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見え始めた光明

勇者が畑を見守っている!どうしますか?


いっしょにみまもる


みまもる


はなれてみまもる


すこしはなれてらいふるをかまえる


ねらいをつける


ゆうしゃがふりむく


ゆうしゃがきづいく


ゆうしゃがたねをうってくる


ぎりぎりでよける


にげだす


ようすをみる←

爽やかな風が吹きリンメル草原だった現在リンメル農園に朝日の光が照らされる。小鳥の囀ずりでもあれば平和な日常にも感じるのだが。リンメル農園は順調に育っている様だ。芋類の育ちが良い。穀物類も順調に育っている。白い苺の花も順調に咲き初めてる。


「ん~、良い花が咲いているな♪よし、作付けの受粉は手作業でやるか。」


俺は苺の花を一輪摘み取り近くの苺の花に軽くちょんちょんと軽く押し当てながら少しずつ横に移動して行く。筆等があれば作業は捗るのだがこの世界の筆は脆すぎて俺には使えないのだ。


「アラヤ様の世界では作付け作業はその様になさるのですか?」


ミリーシアは俺の作業を見て不思議そうに聞いて来る。


「あー、まぁ本来は蜂や蝶とかそういった小さな虫達が蜜を吸いながら受粉をしてくれるんだけどな。あと人の手で筆なんかを使ってやる事もあるかな。見たところ虫達が見当たらないから仕方なく試しているところだ。」


ミリーシアはなるほどと頷いている。


「ミリーシア達は作付けを増やす栽培をやる時はこの方法じゃあ無いのか?」


「私達エルフは魔法を用いて受粉を行っていました。」


「魔法で!ミリーシア試してくれないか!」


俺はワクワクして期待を込めてミリーシアにお願いをするとミリーシアは微笑んで頷いてくれる。


「はい、アラヤ様。“風の精霊ウインデアナ達よ。作物達にささやかな実りの風のを吹き届けたまえ。ハーベスト・ウインドウ”」


ミリーシアが両目を瞑り両掌を胸の前で握り合わせ優しく祈りを捧げる様に呪文を唱えると風がリンメル農園を吹き抜けて行く。するとキラキラと魔法力をおびた花粉が舞い上がり農園の花に優しく降り注いで行く。


「そうか、ここは地球じゃあ無いんだ。地球の栽培方法と同じにする必要はないんだよな。」


そう言ってミリーシアを見ると優しく微笑んでいる。


「はい、アラヤ様の知識も私達エルフの知識も合わせて育みましょう。この畑を。」


ミリーシアは俺の腕に両腕を絡ませ寄り添う。

(くっ!腕が!油断した!すっぽりと挟まれてしまったではないか。しかし悪くない。実に良い。)


「ただ…楽しみが減る事に代わりがないな。」


俺はため息混じりに言う。


「楽しみですか?」


「ああ、蜂蜜の採取が出来ない事に代わりがない。苺の花の蜂蜜採取だな。ファクトリーの蜂を取り出す事は出来なかったからな。」


確かにとミリーシアも美しいラインの顎に右手の人差し指を当ててうんうんと頷いている。

凄く可愛い俺の嫁。



数日前、夜の食事の時に皆で畑の今後について話をしていると


「んーと、蜂がいないんでしょ?それならさ~、ファクトリーから蜂の巣箱を取り出せばいいじゃん。」


とユカに言われて


「そうか!!」


と俺は叫び早速試して見たがファクトリーの畑に設置してあるオリジナルオプションの養蜂箱を取り出す事は出来なかった。

取り出そうとすると


『ブブー!警告です!このオリジナルオプションアイテムはファーム内の指定されている畑にのみ移動可能です。譲渡不可能アイテムです!』


とスマホの画面にドアップで二頭身の可愛いノエルが小さな腕を交差させて×を描き少し強めに警告された。

蜂蜜はファクトリー内の養蜂箱から採取し加工する事はいくらでも可能だから蜂蜜を食べる事は出来る。

既に瓶詰めになっているので味も風味も抜群に良い。

良いのだけど…

ただ…蜂蜜採取をしてその場で絞り立ての新鮮な蜂蜜を蜂の巣のまま旨そうに齧り付いて見たかったのだけど。

偶然ぼんやりと見ていたテレビ番組の丸々と太った男性タレントが旨そうに食べていたように皆で食べてみたいと思っていたが諦めるしか無いようだ。



そんなことを思い出しながらぼんやりと二人で空を眺めていると不意に右掌をこめかみに当てたミリーシアが険しい顔をして念話をしている。

ミリーシアが俺を振り向き


「ビルゼデル帝国が第15師団を率いて更に挑発行動に出る準備を行っているようです。アラヤ様如何致しますか?」


ビルゼデル帝国第15師団…確か国境検閲隊の中でもあまりよろしくない噂の多い部隊だったはずだ。

強奪に近い搾取を行っているらしく奴等が出て来るだけで商人達でさえ荷を諦めると言っていた。

もはやビルゼデル帝国は背に腹は変えられない程に食糧難に陥っているのか?

それとも高圧的な要請を受けて兵士達が過剰に反応して動いているのか、だ。


「エルフ達はいつも通りにユニバース・ベヒモスで即時にこのベースに戻るように伝えてくれ。向こうに残っている勇者モドキ達には帝国兵士には怪我をさせない程度に暴れて戦闘力を見せ付けてやれば良いと伝えておいてくれ。」


「はい、伝えます。アラヤ様。」


前線に出て来ている兵士達はこの世界の人間達のはずだ。

到来者達が軽く武器を振るっているだけでもとてつもない脅威に見えるだろう。

到来者達が前線にいるとなれば余計な争いも起きずにビルゼデル帝国の兵士達もしぶしぶながら引き下がる筈。

奴等が欲しい物は食糧。

切り札は既に俺達の手中に有り余る程にある。

(フッ、戦は戦う前から始まっていたのだよ。まだ見ぬビルゼデルの若き天才軍師君。)


俺は心の中で囁き右頬を僅かに上げてニヤリと嗤った。

ゆっくりと書いていきます。

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