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溢れ堕ち救えなかった者達

勇者は警戒をしている。どうしますか?


けいかいをする


いちおうけいかいしたふりをする


たいくつしのぎをする


とらっくにのる


かーすてれおをだいおんりょうできく


ゆうしゃににらまれる


とらっくのえんじんをふるあくせるでふかす


ようすをみる←


帝都迄の道程は至って平穏なものだった。

勇者モドキ達の作戦のお陰で彼らに注意を惹き付け俺達は帝都間近まで接近する事がてきた。

夕暮れ時になり夕食を食べ終え明日に備えゆっくりと休み休憩をしていた。

ファンタジー・ファーマー・ファクトリーの生産LV上げの真っ最中のアラヤ。

難しい顔をしてスマホの画面を食い入る様に見て最大値迄に拡げた畑の土壌を最良値にしようと必死なユージにユカにケイにユリアが居たが何度もトライしているがなかなか上手く行かない様だ。


「ぬあー!また良止まりかよ!」


ユージがドームの天井を仰ぐ。


「あー!普通ー?エ~?」


ユカが落ち込む。


「あぁ、不良かよ…水が多かったのか?」


スマホの画面を食い入る様に見ているケイ。


「あぅ、不良ー?どうして…」


ユリアも落ち込んで居た。


「皆、気をおとすな。まぁ、運要素が高いからな。根気よく毎日チャレンジだ。気まぐれ最良値の日に当たることもある。諦めるな。」


皆、世界樹の苗木を育てる畑の土壌を懸命に改良していた。


帝都間近まで皆、トライ&エラーの繰り返しで少し食い気味でのめり込んでいた。


「皆、畑のばかり気にしているが加工LV生産LVも上げて置かないと後々大変になるぞ?」


「「「えっ?」」」


ユージとユカとユリアが顔を上げて不思議そうにしている。


「あのよ、世界樹が育つと葉っぱやら実を収穫すんだろ?加工LVと生産LVが90以上に上がってねぇと加工出来ねぇのよ。それぞれのLVが低いままだと世界樹の素材はストレージの肥やしになんぞ。」


俺の代わりにケイが説明してくれた。

(フム、ケイには優秀な参謀の素質有りだな。それでは私は見届けてやるとしよう。彼の若さと言うものを!)


「その通りだ。それに種もまた育てる事になるからな。根気よくそれぞれのパラメーターLVを上げて行かないといけないな。」


俺が(女神の箱庭士のスキル)を貸せば簡単に最良値に出来るのだがゲームを人にクリアしてもらうほど虚しい物は無いので俺は手を出さない。

俺もスキルを使用せずに最良値にしたのだから。

(フッ、地道な作業の成果の結果こそが楽しみなものだからな。頑張るのだ若人達よ!…ムム!この隊列反応はゴブリンでは無いな!)


と寛いでいると俺と同様にドーム外に何かの気配を感じたケイがスマホから目を離し警戒の声を出す。



「っ、アウターフィールド・エネミー・サーチ!ちっ、皆!!シグナルはレッドとイエローだ!数は六十!先頭の一人はレッド、残りはイエロー!気ィ抜くんじゃねぇぞ!!」


「「「おう!!」」」

「うん!」


「ユージ、ユカ、ユリアは陽炎を纏ってここで待機だ。ケイは陽炎を纏って俺に付いて来い。キリッ!」

「ハイよ!」

「おじさん気を付けてね!」

「オッサン!気を付けろよ!帝国のど真ん中だからな!」

「アラヤさん、ケイ君気を付けて。」

「おう!!」

「任せておけ!」


俺とケイは皆に声を掛けリビングドームからビッグ・ドームの外のシグナルの反応のあった壁側に向かい外を見ると体の各所を強化外装で防御している兵士らしい男女がランタンもしくはライト状のモノをドームに向かい照らしている。

帝国の斥候らしい。

街や国境部隊よりも近代的な武装をしている。

まるでゲームに出て来る強化外装の兵士の様に近未来的な武装をしている。

頭もヘルメットでバイザースクリーンが鼻下まで覆われたモノだがミラースクリーンでは無い為に彼等の顔ははっきりと見える。

(フム、沢山の到来者達を誘拐し続けた結果があの装備か。しかし…どういう事だ?遠距離通信機器の類いの魔法力反応が見られないというのは…)


帝都近辺の枯れ木の森にドでかいドームがドーンと出現したのだから警戒されても仕方ない事だ。

おもむろに先頭の大男が左腰に帯剣していた剣を抜きドームに向かい付きだし何か喋っている様だが全く聞こえない。

警告なのか威嚇している様だが全く聞こえない。

様子を見ていると先頭の大男が再び剣を前に付き出すと後ろに居た五人の男女は今まで見てきたモノとは違う魔法力を帯びた剣や槍を構えドームに向かい突撃してきた。

(ムム!装備の形状が些かSF染みているな。剣や槍の柄元に嵌め込まれている宝石の類いあれは…魔法玉か!フム、どれ程のモノか見せて貰おう。)


しかし、五人はことごとく部隊の奥まで跳ね飛ばされ地面に這いつくばる。

業を煮やした先頭の大男が背中に背負っていたモノを右腕に持つとドームに向かい何やら叫び両腕で抱え込む様にドームに向けて付き出す。

(ムム!銃か!いや、大型のボウガンと言ったところのようだな。しかし筒状の先端部の魔法玉…収束型砲撃器と言ったところか。)


「アラヤさん!!あれは遠距離兵器じゃねぇか!大丈夫なのか?」


大型のボウガンの様なモノの先端部に魔法力の収束する光が見えた。

俺は唇の端を強く噛み締める。

(射出型魔法力兵器を生産していたか。やはり戦争と言うものはテクノロジーを大幅に引き上げてしまうモノだ。)


「まぁ、この世界に合わせた兵器だ。奴が所持出来る程度のな。」


「あ…なるほど…じゃぁ、見物か。よし、エネミーズアームズ・パワーサーチ・オープン!はぁ?ビッグ・ドームの損傷確率が0%!?…マジか…」


「言った通りのシロモノだろ?線香花火程の危険度も無いな。真正面から喰らってもそよ風程度にも感じはしないだろうな。」


随分とオーバーテクノロジーの代物だが射出する魔法力は所有者のモノを流用している様だ。

この世界の人間の魔法出力では召還されたばかりの俺達には子供の玩具程の脅威もない。



先頭の男が構えて20秒程過ぎた…

まだ魔法力はチャージされていない様だった。

(射出出力になるまるでのレスポンスが長過ぎる。まるで戦国時代の初期の大筒のようだな…実戦でアレを運用しているとしたら避けて下さいと言っているようなものだな。)


「なぁ、アラヤさん…まだ見てる?」


最初は警戒していたケイだが飽きたようでドームの床に胡座で座り込みスマホを触りながら俺に聞いて来る。


「一応…な。どれ程の威力なのか確かめておかないと…」


俺がケイと話をしているとようやく先頭の大男の顔がニヤケ何かを口走ったあと大型のボウガンの先端部から収束し射出された。

魔法力の光の帯がドームに直撃したが瞬時に倍の威力と速度で弾き反り敵の部隊の半数以上が巻き込まれ吹き飛んで行った。

かろうじて立っていた先頭の大男は強化外装の前面全体に破損を負い胸から大量に出血し口からも吐血して膝から崩れ落ちる様に倒れた。

(フム、一応この大男の装甲の背部迄は貫通していない様だな。しかし、あれは範囲殲滅兵装ではないか。偵察部隊の兵装と似つかわしくない。)


「…アラヤさんよ…普通、敵陣偵察って…もうちょっと慎重にやるんじゃねぇの?アイツ、司令官っぽかったけどソイツが攻撃すんのか?」


「いや、…慎重に偵察するモノだと俺も思うが…偵察部隊の隊長の役割は敵の戦力や情報を持ち帰る為に行うものだからな…隊長があんな風に武力任せの脳筋部隊など…知らないな。見たことも聞いた事も無い。」


「…だよな。強襲部隊ってなら解るけどよ。それにしては人数が少ねぇよな。」


「ああ、奴等が強襲部隊なら数部隊で編成しドームを取り囲んで来る布陣の筈だ。人数から見ても偵察部隊だったのだろうが…もし、強襲偵察部隊としても人数がやはり少過ぎる…それにあの兵装では隠密行動には目立つだろう。」


「濃紺色の外装装備品にあんな目立つ右肩の赤の塗装は…ねぇな。ゲームやアニメのレッドショルダーじゃあるまいしよ。」


先頭の男は地面に這いつくばったまま何かを口走り最後の力を振り絞る様に右腕を前に振るう。

(鎧とは違う強化外装と言ってもあの程度のモノか。考えてもせず敵対し攻撃を仕掛けその報いを受けた愚か者だ。)


反射砲撃を免れた男女の兵士達が小型のボウガンを次々とドームに向け構える。


「よせ!!君達は撃つな!…っく…」


俺の声はドームの外には届かず反射してきた砲撃に胸を貫かれ全員が倒れる。


「…廻りが死んだら同じ目に合うこたぁ判るだろ…なんで止めねぇんだ…なんで撃ったんだ…」


「ケイ…コイツら以外の敵対者はいないな?」


「ああ、シグナルクリアだ。」


「…外に出るぞ。あの先頭の男が倒れたあとに前に右腕を振るっただろ?あれは命令だったのだろう…」


俺とケイは警戒をしながらドームの出口から出て兵士達が死亡している場所に回り込み兵士達の所持品や装備品を確認する。


強化外装の金属部はほぼオミエルコン製だった。

俺は先頭の大男の残った強化外装や衣服を乱暴に引き破る様に脱がせていく。

この大男は他の兵士達よりも重装甲の強化外装を装備している事と衣服の下から戦場では似つかわしくない金属音を身体中から無意味に鳴らしている。


やはり思った通りに先頭に居た大男は隷属の指輪を両手の指に付けられるだけ嵌め、腕輪を肘まで付け両足首から太股の付け根迄付け首にも大量のネックレスを身に纏っていた。


「こいつを見てみろ。隷属の装飾品を全身に付けている。この男はこの世界の人間の様だ。ビゲルと同じ柔らかさだ。」


俺は先頭に居た男の指から隷属の装飾品を引きちぎるように外し握り潰し捨てながら怒りを込めて男の腕を軽く押し潰してケイに見せた。

ケイも先頭の大男の左腕を指先で押すと簡単に潰れていく。


「…じゃあ、コイツらは自分の意思じゃなくて命令だったから従った迄って事か!くそっ!可哀想に…アラヤさんコイツらを見ろ!痩せてる男と女は…到来者だ間違いねぇ…兵士達の中に到来者がいる!その男より弾力がある…重さを…感じる!くそっ!」


怒りに任せたケイは右拳を強く地面に叩き付け大きなクレーターを創る。

砂埃が晴れ我に返りクレーターから出てきたケイは息を引き取った兵士達を一人づつ丁寧に優しく仰向けに寝かせ胸の辺りで手の組ませていた。


俺はケイの開けたクレーターを鍬で更に掘り適当な深さの大きな穴を掘り始める。

穴掘りが終わり俺とケイは兵士達を穴に入れていく。


「…くっ…救えなかった…。後ろにいた数人はある程度の…重さがある。…彼女達も…到来者だ。…救えなかった。すまない。」


「アラヤさん、アンタのせいじゃネェよ。あいつが命令してたんだ!仕方がなかったんだ。アンタ自分を責めるな。」


「…ああ、解っている。しかしこれで帝都の守りの到来者達の数も大体把握出来たな。小部隊に数人。しかし食糧は…隷属されている到来者兵士達には行き届いていない様だな…」


「ああ、…奴らかなり痩せている。アラヤさん、急がねぇと…」


「そうだな。餓死者や自然解放者が到来者達に出て来る前に動くとするか。ケイまずは彼等の埋葬だ。」


「ああ、そうだな。」


「…君達を火葬してあげたいが…許してくれ…君達の魔法力を…肉体を……の為に貸して欲しい……自分勝手な願いを君達に押し付けて…すまない。」


「すまねぇ。アンタ達の力を…貸してくれ…」


『我願う。世界を見守りし五柱の神々よ。彼等の御霊を彼等の元の世界へと導き安らかなる眠りを与え給え。そして彼等の肉体をこの大地の新たな大いなる芽吹きの苗床と致す事を御許しを。』


俺とケイは両掌を合わせ合掌し冥福の祈りを捧げ埋葬している時にこの世界の人間の兵士達と到来者達ではかなりはっきりと体格が違っていることに気付いた。

この世界の人間の兵士達達はがっしりとした逞しい体格だが到来者達は兵士にしてはかなり痩せ細っていた。

隷属され自由意思を押さえられた到来者達には食糧が栄養が全く足りていないようだ。


減塩食と栄養のみなおした食事で作者は思わずダイエット!8キロ程痩せました。


栄養バランスは大切ですね!


入院中に思い付いたモノを数話新しく書いて見ました。


エルフ…憧れますね…

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