掴みきれない道筋。
勇者は静かに本を読んでいる!どうしますか?
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俺達はリンメル草原で穏やかな日常を過ごし束の間の平穏を過ごしていた。
俺達は食堂ドームで青年の面白くもない日記からビゼルデル帝国の情報を集める為に手分けをして読んでいた。
「ねぇ、おじさん。ノエルちゃんからの気を付けてメールの台風が来てないね?」
そろそろ青年の面白くもない日記に飽きて来たユカがノエルからのメールに書かれていた風の厄災《風の魔王の息吹き》がリンメル草原に訪れていない事を聞いてきた。
「ああ、ユカ来てたぞ。俺の陽炎で消えたんだ。」
「えっ!台風が消えちゃったの?」
「うん、ただの台風だからな。別に魔法力を含んだ特別な台風じゃ無いから大した事は無かったぞ。」
俺はユカに風の厄災を消した事を伝えて青年の面白くもない日記を読むのをやめる。
青年の面白くもない日記には女性の事は九割五分で残り五分が戦闘の自慢話で情報源にもならないただの青年の自己顕示欲を満たす為の物だった。
ガメス以外の解放者の名前も役職すら書いていない。
「あいつは嫌いだ。」「あの男の女をこっそり頂いた。」
とそんな事ばかりで全身タイツスーツの女性達とアメリアとティアーナとリアーナとマリアーナは早々に読むのを止めてプールに行っている。
「アラヤさんよ、あんた大丈夫なのか?」
「ん?」
「いや、アラヤさん台風だぞ?あんたの陽炎がデカイからって台風を扇風機の風程度に言うのは違うんじゃねぇの?」
ケイが何故か俺の陽炎で厄災をやり過ごした事で俺に何かないか心配をしている。
「いやケイ、手の甲に息を吹き掛けられたくらいだったぞ。」
「だからな、あんたの陽炎の規格ど外視は半端じゃねぇのは知ってんよ?台風に直撃されたんだろ?」
「うん、手の甲にふーふーふーって息を吹き掛けたくらいな。」
「…で、あんた何したの?」
「俺?ペチって潰した。」
「台風は蚊じゃねぇっつうの…」
ケイが右掌で額を押さえて上を向いている。
「えっ!違うの?」
風の厄災が俺の陽炎に干渉していた時に右手の甲に違和感を感じたので叩き潰した。
「あー、あんたかなり麻痺ってんぞ?大丈夫か?」
ケイが何故か俺が麻痺していると言う。
「ん、そうか?」
「アラヤさんよ、よく聞けよ?日本で台風来るじゃん、どーなるよ?」
「んー、色んな物飛んで来たり雨が凄く降ったりするな。大変だよな。」
台風が来ると俺の家は一軒家なので壊れると色々と出費がかかるので対策費用などにかなりお金を使った。
台風が来ると大変な事になるのが当たり前なのにケイは聞いてくる。
「だよな?」
「うん。」
「で、あんた風の厄災に何したの?」
「ん?だからな、右手の甲のにふーふーふーって息を掛けられてる感じがしてムズムズするから左手でペチって潰した。」
「だから台風を蚊みたいに潰したんだぞ?あんたは…」
何故かケイは風の厄災を潰した事を呆れているようだ。
「おじさん。偉い!」
ユカが誉めて頭を撫でてくれた。
ユカは可愛くて俺の事を解ってくれている。
「おっさん、偉い!」
ユージが握手をしてくれた。
ユージは優しくて俺の事を解ってくれている。
「アラヤさん、凄いです!♥️」
ユリアは背中を抱き締めて押し付けてくれた。
ユリアはおっきくて俺の事を解ってくれている。
(くっ、さすがだ!ユリア!)
「だよな?どやっ!」
「アラヤ様、流石です。」
ミリーシアも両手で頭を胸に抱き締めてくれた。
凄く良い匂いがした。
(この質量のプレッシャー!流石だ!ミリーシア!実に良い!)
ケイは青年の面白くもない日記を読むのを諦めた様だ。
メグレティアから持って来た本を読んでいる。
「アラヤさんよ、あんたの陽炎のデカイさは自分でも解らねぇの?」
ケイは俺の陽炎の全体が気になる様だ。
「んー、俺と同一軸で馬鹿デカイ物が移動するからな。俺には空を見上げてもうっすらとしか見えないな。」
「見る方法はねぇの?おっさん。」
「俺の陽炎の全部を?」
「うんうん。」
「んー、宇宙か空から見るか、遠く離れた高ーい山から見るしか方法はないかな?」
「「マジか!」」
ユージとケイは仲良く声を合わせた。
「マジで!下からなら少し見えるだろ?」
「「あー、見える見える。」」
「まぁ、俺の陽炎見てもデカイ!って思うくらいだぞ?皆の陽炎みたいに身体に纏ってなんか変身してるみたいじゃ無いし…」
俺は青年の面白くもない日記を読まずに適当にペラペラ捲る。
「ケイ!おじさんに謝って!おじさんそこ気にしてるトコだってユージが言ってたじゃん!ケイ、謝って!」
「えっ!俺?俺なの?あー、アラヤさん、ごめん。俺が悪かった。」
ケイが気まずそうに謝っている。
「ん?いいぞ!許す!」
俺は即答で広い心でケイを許して上げた。
「「「軽!」」」
「アラヤさん、あのガメスって野郎の対策はなんかねぇの?」
「あいつか。今の所あいつが俺の陽炎の範囲で敵対をしてこないと反応のしようがないな。」
「あん時もあんたにあいつは敵対してねぇから俺のエネミーサーチにもイエロー・シグナルだったからな。」
「そうだな。だから俺も気付くのが遅れた。」
「でも次は敵対してくるよな?」
「多分な、デュアルチェーンソードを見て気に入ったみたいだったからな。」
「おっさん、デュアルチェーンソードって盗られたりすんの?」
「いや、盗られたりはしないな。デュアルチェーンソードも一応あれでも機獣扱いだからな。」
「「「えっ?」」」
ユージとユカとケイが驚いている。
「えっ?」
三人が何故驚いているのか解らずに俺も驚いた。
「いやいやアラヤさん、チェーンソードがなんでベヒモスと同じ扱いなんだ?」
デュアルチェーンソードがベヒモス達と同列の事をケイは知らない様だ。
「えっ?だってケイ、デュアルチェーンソードは期間限定農耕具☆LV6だぞ?チェーンソードとは違うぞ?」
「「「あー!そうだった!」」」
「///ですよね!アラヤさん!♥️///」
デュアルチェーンソードはガチャの期間限定商品で俺は八対(十六本)持っている。〔チェーンソードは1日一回十連無料ガチャの中の一般農耕具の一つ。常設のガチャを回せば出て来る。〕
ファンタジー・ファーマー・ファクトリーをプレイしている人の必須耕具の一つに並べられている耕具だ。
畑エリアを拡大する時に初期所持装備のノコギリ一本だと1エリアの拡大に三十分かかるのだけどデュアルチェーンソードを装備してエリア拡大をすると五分で終わる。〔チェーンソードだと十五分かかる。〕
畑エリア拡大の時間短縮の為に必要な耕具だからだ。
「シャベルとかスコップとか鎌とか通常の☆の低レベルの耕具は人に譲渡も出来るだろ?」
「「「「うんうん。」」」」
「デュアルチェーンソードは高レベルの耕具だから俺の召喚で貸し出す事は出来るけれど譲渡は出来ないから盗まれる事はないな。」
「あー、そっか、チェーンソードとは☆のレベルが違う耕具だったんだよな。俺最近デュアルチェーンソード使ってねぇから忘れてたわ。」
ケイはほとんどの畑の拡大拡張は終わらせてあるらしい。
「うんうん。デュアルチェーンソードは似て非なるだからな。性能自体倍以上の能力持ってるし。害獣大行進の駆除の速さなんか凄いぞ?」
「えっ!害獣大行進に使える?嘘だろ?」
「デュアルチェーンソードは武器として装備可能だぞ?」
ケイはデュアルチェーンソードを武器として使って無かったようだ。
チェーンソードでも使えるのだが駆除用の武器とあまり差がなくチェーンソードを使うならバスターソードを使って範囲を広く攻撃して駆除する方が早いからだ。
「デュアルチェーンソードの攻撃力の高さを甘く見すぎてたぜ…次からデュアルチェーンソードだな。」
「そうだな。範囲もバスターソード以上に広いしな。」
「マジか!」
「マジで!両手を開いてぐるぐる回るんだぞ。そりゃ広いだろ。」
「バスターソードは一本だしな。」
「そう言う事だな。」
「それでユリアは害獣大行進は得意って言ってたのか?」
「うんうん。デュアルチェーンソードでサクサク終わっちゃうから」
「俺壁建てて追い込みかけてバスターソードでチマチマ殺ってたわ…」
「「ウワー。」」
セオリー通りの戦法でかなり効率は悪い。
モンスターが思ったコースに動いてくれない時には畑に大量に侵入されて作物を食い荒らされる。
泣きたくなる瞬間が来る。
「バスターソードの剣の長さの範囲は広いけど攻撃力の高さが圧倒的に違うよ?ケイ君。」
「えっ!マジで?」
「うんうん。くるくる回りながらモンスターに当たるだけでアイテムに変わって行くよ。凄く楽だよ?」
「チェーンソードみたいに横に振り回すんじゃねぇの?」
「ううん、両手を広げてくるくる回るから範囲も広いよ。」
「エリア拡大の時のアバターの動きでパレードをクリアしていく訳か!そりゃはえぇわ!」
アバターが回転しながら木を切り倒して行く姿はコミカルで可愛い。
エリア拡大が終わるとピコピコ跳ねて喜ぶアバターを見ていると次のエリアも無駄に拡大したくなる。
「アラヤ様、これを。」
ミリーシアが青年の日記に何を見つけたみたいだ。
「ん、どれどれ、」
青年の性生活編の日記だった。
少しゲンナリして仕方なく読み始めた。
《バルグドル砦防衛戦で僕は大活躍して女勇者をまた手に入れた。リデアより若くて可愛いてスタイルも良い。無表情なのはもうなれたけどもう少しは表情を変えて悦んで欲しいと思う。この子がどんな声を出して悦ぶのか楽しみだ。彼女との時間を楽しもうと僕専用の部屋に行こうとした時にあいつが前から歩いて来た。ビゼルデル帝国の解放者の軍事戦略参謀のいつも何か食べているリュート大佐だ。あんなにひたすら食べているのに痩せている不思議な奴だ。僕と歳は変わらないのに戦場でほとんど戦わずにハーレムの女性達や隷属している男勇者達に戦わせているだけだ。その癖綺麗で可愛い女勇者を沢山連れて回るあいつは許せない。戦場に出ないのはスキルが弱いからに違い無い。いつかあいつを殺してあいつの女達も僕のハーレムの女にしてやる。僕のハーレムはまだ人数であいつに負けている。僕の方が活躍しているのにあいつの女の数が多い事は許せない。あいつの連れているあの猫耳の子はなかなかのスタイルで可愛いくていい。あいつの連れている子達は解放者らしいから夜は楽しいんだろう。それも今のうちだけだ。僕もハーレムの女達を全員集めてあいつに僕の楽しいハーレムライフを見せ付けてやる。あの爺の若い可愛い胸の薄いあの子の声も凄く良かった。あの爺もそのうち殺してやる。将軍だからと言って威張っていられるのも今のうちだ。僕にはあの爺が知らないあれがある。この国もメグレティア王国みたいにそのうち僕の物にしてやる。今日はこの子を連れてあとからメアヌとゆっくりと三人でビゼルデルの逗留期間を楽しむつもりだ。メアヌとの今日からの毎日の事を考えると鎧の腰の前垂れがまた壊れてしまいそうだ。メアヌのモノ凄くエロく悦ぶ姿とモノ凄く気持ちのいいテクニックとモノ凄くエロく悦ぶ声を想像すると我慢が出来なくなってきた。今からメアヌが来るまでこの子の悦ぶ声を聞きながらベッドの上でこの子の中に直接僕の熱い愛をたっぷりと何回も出して僕の愛を教え込んで僕のテクニックで虜にして僕のハーレムの女の一人にしよう。》
「ふぅ、ようやく一人の役職と二人の名前が出たか。」
青年の面白くもない日記をうんざりしながら読み終わった。
青年のナルシストぶりには胃袋から何かが出て来そうになる。
「「マジか!」」
「おじさん!やっと?」
「アラヤさん!本当ですか!」
「ああ、ミリーシアが見付けてくれた。解放者の軍事戦略参謀リュート大佐と言うらしい。スキルも何も解らないままだな。ただ青年と同じくらいの歳と言うとは多分…」
「おっさん。メイガンの日記の奴か?」
「アラヤさん、俺とあんまり歳の変わらねぇ奴が軍事戦略参謀って…どんだけ…」
「おじさん軍事戦略参謀って何?」
「戦争の作戦を建てたり戦争を指揮をするお偉いさんだ。」
「えー、あいつと同じ歳でー?やな奴~!」
「アラヤさん…私より少し歳上くらいで軍の幹部なんて…」
「アラヤ様、リュート大佐と言うと人物は何か異質なモノを感じる人物です。常に食事をしていると言う事は、」
「多分、この世界の食事の栄養素が足りない事に気付いているんだろうな。順応はあまりしてないもかも知れない。判断力も高い様だな。」
メイガンの日記に出て来ていたメイガンが恐れていた解放者だ。
この世界の普通の子供の考えでは思い付かない様な作戦を使い戦いを楽しんでいた様だ。
メイガンの日記と照らし合わせ俺達の知識の中であればそれは戦略シミュレーションゲームの攻略方だ。
この世界の兵隊と隷属された到来者達を駒を配置する様に第一強国の大軍を蹴散らし一気に戦況を覆した様だ。
勝てた物のビゼルデル帝国の兵隊損耗も激しく到来者達もかなり死亡した様だが
「ほら、僕の作戦どーりで簡単に勝てたでしょ?弱いユニットは使い捨てにしないと役に立たないでしょ?使い捨てたから突破出来なかった所が突破出来たでしょ?いなくなったユニットは別のユニットを補充すればいいでしょ?ユニットはコストを使わないでただで補充出来るんでしょ?勝てばいいんでしょ?勝ったから僕は偉いんだよね?もっと新しい強いユニットを沢山連れて来てよ。僕はもっと勝てるよ!」
と平然と笑って言ったらしい。
子供の冷酷さと残虐性に戦争をゲームと捉えさせてしまったビゼルデル帝国が招いたモノだ。
その子供が成長してビゼルデル帝国の軍幹部にまで登り詰めている。
メイガンの日記にはビゼルデル帝国は毎年の様に召喚儀式を行っていた様だがメグレティア王国からも到来者の武器を集めていたとなるとどんな戦力を持っているのかが予測出来ない。
ガメスの移動方法もだが不確定要素が多過ぎて今までの様に正面突破では難しくなっている。
ビゼルデル帝国はメグレティア王国の国境からはそう遠くはない。
しかし戦争状態の国に攻め込むには情報が足り無さ過ぎる。
やはりノエルのお告げの第一強国とビゼルデル帝国に起こる厄災《魔王の配下の復活》に乗じて攻め込むしかないのだろうか。
厄災の混乱で二国の球ころが行方不明になられても困る。
俺達の最重要目標は球ころだからだ。
「うーん、青年の日記とメグレティア国王の本棚の本からビゼルデル帝国の情報を集めていないと球ころにたどり着けないな。」
「あー、確かに今まで見てぇに突っ込むのも簡単に出来ねぇだろうしな。どーすんだ?」
「戦争しているんだよね?警備とかもめちゃ厳しいのかな?ユージ。」
戦闘中に突撃していくのはやはり今までの様に簡単ではないだろう。
「あー、そうかもな~ユカ。今までがヌルゲーみたいなもんだったしな。俺達大して出番が無かったしな、バチバチのやり合いになりそうだな?」
ユージの言う様に戦闘を行いながらの進行となる可能性は高い。ユニバース・ベヒモス達に被害が出る様な事はないと思うのだか安心は出来ない。
「アラヤさん…もっと情報を集めていきましょう!何か見つかるかも知れません!」
「そうだな。なんでもいい。ビゼルデル帝国の内情に繋がる情報を探そう。二国の厄災までには時間がまだある。他の厄災はどうにかするだろう。《魔王の配下の復活》だけはなんとか間に合わせて阻止出来るのなら阻止しよう。それぞれの国が招く厄災だけど巻き込まれる一般の人々の犠牲者はなるべく少ない方がいいからな。今後の人手の為にも。」
「「「「うんうん!」」」」
目標の球ころの奪還があと二つとなってからが難しくなって来た。
力技だけで通用するのは戦力の低い国々だけだ。
だからと言って時間を掛け過ぎても厄災が始まってしまう。
《魔王の配下の復活》が始まる前に球ころを奪還する作戦を考えなければいけない。
不完全にでも解放されていれば真の厄災は防げる。
勇者は静かに考え事をしている!どうしますか?
いっしょにかんがえる
ゆうしゃのかおをのぞきこむ
ゆうしゃのかおにらくがきをする
よそうをする
くびをつかまれる
もちあげられる
からだがうきあがる
ゆうしゃになげられる
ぷーるをとびこえる
やしきをとびこえる
おしろをとびこえる
はたけにあたまからつきささる
だれかがくる
すこしどきどきする
だれかがちかづいてくる
すごくどきどきする
しりをむちでたたかれる
すごくきもちがいい
せなかをむちでたたかれる
きもちよくてあたまがはたけからぬける
ふりむく
おじいちゃんがむちをもっていた
だれかがむちをもっていた
じょうおうさまがむちをもっていた
ゆうしゃがむちをもっていた
むひょうじょうになる
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