不可解な一手
勇者は悩んでいる。どうしますか?
ともになやむ
なやむふりをする
とらっくにのる
えんじんをかける
ゆうしゃのはいごにふるあくせる
ようすをみる←
国境の小規模な軍事衝突が鎮まり互いに膠着状態に落ち着いた。
勇者モドキが早急に応援に駆け付けた為に両国の人員的被害も少なかった様だ。
〘説明しよう!勇者モドキとは完全解放された到来者達の中からやたらと面倒見の良い暑すぎる正義感溢れる男女集団の事だ!〙
(フッ、どんな世界にも暑苦し…もとい、勇敢な心優しい者達が出て来るものだ。これが若さと言うモノか!)
完全解放された彼等の戦力は国家戦力を担う程のものだ。
余りある力と優しさ(抑圧されていた思考と怨念)を有した者達が勇者モドキだ。
(すまないが私の目的の為に彼等達には大々的に勇者らしく振る舞って世間の注目を大いに集めて貰うとしよう。…そうだな、彼等の褒美には美味しい栄養価の高い食糧をたっぷりと差し入れておくとしよう。何!更に至高のカップ麺も付けるというのか!フッ、私にも見えるっ!)
事態が膠着化した後に帝国側の進軍は国境部隊への食糧補給が滞り空腹に堪えかねた国境警備隊の師団長の一人が勝手に行った物だと公表したとの事だ。
リビングドームで皆でゆったりまったりと過ごしていた俺達に斥候に出ていた勇者モドキからエルフに連絡が入り俺とソファーでまったりイチャイチャしていたミリーシアが報告してくれた。
ユージと大きなソファーに凭れイチャイチャしてながらスマホをいじっていたユカが俺に聞いてくる。
「ネェネェ、おじさん。お腹が減ったら兵隊さんは戦争始めちゃっていいの?」
「ん?あっはっはっはっ。ユカ、駄目に決まっているじゃないか。そんなことやると大変なことになるからな。ユージにもわかるよな?」
「ダヨな。オッサン。んな事あったらアッチコッチで戦争おっぱじまるはな。」
「…有り得ない発表ですね…アラヤさん…」
「師団長が勝手に進軍させたぁ?それが本当なら軍法会議もんの大事じゃあネェか。戦略系ゲームをチッとでもやってたら解る様な出鱈目な言い訳をすんなッツウの。適当過ぎんぞ…んなアホな公式発表を考えた奴ァ、軍法もなんも知らねえガキかっつうの。頭ん中に何か湧いてんな。オイッ。」
ユリアとケイもソファーに腰掛けスマホをいじりながら帝国の発表を鼻で笑っていた。
(ホホゥ、なかなか鋭いな、ケイ。あながち間違いではないかも知れないぞ?)
帝国の上層部がこの程度の事を正式発表としたならば勇者モドキ達が動くだろう。
彼等の動きに紛れ帝国に俺達も行動をするとしよう。
(しかし、解せぬな。高度な戦略知識を持つ筈のリュート大佐がこんな馬鹿げた公式発表とさせるとは…何かしらの意図があるやも知れないな。しかし、罠だとしても帝国に入り込む隙なのだ。では、派手に罠にかかって見るとするか。それも一興ではないか!)
勇者モドキ達が派手に動き回り始めれば俺達の移動もしやすくなる。
手薄な地域から帝国内にベヒモスで進めば魔法使いの少ない帝国は通信手段が限られている筈。
帝国でも『厄災』は興ろうとしている。
相当数の到来者達がいる筈。
もし、帝国内で『厄災』が興れば連鎖的に対抗国でも『厄災』が興り始めてしまう危険な可能性がある。
今回も何としても帝国内で封じ込めなくてはならない。
自我も無く殺戮の為だけに暴れ狂う到来者達に優しい勇者モドキ達では歯が立たないだろう。
最悪の事にならない手立てを打たなければならない。
(フウ、やれやれだぜ。)
荒事になる可能性が高い為もしもの事を考えるとまだ魔法力と体力が完全に戻っていない全身タイツスーツの彼女達は連れては行けない。
それに畑の世話係にもなってくれている。
俺達は多くで動くより少数で最大級の戦力で一点突破する方が馴れている。
今はまだ移動手段としてのユニバース・ベヒモスにも余裕はあるが大所帯での移動は目立つ。
(フッ、なにしろユニバース・ベヒモスは1人乗り専用機獣だからな。キラリッ☆彡)
作者は短く区切って見た!