイな?」
「だろ?ユージは一回喰らったから判るだろ?来る!って解っていても見ちゃうんだ。咄嗟に目を瞑って隠すって出来ないんだ。反射神経鍛えなきゃな~」
「て言うかアラヤさんよ目隠しのタオルは?頭に巻いて無かったよな?」
「あ、出すの忘れてた。向こうの部屋の破壊に気を取られて忘れてた。」
「アラヤさん向こうの部屋で何かあったんですか?」
「んー、まぁ、あったかな?到来者達とその荷物が思いの外多かったんだ。それで蓙を出すのとドームを少し多く出したり仕舞ったりしたからタオルを首にかけるのを忘れてた。」
「そうだったですね。理解しました。お手伝いに行けなくてすみませんでしたアラヤさん」
「いや、ユリアは悪く無い。俺が手間取っただけだ。見たことの無い道具や危なそうな武器が幾つかあったから厳重に仕舞っていたからだ。可動方法も判らないモノは迂闊に触ると危険だからな。ノエルと俺の許可がないと取り出せ無い様にしたりしていたからな。」
「そうだったのですね。やはり召喚儀式の間はこの国のモノ達には勇者と言う武器を手に入れるだけの装置だったのでしょう。なんて野蛮な。」
頷くミリーシア達も少し怒りが漏れていた。
「マジか。アラヤさんとノエルの封印ってヤバイな」
「ああ、ケイ。この星ではほぼ可動が出来ない兵器もあったからな。もし使用出来る者がいたなら戦局が一気に帝国に傾いていただろう。まったく繋がるゲートがランダムなのが危険なんだがな…」
「アタシ達みたいに魔法書を読むだけでぶっぱなせる
人が来てたんじゃないのかな?」
「ユカ多分来ていただろう。けれども上手く騙して例のアクセサリーで抑え付けていたんだろう。」
そう言い終わると俺は謁見の部屋を見回した。
「アラヤさん?」
「あ、ユリア達は見なかったんだったな。厄災になった到来者達の後始末がいつもより強烈だったからやり残していないか確かめていたんだ。」
「うはぁ、俺見なくて良かった。おっさん掃除ありがとう」
ユージとユカは床に適度な穴が開いた部屋を見回していた。
「あんた、ブラッドバスになってたここの部屋を掃除をこんなに綺麗に片付けていたのか。だからタオルで目隠しをしておくのを忘れてたんだな。ありがとうアラヤさん」
「まぁ、目隠しを忘れていたのはいつも通りだ。ここの状況はケイ達に見せられる物じゃ無かったからな。下の廊下よりも多くの解放者が8階に上がって来ていたんだ。」
「じゃあ、おっさんあいつらいたのか?」
「おじさん大丈夫だったの?」
「ああ、忠告を流した時はまだ解放者達は数人居たが装飾者を目標にしていたから俺には目もくれなかったから安全だったよ。心配させたなユージ、ユカ。」
「彼らは予定通りに放置ですね?アラヤさん」
「ああ、ユリア。解放者達もしばらくは帝都で暴れまわるだろうが装飾者達が一通り居なくなれば落ち着くだろう。俺達がわざわざ危険を犯してまで介入して無理矢理止める意味はないからな。俺達はこの国から予定通りに離れる。一応これで第一段階完了だしな。リンメル草原でノエル達に報告しないとな!」
俺達は皆で拠点のリンメル草原に帰る事にした。