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嵐の前に心の洗濯を

風呂から上がって髪を乾かすまでが入浴だ!

(嘘です。)

「いい眺めだ。まさしく空中庭園だな…。」

俺達は空中庭園のど真ん中の噴水の前にベンチを並べて置いて食後休憩中だった。


「ヤベェ…クソヤベェ…マジで…昼寝に最高な…おっさん…空が(ちけ)ぇ…」


ユージは夢心地の様だ。

静けさに包まれた中で聞く鳥の囀ずり良い子守唄になる。

ユカはユージに(いだ)かれて寝ている。


「アラヤさんよ…マジでやるん?(破壊するのか)


ケイが勿体無いと思っている様だ。


「ああ、やる。この国中にいや世界中にかな?勇者召喚と隷属の指輪は大罪だと知らしめる為に。王様にも近隣諸国に勇者がいるのなら隷属の指輪から解放させろと手紙を出す約束を駒遊びの時にしたんだ。近隣諸国のスパイ達は多分城下町に集まるだろう。勇者達を怒らせた報いがどういうモノかをその身で感じさせる為にね。それに少々舞台演劇っぽさを演出しないといけないからな。ド派手にやる。」


「判った。んなら俺も手伝うわ。勇者って俺達以外にいるん?」


「ああ、世界中にな。正確には何人居るのか解らないらしい。王様に聞いたら教えてくれたよ。この世界に最初に偶然召喚された勇者達が魔王を二人か三人倒してから厄災が頻繁して世界中に勇者の召喚方法が伝わったらしい。年々厄災が激しくなり始めて戦争も起きて勇者が隷属化出来る事に気付いて戦争に各国が勇者を使い始めたからだと。勇者の負けた国がいくつも滅びたらしい。他の国が長くて100年短くても10年単位で期間を開けて召喚しているのに2つのある国は戦争を続けて約100年間程、毎年の様に召喚(誘拐)し続けているとさ。」


「マジでこの世界クソだわ。誘拐して奴隷とか。しかも兵器扱いかよ!ありえ無ぇわ…。いっそ滅びちまえばいいんだ。クソが!」


ケイの怒りで一瞬大気が強く弾ける様に震えたがユージとユカはぐっすりと寝ている。よほど緊張していたのだろう。可哀想に…


「アラヤさん…私もお手伝いします。アラヤさんもこれを読めばノエルちゃんが何故厄災を放置するように私達に知らせたのかが解りました。読んで下さい。」


ユリアが涙を溢しながらかなり傷んだ古い本を俺に差し出した。


「ん。ユリア…判った。読ませて貰う。あっそうだ♪本を読むときは熟読するタイプだから少し時間くれ。ケイ、ユリアと城の中をブラブラして来ていいぞ。読み終わったらメールするから。ケイしっかりな?」


俺は右手をグーに握り親指を何処から出しケイに向けて突き出してエールを贈った。ケイの怒りが一気に鎮まりケイの顔が真っ赤になって慌て出す。ユージ達に気を使って小さな声をケイが出す。


「///ちょっあんた女のコの前でマジで空気読めって!///」


「変わったグーですね?それ」


ユリアは俺のグーを不思議そうに見て聞いて来た。


「ああ、これは男にきちんとしっかりヤれって応援するグーだから女の子はあまり知らないと思う。女の子がするグーじゃないから忘れていいぞ。」


「なるほど解りました!男の人専用のグーなんですね!」


「その通り流石ユリア、二人共じゃ行ってらっしゃい。気を付けて楽しんで来いよ~♪」


「はい♪行ってきま~す♪」


「じゃあケイ。気を付けてな。ちゃんとエスコートしろよ?イってらっしゃい。」


俺はもう一回秘密のグーをケイに贈った。


「///判ったって!いってくっから!ユリア行こっ!///」


「///うん♪///」


(おお!ケイは結構大胆じゃないか、さりげなく腰に手を回して歩いて行くなんて。フッ。あれが若さか。良い物じゃないか。)


俺はスパークリングワインっぽい酒のボトルをラッパ飲みしながら本を読み進む。

(フムこれはジュースだな。アルコール臭がほとんどしない。)


つまみに葡萄っぽい果物を食べる。

皮もプチッと弾ける様な感じで柔らかいのでそのまま食える。

(中々良い食感で旨いな。)


ユージとユカの寝息を聞き取れそうな静けさの中俺は時間が経つのも忘れて読み進んだ。




太陽が少し傾き始めた位に読み終わった。

俺は大きなため息を一つ吐き出すとノエルにメールを送った。

ある許可を貰う為に。


両手を広げベンチにもたれ掛かり空をぼんやり眺めているとノエルから返信が届いた。

許可は降りた。

俺のこの世界でやるべき事が出来た。

何故厄災が頻繁しているのか俺達が厄災に介入する必要がないのか全ての責任はこの世界の国々の支配者達にある事が解った。

召喚の儀式構造もある程度俺の想像の範囲内の物だとノエルからのメールに書かれていた。

儀式に使われている膨大な魔法力の原動力が何であるのかも。

隷属の指輪からの解放方法もだ。

少々手間取るかもしれないが余裕でやれる事だった。

更に隷属中の勇者の頭の(記憶)の事。

解放された勇者が何をするのかは俺の範疇じゃ無い。

この世界の支配者達にとって転換期いや終末期だ。

ケイの言葉通りに。

あとは俺が四人を無事に帰還させる事だけをやるだけだ。



俺のストレージの本からもう少し情報を探すとしよう。

何に置いても情報は武器だ。



数冊本を読見終わると夕陽が空を茜色に染めていた。

(実にいい眺めだ。惜しい気もするが仕方の無い事だ。まぁ王様の事だからまた新しく城を建てるだろう。)


もうそろそろ良いだろう。

ケイにメールを送る。

直ぐに返信が来た。

(どれどれ。お!上手くイった様だ。女王の部屋で…フム、ベッドを持って行くだと見事だ。中々の寝心地だった様だな。俺も一つ戴くとしようか。女王の部屋からなら帰って来るのも早いな。これで俺も一安心だな。)


ユージ達を見てみるとユージの口元が凄い事になっている。

起きたら顔を洗わせよう。

涎がだらだらだ。

ユージにメールを送るとユージのスマホから着信音が鳴りユージとユカが目を覚ました。


「おはようさん二人ともよく寝てたな。少しは緊張感は解れたか?」


「…おっさん…おはよう…クソっ…ヤッパ…夢じゃなかったんだな…」


「ああ、残念だけどな。」


「ふァ~おはよう。おじさん起きてたの?」


「ああ、本を何冊か読んでいたんだ。それとノエルとメールのやり取りかな。かなりの情報が手に入った。ケイ達が帰って来たら話すから二人もそれでも飲んですっきりするといい。あとユージ顔を洗って来いよ~涎が凄いぞ♪」


「うへェ!マジだ!噴水で顔洗って来る!」


ユージはベンチの後ろにある噴水で顔をバシャバシャと洗っている。


「おじさん、ヤッパこれノンアルコール?」


ユカもボトルをラッパ飲みをして葡萄を食べている。

ユカに探知して貰うとアルコール度0.005%と出たのだ。

どうやって作っているのかの方が謎だ。


「ボトル半分以上飲んだけど完全にただの炭酸飲料水だな。俺達にはこの城の中の酒蔵にあったボトルは全部ジュースだ。もしも酔い過ぎてもユカがいれば大丈夫だから安心出来るよ。」


「そっか!アタシが治せばいいからだ~♪おじさんヤッパヒーラーって重要なんだね!」


「だな。それにユカは攻撃スキルも魔法もあるから火力としても超火力自律歩行移動型砲台並みで歌姫の載る宇宙戦闘空母要塞位に万能だからメイガン(クソヤロウ)が集団勇者召喚を進言したらしい。魔法使い、治癒魔法使いを多く集団で集める為にな。球ころをオーバーフローさせられたのもユカのお陰だからな。」


「マジでか…そんな理由で…マジでメイガンはクソヤロウだったんだな!ぶっ殺しときゃ…クソっ!」


タオルで顔を拭きながらユージが歩いて戻って来た。一瞬大気が爆発する様に震えそのまま小刻みに震え続ける。


「まぁ落ち着け。ユージ。顔は綺麗になったか?」


「ああスッキリと目ぇ覚めた。タオルとかも城から貰って来ていたから綺麗だぞ。おっさん。ただ気ぃ付けネェとタオルが直ぐ破れちまうんだ。」


ユージの左手に破れたタオルが何枚か握られていた。


「ユージそれは魔法力のコントロールだな。それが出来れば生活面で不自由しなくなるぞ。」


「マジかよ!俺達の馬鹿力も魔法力なのか?」


「おお、ユージ飲み込みが早いな。基本的にはその通りだ。それと感情だな。この世界の物の強度が低いのも原因だがな。色んな事はケイ達が帰って来たら話す。ユカとゆっくりと(くつろ)いでいていいぞ。」


「アイよ♪」


ユージはユカを後ろから抱きしめベンチに二人でラブラブで座った。ユージの怒りが鎮まり大気の震えも止まった。


「えへへ、そっか。ん~♪あっ、おじさん!時間まだいいよね!球ころ出して!球ころ♪」


「ああ、ほいほい。」


ユカ達の前にカートに載せた球ころを召喚する。


「お~♪球ころ~よ~しよし良い艶ですね~良い輝きですね~ん~♪大きいですね~ピカピカ光らないから中まで綺麗に見えますね~ん~♪いいですね~♪球ころちゃんは光らない方が良いですね~いい感じの丸ですね~♪良いですね~♪硬いですね~♪」


ユカは嬉しそうに両手を広げ球ころに抱き着き頬擦りして撫で回している。


「うんうん。ユカも魔法力の引き出し方の訓練になるから球ころを沢山可愛がってやれ。ユカ、ケイ達が帰って来るまで堪能してていいぞ~♪」


「やったー♥️よ~しよし~♪球ころ~えへへ」


「ユージ、球ころに負けるなよ?」


「負けてねぇし!球ころは、あ~そう!ペットだ、ペット。ペットにユカは守れネェからな。俺が守る。」


「おう!その意気だ。頑張れユージ。」


「おう!」


ユージの拳と俺の拳を軽く合わせる。

ユージの強い意思が伝わって来る様だ。


ユージとユカの楽しそうで嬉しそうな顔を見ていると早く日本へ還してあげたいという気持ちが強くなる。

ユージ、ユカ、ケイ、ユリア未来のある若者達はやはりこの世界にいるべきじゃない。

日本で幸せになる為に彼らをなんとしても日本へ還す。

必要なモノを全て手に入れたら何を引き換えにしても必ず無事に還す。

(その為に俺は如何なる犠牲も気にしない。この世界の厄災の一つとして歴史に刻まれたとしても。皆の為にならば悪鬼羅刹と呼ばれる修羅にでもなろうではないか。)


ベンチに脚を組んで座り腕を組み右手の親指と人差し指で顎を挟む様に撫でながら真面目に考えていると


「あんたまた悪巧み中か?顔がニヤケてんぞ♪」


「///ただいまです///」


「「おっ帰り~♪」」


ユージとユカがニヤニヤしながら声をハモらせる。

ケイとユリアがお互いに腰に手を回してピッタリくっついて帰って来ていた。

ユリアは少し恥ずかしそうにしている。

(実に初初しいな、これが若さか。)


「お帰り、たっぷり休憩は出来たか?」


俺はニヤニヤとにやけながらケイとユリアに聞く。


「///たっぷり休憩してきた。サンキュアラヤさん。///」


「///はい、ゆっくりお風呂にも入って来ましたのでスッキリしました。///」


「そっかそっか。それは何よりだ。これから外でのキャンプ生活に近い事になると思うから風呂は貴重になるからな。そうだな。ここを壊す前に先にユージとユカも風呂に入って来るといい。」


「「マジで!」」


「ああ、話しを始めたら皆の怒りが募るだろうからな。リラックスしている今の方が良い。場所は女王の部屋か王様の部屋にあっただろ?風呂の沸かし方をケイ達に聞いたら入っておいで。もう少し時間もあるからゆっくりでいいぞ。ユージしっかりな。」


ユージにも秘密のグーを贈る。


「///ちょっあんた!二人はまだ高校生じゃネェか///」


「良いんだよここは日本じゃないし。一応エチケットにユージこれを持ってけ。」


俺は財布から出した秘密の包みをカードの様に投げ飛ばしてユージに渡す。

丁度ユージの胸元に飛んでユージが両手で上手く捕らえた。


「///おっさんこういうの渡す時は普通こっそりだろ!ちっとは空気読めって!///」


「///おじさんありがとう~♪///わっ!?ユージこれ結構高い奴だよ!」


ユカが秘密の包みを見て喜んでいた。


「///マジかよ!ありがとうな!おっさんイって来る!///」


ユージも喜んでいるのでよしとしよう。

ユカとユリアが話しをしている。ガールズトークか。

聞こえそうだが大人としてここは敢えてスルーしておこう。


「「///じゃ、行ってきま~す~♪///」」


「「「行ってらっしゃい、ごゆっくり~♪」」」


俺とケイとユリアは声をハモらせ右手を小さく振ってユージとユカを見送った。

ユージとユカは腕をしっかり組んで歩いて空中庭園を出て行った。


球ころを忘れない様に収納する。





俺達三人はテーブルを囲みケイとユリアは同じベンチに並んで座り俺は二人の正面のベンチに座り話しを始めた。


「ユリア、この本は凄く役に立った。ありがとう。ノエルとのメールのやり取りにも凄く役にたったよ。俺が持っていたこの二冊の本も読むといいあの本の続きだ。これから俺が行う意味不明に見える沢山の行動の意味が多分理解出来る筈だ。後で行うこの城の破壊の意味も含めてな。それからケイにはユリアの本とこの二冊を読む事を進める。面倒であれば読まなくてもいいぞ。ユリアに渡してくれればいい。」


俺がテーブルに二冊と三冊の本を置いて差し出すとケイとユリアは本を素直に受け取ってくれた。


「アラヤさんあんたがその顔で真面目に何かを言うときは必ず大切な事がある時だともう解ったから読むよ。ユリアからも借りていいのか?」


「ああ、俺の本と言う訳じゃないから返さなくても良いからな。ストレージにでも入れていてくれ。読み終わったらユージ達にもとりあえず読む様に渡してくれればいい。」


「判りました。私もしっかりと読みます。続きが凄く気になっていたので。アラヤさんありがとうございます♪」


二人は早速本を真剣な顔で読みはじめていた。

二人がページを捲る音が静かになった空中庭園に微かに響く。

俺はスマホをサイレントマナーモードにしてノエルとメールのやり取りをする。





ノエルとのメールのやり取りが一段落してユリアに声をかける。


「あっそうだユリア、ユージ達は何処の部屋に行ったと思う?」


「///ちょっとあんた!!まさか!!///」


「ケイ、馬っ鹿だなぁ♪俺も風呂に入りに行くんだよ。二人の邪魔にならないように二人が行った部屋を聞いたんだ。ほら風呂上がりにこの甘さ控えめの炭酸ジュースを飲んでろよ♪中々イけるぞ。あとこの葡萄も皮のまま食べられて中々旨かったぞ。」


俺はボトルを二本と葡萄を二房をストレージから出してテーブルに置いた。


「///あっえっと多分女王様の部屋だと思います。///」


「了解。んじゃ、王様の部屋に行ってひとっ風呂浴びてくらぁ♪」


「アイよ~♪「「行ってらっしゃい♪」」





てくてくと歩いて国王の部屋に到着した。

豪華で立派な部屋だ。流石国王の部屋。


(ほう、豪華なシャンデリアに大きな机や椅子も良いではないか。本棚か。フム、本や議事録は貰っていくか。で、左の部屋が衣装部屋で右の部屋が寝室でその奥が風呂だったな。昔から風呂に入る習慣がある様な造りだなぁ脱衣場もあるし。)


浴室は銭湯並みの広さで中心に大きな浴槽があり壁際に大きな豪華な縁取りの鏡が取り付けられていた。洗面器の様な浅い桶がいくつも重ねてあった。


獰猛そうなライオンにサーベルタイガーの牙が生えている動物の石像の口からお湯が広い円の浴槽にドバドバ流れ出て浴槽からお湯が溢れている。スキルの水脈探知で構造を見る。


(ほう、魔法力ポンプ汲み上げ方式と言うものか。この国も中々やるな。これは…フム。沸かしている構造は解らないな。水脈探知だからな仕方が無い…フム城の中間層部に貯水槽があるみたいだな。そこから空中庭園の真下に更に貯水し枝分かれをしお湯を沸かしてからここに出ているのか。なるほどこれならドバドバ出る筈だ。しかしこの国はかなり水が豊富なのか?誰もいない風呂にお湯を垂れ流し続けているのだから。相当な量だぞこれは。女王の風呂も同じならフム…まぁいいか。)


浴槽に肩まで浸かり身体をゆっくり温めほぐす。良い頃合いで浴槽から上がり身体を洗う。鏡の前に普通にアメニティグッズが置いてある。


「…石鹸!?確かにこれは石鹸だ。デカイなこのブラシ…そうかボディブラシか。このボトルは…いい匂いのぬるぬるだ。風呂にあるぬるぬる=ロー…ゲフンゲフン。あっリンスかコンディショナーみたいだ。じゃこっちは…泡立つ。シャンプーか…王様も香水みたいな匂いがしていたなそう言えば。」


使い終わるとアメニティグッズをストレージに手当たり次第に入れていく。予備の物も全て貰っていく。勿論、鏡も洗面桶等も。

許可は貰っている。キリッ


もう一度浴槽に肩まで浸かり目を閉じてゆっくりと考える。


(生活レベルと生活消耗品が噛み合って無いが王族だからか?ノエルからのメールと噛み合わないぞ。)

暫く考える。






(フム…なるほどそう言う事か。知識は勇者達から手に入れていたのか。そこから制作出来る物を生産し王族や貴族が独占しているのか。やはり許しがたいなこの世界の支配者達は。)


ノエルのメールに書いてあった。

この世界は停滞し衰退していると…

文明ではなく星その物が衰退している事に気付かず自分達で考える事を止めたアホ共に支配された世界。その上に誘拐を続けて搾取している。


(…達を魔法力に変換して召喚の儀式に…その代償が厄災だと気付かず更に…愚か者め。)


追い掛けている物が自身の尻尾だと気付かずにぐるぐる追い掛け回る馬鹿犬はその首のリードが巻き付き首を締め上げ自身が窒息し死にかけている事にも気付いていない。実に愚かな支配者達だ。その為にこの星の全てが衰弱している事に気が着かない程馬鹿ばかりなのだろう。


この世界の支配者達、為政者は救う余地はない。


(まぁ、余裕があれば他の勇者達に召喚のメカニズムを教えて…)


いや、やめておこう《蜘蛛の糸》の様になりそうだ。

俺達に必要な事だけを最優先に行動だ。

他の人に時間は掛けられない。

心臓の薬が無い俺には残された時間に余裕はない。

いつ心臓発作が起きてもおかしくない状況に陥っている。

四人を無事に帰還させる為に必要な事だけに集中しよう。

まずは女神達(・・・)が激オコだと世界中に知らしめるデモンストレーションを見せてからだ。


(はぁ~王様。また造れよ…風呂はいい…)


浴槽と動物の石像もストレージに入れると噴水の様に床からお湯が吹き出したが排水は問題無さそうなので放置して風呂場から出る。

風呂から上がり身体をバスタオルで拭き上げていると体調の変化に気づいた。


(フム?今日はいつもの風呂上がりの目眩が無いな?動悸も激しくない。ノエルの加護かもしれないな感謝するぞノエル。)


身体を拭いたあと新しいバスタオル等を手当たり次第ストレージに入れていく。許可は貰っている。キリッ


冷えて無いが風呂上がりに炭酸ジュースをゴクゴクと飲む。


「プハァ~♪ゲップ、ヌルイ!あっそうだ♪魔法で氷を…、チョトマテ…氷魔法だと氷山がドーンて出てきそうだからやめよっと。」


冷蔵庫を作れないかと考えたがやめておいた。


風呂で思い付いた事をノエルとメールをやり取りをしある手伝いをお願いすると快く受けてくれた。ノエルマジで女神。





風呂を上がった事を知らせる為とある頼みをしようとケイに電話をする。


「もしもし。ケイ?風呂を上がったよん♪何してた?ナニしてた!あ~なるほど。暇だしね。フムフムもう終わった?ほう休憩中かフムフム。で、空中庭園でしてたの?あっはっはっは、そっか姫の部屋にいるのか。ほう、そこも中々のベッドか。貰ってけ~♪俺も王様のベッド貰って行くから。うんマジで。ああ、良いよ~♪ちょっと頼み事が有ったから丁度良い。姫の衣装と貴金属類を片っ端からストレージに入れて~あとユリアと手分けをして王子の衣装も…あっうん、ハイハイ、もしもし?ユリア?何だか声が艶っぽくていいな♪あっはっはっはっ。いやいや、うんうん、そうそう!流石ユリアいい感してるな。うん、そうそうだから。うんうん。でしょ?うんうん。えーそうかな?そっかサンキュユリア♪じゃあユージ達にも俺から、あっ本当に?サンキュ♪うん。なるほど判った~♪女王の風呂に行って王様の風呂の浴槽は貰ったから、あっはっはっはっ貰える物は全てだ~♪ハイハイよろしく~♪じゃあとで空中庭園で~♪」


(まぁこれくらいはいいか。あとは知らん。俺からの小さなお世話だ。)


流石国王。衣装や貴金属類は中々多かった。

隷属の指輪は見当たらなかった。


「こいつは戴いて行くぜ。」


金庫があったので開けずにそのまま別のストレージに投げ込み国王の部屋はほぼ片付いた。机をストレージに入れようと机の上に手帳が何冊かあったので適当に開いて読んで見る。


(…へぇ…何々、王様の手帳か…。…なるほどな…それでこの国は集団召喚を…怪しい匂いがプンプンするぜ。更に情報が手に入りそうだな。こいつは俺が貰って行くとするか。そういえばメイガンの部屋も近い筈だな。)


手帳類は別のストレージに入れて置く。国王の机をストレージ入れメイガンの部屋からも沢山の本と手帳と日記を入手して来た。不思議な事にメイガンの部屋からも隷属の指輪が見付からなかった。


「よし空中庭園に行っくぜ~♪待ってろよ皆~♪」


俺はズボンの左右後ろポケットに両手をそれぞれ入れて少し猫背で颯爽とがに股で歩き空中庭園に向かった。

噴水で顔は洗わないでください。

お酒は二十歳からです。

人の家の浴槽を持ち出しては行けません。

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