表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
31/61

掠め取られた大きな獲物!?

勇者は出発の準備をしている!どうしますか?


てつだう


とらっくにつみこむ


ぜんぶつみこむ


ようすをうかがう


とらっくではしりさる


ようすをみる←

俺達はメグレティア王国からリンメル草原へ帰る準備を始める。

メグレティア王国でやるべき事は残り少ない。

あとはメグレティア王国の住民達のやる気次第だ。

俺達の出来る準備は残りわずか。


俺はノエルにお手伝いのお願いのメールを送る。

ノエルからいつもの様に快諾のメールが届く。


俺は城内庭園の中央に立ち深呼吸をする。

思いに魔法力を込めて声を発する。

遠雷の様な低音の澄み渡る俺の言葉がメグレティア王国の空に響く。

(ふぅ、ようやく俺の出番だな!神託の代弁者アラヤ出る!)


『聴け!メグレティア王国の全民達よ!我は豊穣の女神ノエル様の代弁者であり執行者である。火急の事で混乱するであろうが我の言葉に耳を澄まし聴き留めよ。我々豊穣の女神ノエル様の代弁者として近年中にメグレティア王国に降りかかる大地の厄災《大地の魔王の怒り》の予兆を告げる為に我々は来訪したのである。


王都直下の震源により多くの無辜なる民達が犠牲になり兼ねない大惨事を回避する策を授けんと我々は代弁者として火急に来訪したにも拘わらず国王並びにその配下は数多の妨害を企て行く手を阻み我々を隷属せんとした。更には先の我の言伝を守らず到来者達の隷属を継続しつつ新たな到来者召喚の儀式の準備迄行う始末。断じて許し難い行いであった。寄って我々の権限に基づき事の元凶である国王並びにその配下を処断せしめ王城の破壊を執行した次第である。


我がこれより厄災に対する策を授けん。心して聴け。我々は王都全住民達を予め避難させ執行の余波により王都の軟弱な家屋の多数を倒壊せしめた。余波にによる倒壊を免れた王都の強固な家屋を手本とし新たな家屋を設計し建設を行う事を強く薦める。建設用資材の石材は王都の周辺の大地の地中浅くにその多くが眠っている。掘り返せば次第に発見出来るであろう。それに寄り大多数の人命の被害が格段に減数する。


次に我々がメグレティア王国を耕し進める土地に作物を育て収穫し備蓄を急ぎ初めよ。その備蓄により厄災直後の食糧不足も解消出来るであろう。メグレティア王国の民達の行動以下により大地の厄災《大地の魔王の怒り》による多くの損害、被害が変動するであろう。これは豊穣の女神ノエル様の神託と知れ。我は豊穣の女神ノエル様の代弁者として告げた。


メグレティア王国の無辜なる民達よ。畑は我々に作られるだけではない。そなた達の自らの手により耕すのだ。微睡(まどろ)みの時は終わりを告げた。いずれ遠く無い未来には到来者達はこの世界より全て去り行く。そなた達は自らの手で耕し自らの足で繁栄の可能性のあるこの世界を歩むのだ。異なる理の世界の者達に平穏無事を縋る事なかれ。これは我々の願いでもある。先の未来に生命を紡げ。自ら大地を耕す者には大いなる大地の恵みの作物が実るであろう。』


俺はメグレティア王国でやるべき事の一つを終わらせた。


『我に続け!グローリー・ノエル!』


俺は声に魔法力を少し込めて右拳を星空に突き上げて叫ぶ。


『『『『グローリー・ノエル!』』』』


ユージ、ユカ、ケイ、ユリアが俺に続いて声に魔法力を少し込めて右拳を星空に突き上げて唱和する。


『『『『『グローリー・ノエル!』』』』』


更にミリーシア、アメリア、ティアーナ、リアーナ、マリアーナが声に魔法力を込めて右拳を星空に突き上げて唱和する。


『『『『『『『グローリー・ノエル!』』』』』』』』


更に更に全身タイツスーツの女性達が声に魔法力を込めて右拳を星空に突き上げて唱和する。


『グローリー・ノエル!』


『『『『グローリー・ノエル!』』』』


『『『『『グローリー・ノエル!』』』』』


『『『『『『『『グローリー・ノエル!』』』』』』』』


『グローリー・ノエル!』


『『『『グローリー・ノエル!』』』』


『『『『『『『『グローリー・ノエル!』』』』』』』』


メグレティア王国の満天の星空に俺達の声が響き渡った。




都市の区画整理は無事に終わりあとは住民達の避難している湖の湖畔に行き渡す物を渡して俺達はメグレティア王国を離れるだけになった。


何処の国でももうあまり時間が残されてはいない。それぞれの厄災に対しての備えをしていれば乗り越えられる物が多いのだが事後処理や建設の資材運搬などを到来者をまるで建設機械の様な扱いをしている様だ。


少し古い時代に建設された建築物は石材や柱や壁や地盤の事などもかなり考えられて建設されていた。王城は地盤が強く城の強度が脆弱でも外見だけは威厳を保てる大きな城を急ぎ築城した様だ。


悪循環の螺旋の世界を更に到来者達を次々と召喚した為に精霊や妖精の支えも無くしこの様な状態に至っている。俺達が例え手を差し述べてもこの世界の脆弱性をすぐに改善出来る訳では無い。世界の根本的な改善をこの世界の人々が行わないと何も変わらない。


俺達は俺達の為に耕す。

俺達の目的の為に大地を耕す。





「さてとあとは渡す物と引き継いを終わらせたら俺達は戻るとしようか。」


俺は両手を組んで伸びをしながら笑顔で皆に言う。


「おっさんに同じ~さっさと戻ろーぜ。チビスケ達に早く墓を建ててゆっくりしてもらいてぇ。」


ユージも笑顔であの子達の弔いをしようと言う。


「アタシも~畑も気になるし~ゆっくり球ころと寛ぎたい~あの子達のお墓も建てて上げたいもん。」


ユカも笑顔であの子達の弔いをしようと言う。


「そーだなー。のんびりと畑を眺めたいわ。色々見たくねぇもん見ちまったからな。あのボウズ達の墓も建ててやりてぇし。」


ケイも笑顔であの子達の弔いをしようと言う。


「///私もゆっくりしたいです。私もあの人達のお墓を建てて上げたいです。///」


ユリアも笑顔であの子達の弔いをしようと言う。


「「「「「そうですね!安らかに眠れるお墓を皆さんで建てて上げましょう。」」」」」


ミリーシア達も笑顔であの子達の弔いをしようと言う。


「私達お城から殆んど出た事がないからやっと自由になった様な気がします!」


青い髪の全身タイツスーツの女性がようやく解き放たれた実感を少しずつ感じていた様だ。


「あたしもやっと自由になった。あたしはベヒモスと一緒に色々やりたい。」


ピンクの髪の全身タイツスーツの女子も解放された事を感じ取りもっとベヒモスと仲良くなりたい様だ。


「ユージ君が行く所について行く!私もユージ君のやってる事をやりたい!」


緑の髪の全身タイツスーツの女性がユージをロックオンしている。


「美味しい物を色々食べたい~♪畑も見てみたい~♪」


赤い髪の全身タイツスーツの女性が美味しい物と畑に興味を持っている様だ。


「ユージ君と美味しい物一緒に食べたい!」


黄色いの髪の全身タイツスーツの女性もユージをロックオンしている。


「私も一緒についていって魔法力の使い方をもっと詳しく知りたい!」


緋色髪の全身タイツスーツの女性は魔法力を学びたいらしい。


「食べ物を育てるって事を知りたい。自分達で育てた物を食べてみたい!」


オレンジ色の髪の全身タイツスーツの女性は畑に興味がある様だ。


「ユージ君と一緒に色々な場所に行ってみたい!ユージ君の事を知りたい!」


紫の髪の全身タイツスーツの女性はユージ一色の様だ。


「よし、湖の湖畔に向かおう。機獣ユニバース・ベヒモス18機我らの前に揃い権現せよ!」


俺達の前にユニバース・ベヒモス達が縦列で並んで召喚される。


「よし、湖に行くぞ~♪」


「「「「オー♪」」」」

「「「「「ハイ!アラヤ様♪」」」」」

「ハイ!アラヤさん」

「うん、アラヤおじさん。」

「「「「「「ハイ!」」」」」


「おい!僕を忘れているだろ!君達は僕と一緒に行くんだ!君達は僕のお…ゴフッガハッゲボッぶへっやめっ!ごがぁっゴッグガっ!…」


(くさ)(にお)いの青年がまだいた。

相変わらず空気が読めない様だ。

(フム、まだいたのか。転がって逃げれば逃げられただろうに。)


「まだいたのか。逃げる時間はあっただろう。青年お前は馬鹿だな。青年の夢の時間はもうとっくに終わっている。」


「爺は僕が怖いんだ!だからこんな風に縛り上げているんだ!こんな風に辱しめて優越感に浸っているんだ!怖くないなら(ほど)て見ろ!腰抜けくそ爺!!」


臭い匂いの青年がまだ威勢の良い事を言っている。


「はぁー、青年は何も解って無い様だな。」


「何をだ!」


「俺が青年と戦えば青年を殺してしまうからユージが青年を助けた事を理解していないのか?」


「何を!!僕が助けられた?」


「ああ、そうだ。」


俺は向日葵の種を一粒右手の親指で弾き飛ばしうつ伏せて転がっている臭い匂いの青年の顔の手前の地面に撃ち込む。

臭い匂いの青年の顔の手前の地面が爆裂して2m程の広さの穴が(えぐ)れる。

臭い匂いの青年が固まる。


「青年、俺の技は全て手加減が難しい。魔法力を込めずにかなり手加減してもこの威力だ。これでもやる気なら受けてやるぞ。」


「じ、地面に穴を開けただけだ!こ、こんな事くらい僕でも出来る!こ、こんなこけ脅しにお、怯えると思うなじ、爺!僕はPVPで負けた事は無いんだ!」


怯えた顔で説得力のない台詞を言う臭い匂いの青年。

どうやらまだ隠している物がある様だ。

俺になら勝てる自信がある様だ。

ユージがため息をついて臭い匂いの青年の縄と蓙を長刀の陽炎を纏わせたナイフで鮮やかに切り解き臭い匂いの青年を解放した。


「はぁー、てめぇ、もうどうにもでもなれや。くそ漏らし。おっさんの最後の優しさを踏み躙ったのはてめぇだ。あの子達にてめぇの死に様を見せたくねぇっておっさんは何度も言ってたんだよ。てめぇがてめぇで爆弾抱えてスイッチ押しただけだかんな。俺に負けた時に気付けや。何で俺がてめぇをボコったのかをよ、ボケが。」


ユージはナイフの陽炎を消して俺の右側に戻る。


「あいつスンゲェ臭せぇ。あとはおっさんに任せる。マジで馬鹿っているんだな。」


そう言ってユージはナイフをタオルで拭いている。


「ああ、ユージ、ありがとな。ユージの優しさに気付かない馬鹿がいるんだな。」


「ったくだ。ユージが助けてやった事に気付いていねぇなんてな。アラヤさん俺が出ても良いぜ。俺もユージまでじゃねぇがある程度なら手加減は出来んぞ。」


左側に立っていたケイが名乗りを上げてくれた。

ケイが陽炎を纏わせずに素手で行くつもりの様だ。


「ケイ、ありがとな。だけど青年の指名は俺だ。俺が殺らねばいけ無い時みたいだ。ケイ、彼女達を連れて湖畔に行っていてくれ。彼女や皆には見せたく無いからな。頼めるか?」


俺は全身タイツスーツの女性達に青年の最後を見せたく無いのと渡す物は彼女達とユージ達が持っているから渡して来て貰おうと考えた。


「ハイよ、あの子達のベヒモス達の命令は俺が出しても良いのか?」

「ああ、任せる。車の運転をイメージすればベヒモス達は理解するからな。」

「ん、解ってんよ、もう慣れた。あんた。背負い込むなよ。」


ケイは俺の右肩を軽く掴んでユニバース・ベヒモスに乗り込んだ。


「皆、ユニバース・ベヒモスに乗れ!先に女王と姫と住民達に渡してアラヤさんを迎えに来るぞ!」


「ハイよ。おっさん迎えに来るかんな!」

「うん!おじさん!迎えに来るからね!」

「アラヤさん!迎えに来ます!」

「「「「「アラヤ様!必ず御迎えに参ります!」」」」」

「行きましょう?貴女達は見ない方が良いですから。」


ミリーシアは全身タイツスーツの女性達に優しく促す。


「ミリーシアさん…解りました。アラヤさん…必ず迎えに来ます!」

「アラヤおじさん。迎えに来る。」

「迎えに来ます!」

「必ず迎えに来ます!」

「「「「あとで迎えに来ます!」」」」


皆が心配をしてくれている。

全身タイツスーツの女性達は残り見ていたい様だけど


「アイよ、待ってる。女王と姫によろしく!」


俺は胸の前で右拳を握り親指を上に立てる。

皆は頷いてユニバース・ベヒモスに乗り込んだ。


「んじゃ、ユニバース・ベヒモス達!!俺について来い!」


ケイの掛け声でユニバース・ベヒモス達は緩やかに走り出した。

俺と臭い匂いの青年二人が無人となった廃墟の様に静かな城塞都市の王城跡に佇む。


「爺!!剣を抜け!この僕が直接剣で戦ってやるんだ有り難く思え!」


臭い匂いの青年は俺が遠距離戦闘型だと思っている様だ。

近接戦闘なら勝ち目があると剣なら勝てると思っている様だ。

(フム、よくあの尻の状態で普通に立っていられるな。忘れているのか?)


「俺がどんな剣を抜いても良いのか?」


臭い匂いの青年に一応聞く。

後からズルいと言われたく無いからだ。


「好きな物を抜け!前衛のあいつらがいなければ後衛の爺は裸同然だ!僕は剣と魔法のPVPで負けた事は無いんだ!魔法使いなんて職業は僕の前じゃただの切り刻まれる人形と同じなんだよ!爺を殺して女達と爺の連れている女達を僕のハーレムの女にしてやる!あの二人の男ももう倒せる。あのガキのソードフォームは覚えた!範囲も解った!僕は負けない。この剣はさっきみたいななまくらじゃ無いぞ!まだ隠しているつもりだったのにな!。爺の女達を全員ベッドで僕の虜にしてやるよ、安心して死ね!オーラ・オール・レンジ・スラッシャー!」


ストレージからロングソードと言われている剣をいきなり取り出して臭い匂いの青年は俺がまだ武器を装備していないのに離れた距離からスキルを使って切りかかって来た。

(フム、この国の武器情報を知らない様だな。情報は剣よりも役に立つ時もあるのだよ。青年、甘いな。それはなまくらだ。)


長々と喋り油断をさせて襲いかかるという昔のヒーロー物の悪役みたいな事をして来た。

(フム、古典的な小狡さだな。)


『カウンター・オープン・ミラージュ・ガード・ドーム!』


ミラージュ・ガード・ドームが自動反撃展開をする。

青年はドームの展開を見た瞬間にスキルを変更した!


「くそっ!オーラ・スキル・キャンセル!ソード・ストライク!グハッ!」


臭い匂いの青年は突き攻撃に変えたが跳ね返って来たダメージをまともに喰らい後方に弾き飛ばされるが宙返りをして体勢を立て直す。


「くそっ!出て来い爺!!剣で闘え!怖いのか!出て来い!」


俺に剣を向けて何かを喋り剣を握った右手を横に振って何をアピールしている。

ドーム中に俺はいるので何も聞こえない。


「ドーム、スモールシフト。」


『了解。ミラージュ・ガード・ドーム、スモールシフトに移行しました。』


ドームは俺の身長よりやや高めまで縮む。


「フフフ、次はこっちの番だ。青年、ドームの恐ろしさを覚えるが良い!!」


俺はドームを持ち上げて臭い匂いの青年目掛けて全速力で突進する。

ドームは無音で滑る様に大地を進む。


「なんだよ!!来るなっがはっ、なんなんだ!来るな!出てっぐぼっズルいぞ!出て来て剣でっげはっ!」


俺は臭い匂いの青年が立ち上がる度に何度も突進をする。

無音で突撃してくるドームを回避が出来ない臭い匂いの青年。

なんとか立ち上がった青年が何かを言っている。


「くそっ、いい気になるな!僕はな、盾は破壊できるんだ!オーラ・シールド・オール・ブレイカー!盾ごと真っ二つになって死ね!爺!!」


頭が不思議卵の臭い匂いの青年はドームにスキルを使い切りかかって来る。

ドームの中の俺には何も聞こえない。

俺は勿論ドームで受ける。


「ぶがはっ、!ば、馬鹿な!あり得ない!!絶対盾破壊スキルを無効化して跳ね返すなんてあり得ない!!チートだろ!」


派手に吹っ飛び背中から地面に叩き付けられて転がっている臭い匂いの青年は何かを言っている。


「青年!ミラージュ・ガード・ドームはただのテントではない!、ビニールハウスなのだよ!」


だがドームの外には聞こえていない。

ドームの中の俺には外の声も何も聞こえない。

背中を強く打ち付けた臭い匂いの青年は立ち上がれない。

俺は特攻ドームを出て次の手に移る。


「ミラージュ・ガード・ドーム!標的(ターゲット)中央(センター)標準(ロックオン)円形状(ドーナツ・サークル)設置(セット)展開(オープン)!」


臭い匂いの青年の回りを長いミラージュ・ガード・ドームが地面に重い音を響かせて丸いドーナツ状の形を作り逃げ場の無い様に取り囲む。


「なんなんだ!これはどうする気だ!」


PVPが得意でもこんな攻めら方をされたことは無いだろ。

攻撃をすれば跳ね返される。

臭い匂いの青年はドームに囲まれて何も出来ない。


「青年、敗けを認めろ。ビゼルデル帝国に大人しく行け。ストレージの中身を全て置いてこの国を行くのなら命は助けてやる。」


俺はドーナツドームの外側から臭い匂いの青年に声をかける。

彼女達の生きるモチベーションの為に臭い匂いの青年にはまだ生きていてもらわなければ困る。


「ふざけるな!僕が怖いからこんな風にしか戦えないんだ!剣で戦え!」


「お前は馬鹿だな。俺の武器は手加減が難しいと言っただろう。本気で死にたいのなら俺は抜くぞ。だけどまだ考える時間はやる。俺はコーヒーを飲む。その間によく考えろ。」


俺はストレージから缶コーヒーを出してゆっくりと飲む。


「くそっ!届かない!」


臭い匂いの青年はドームをよじ登ろうとしている様だ。

高さ3m程の半円型で表面は突起もなく滑らかなので勿論掴まる所なんて無い。

馬鹿な臭い匂いの青年はドームに助走をつけて走って飛び掛かった!

最悪な事を臭い匂いの青年はやってしまった。


「これくらい飛び乗れば良いんだ!!おらぁー!がはっ、!うゎー、ぶはっ!ひぃっ、ごはっ!とめっ、ごふっ!うわーっ、べふっ!なんだっ、がふっ!とまっ、ぶへっ!おごっ!ぎゃっ!ぶへっ!グハッ!」


ドームは攻撃を跳ね返す。

臭い匂いの青年がドームに飛び掛かかれば体重の重さがドームにぶつかる。

ダメージとなる。

跳ね返される。

空中に浮く。

跳ね返った先のドームに跳ね返される。

しかもドーナツの様な円で青年を取り囲む配置のドームの中で臭い匂いの青年はそれを行ってしまった。

臭い匂いの青年は跳ね返される度に二倍のダメージが加算されて受け続ける!

臭い匂いの青年は俺がドームを消さない限り一人人間ピンボールを延々と続ける事になる。

ダメージは二倍で上がり続ける!

跳ね返される速度も二倍に加速していく!

(不思議卵頭め。俺の出番が無くなってしまったではないか。)


「がっ!べふっ!ぎゃっ!ベッ!ぶはっ!ごっ!あばっ!ぶえっ!がっ!あぐっ!やめっ!ぐば!とめっ!グハッ!ひぃっ!がっ!ちょっ!ばっ!がぁっ!」


俺はドーナツ・ドームの外側でコーヒーをゆっくり飲む。

満天の星空を眺めて。

(フム、やはり美しいな。星の海は。)


「がっ!ぐば!ぎゃっ!べふっ!ぼっ!やっ!ぶえっ!がっ!おごっ!ばっ!がっ!なっ!ぎゃっ!ごめっ!だっ!ずげっ!でっ!ぐば!ぶはっ!がっ!ば!が!ごっ!」


はね返り続ける臭い匂いの青年。

何かを言っている様だが聞き取れない。

俺はゆっくりと星空を眺めてコーヒーを飲む。

(フム、星座は無いのだろうか?美しい星空だ。)


「何を言っているのか、さっぱり解らない。良い星空だな。ふぅ、旨いな。」


臭い匂いの青年が青年が一人人間ピンボールで楽しそうに遊んでいるので俺は退屈になって来た。


「青年、一人で楽しんでいる様だな。俺は皆の所に行くから遊んでいろ。」


退屈なので俺は皆の所に女王と姫を見に行くことにした。

臭い匂いの青年の声が聞こえないがそのまま行くことにする。


スマホにユージから通話着信が来る。


「ハイ、もしもしアラヤですが?」

「もしもし?おれおれ。解る?」

「俺には息子はいません!切りますよ!キリッ。」

「だー!おっさん!それもういいって!ユージだっつうの!」

「なんだ、ユージか。どうした?」

「皆心配してっからよ。大丈夫かなって。俺は大丈夫だって言ったんだけど、掛けてくれって言われておっさんに掛けた。」

「あー、悪い時間かかってたか。もう終わりーかな?」

「なんだそれ?誰かに殺らせてんの?」

「いやぁ、青年が一人で自爆しまくってる。」

「はぁ?わかんねぇ。面白そうだから見に行くわ♪」

「うん、判った。城跡にいるからな。」

「ハイよん、じゃ一応俺一人で行くわ。」

「了解~♪待ってるな。」


俺が女王と姫を見に行けなくなった。

青年はまだ跳ね返り続けている様だ。

うめき声が聞こえるが面倒なので確認しない。

俺はユニバース・ベヒモスを喚んでコックピットドアを開けたままシートに座っていた。

数分するとユニバース・ベヒモスが一台近付いて来る。

俺のユニバース・ベヒモスの隣に停車して全部のライトが消灯するとユージが降りて歩いて近付いて来た。


「ヤッパおっさん無傷じゃん。」

「ん?誰か俺が怪我してるって?ユージ、ほら。」


俺はユージにパインのジュースを渡す。


「サンキュー♪青い髪の姉ちゃんがめっちゃ心配してた。あの姉ちゃん間違いなくおっさんに気があるな。俺はあの姉ちゃんおっさんにパスすんわ。」

「ほほう、マジで?やった♪」

「うん、ベヒモスに乗ろうとしてたしな。あいつまだなんか隠しているっぽいからヤバいかもだってよ。ゴチ、ヤッパこれ旨ぇー♪」


ユージはパインジュースを旨そうに飲んでいる。


「俺は全然平気だぞ。特攻ドームで何回か突撃してあれやったからな。」


俺はドーナツ・ドームを指を指す。


「ドームだよな。…なんだありゃ?」


ユージが不思議そうにドーナツ・ドームを見ている。


「対人捕獲用ドーナツ型ドーム。檻みたいな物だな。」

「はぁ?わかんねぇ。檻?」

「うん、ドーナツ型のドームの真ん中に青年を囲い込んで閉じ込めて放置してたら青年が勝手に走ってドームに飛び掛かった。」

「あー、なるほどそう言うドームか。てか、あいつ、馬鹿じゃねぇの?あー、旨ぇ。」


攻撃を跳ね返すドームに体当たりをすれば跳ね返される事は解る筈だ。


「うん。俺もそう思った。」

「じゃああいつ跳ね返され続けてんの?」

「ああ、ほら、うめき声聞こえるか?」


ユージはドーナツ・ドームに耳を向ける。


「あー聞こえる。」

「そろそろいいか。」


臭い匂いの青年のうめき声が弱くなって来ている。


「どのくらいやってたんよ。」


「皆が向こうに言ってドームで突撃してあれ建ててコーヒー飲んでゆっくり星空見ててユージの電話鳴るまでずっと。」


「あーん、20分くれぇ?」

「そうだな。そのくらいだな。」

「よく生きてんな。あいつ。」

「陽炎纏っているからじゃ無いか?」

「あのうっすい陽炎?」

「そう。楽になりたけりゃ陽炎消せばダメージ少し減るのに陽炎で防御力あげるからダメージがどんどんあがっている。」

「おっさんあいつの頭、中身のねぇガチャの空ケース並みか?」

「だろうな。」


臭い匂いの青年のうめき声がかなり小さくなって来た。


「そろそろいんじゃね?」


ユージは臭い匂いの青年の一人人間ピンボールを止めてやれと言っている。


「ユージは優しいな。」


俺はユージの頭をガシガシ撫でてやる。


「んなんじゃねぇ。」


ユージは紅くなってそっぽを向く。


「ドーナツ・サークル・ミラージュ・ガード・ドーム!クローズ!」


ドーナツ・ドームを収納すると臭い匂いの青年が地面に叩き付けられた。


「がはふっ!ぐぐがぁ…」


青年は顔面血塗れになって臭そうな鎧は原型が無くなるくらいメチャクチャに変形していた。

臭い匂いの青年の自慢の剣も折れ曲がっていた。

臭い匂いの青年はドームに剣を向けていたようだ。

余計ダメージが加算されたことは間違い無い。


「で、まだやる気か?」


俺は一応聞く。


「ち、治癒、治癒魔法をかけろ!け、剣も寄越せ!剣で戦え!」


臭い匂いの青年は頭がゲーム脳の様だ。

力の差が解らないらしい。


「お前は馬鹿だろう。何故敵対する者に治癒魔法をかける必要があるんだ。何故敵対する者に剣を渡す必要があるんだ。本当に馬鹿だな。はぁ、仕方無い。我の両手に権現せよ!愛剣デュアルチェーンソード!」


俺はため息を吐き出して両手を空に掲げると一対の剣が空中に現れて俺は剣の柄を握る。

俺はデュアルチェーンソードを装備すると動力レバーを両手の親指で押し上げる。

けたたましい動力音が響き渡る。

両手の人差し指でトリガーを軽く引く。

更に激しくけたたましい動力音を響かせて列なった刃が剣の外側に沿って高速回転移動をする。

俺は人差し指をリズミカルを引く。


「おっさん!それヤッパかっきぃな!」


「どやっ!ユージ!!青年、これが俺の剣だ。立て、真っ二つに切り裂いてやる!」


俺はユージにどや顔で笑顔を向けて真面目な顔で青年に向いて右腕を前に出して左腕の肘を曲げて後ろに構える。

俺は人差し指のトリガーを半分程引く。

けたたましい動力音が静かな廃墟の様な王都に響き渡る。

臭い匂いの青年が股を開いて震えながら股間を更に濡らす。


「どうした?剣で戦えと言ったのは青年だろう。立て、装備してやったんだ。」


俺は右手のチェーンソードを青年に向けてトリガーを全快て引く。

星空さえ切り裂く様なけたたましい動力音が響き渡る。

俺は地面に両手のチェーンソードを突き立て青年に刃を向けて歩いて進む。

(フム、軟らかいな、もう少し固いと思ったのだが。遊んで見るか。)


「や、や、や、や、やめろ!!く、く、く、来るな!!」


俺には動力音で何も聞こえない。

更に青年に歩みよる。

地面の土が青年に激しく降りかかる。

(ふははは、土まみれでよく似合っているぞ!不思議卵頭め。)


「く、く、く、来るな!!や、や、や、や、やめろ!!く、く、く、来るな!!」


臭い匂いの青年の尻のから更に激しく情けない音を立てて尻と股間の辺りが歪に更に盛り上がる。

俺はトリガーを緩める。

動力音がけたたましくうるさいので緩める。


「どうした?剣で戦えと言ったのは青年だろう?ほら、剣だ。立てまだ剣を持っているんだろ?出せ。望み通りに戦って殺るから!出せ!」


臭い匂いの青年は尻から別な物を大量に出した。

(フム、一体何処に溜め込んでいたのだ?便秘だったのだろうか?ならば解消出来て良かったではないか。)


「出す物が違うだろう!剣を出せ!戦いたいのだろう!戦って殺るから出せ!人を殺したいのだろう!お前も馬鹿ドワーフの様にゲーム感覚で人を殺す事が楽しいのだろう!自分より弱い者を殺すのが自慢なのだろう!剣を取れ!お前の好きな殺し合いをしてやる!いや、俺が一方的に殺して殺くれる!」


俺は声に魔法をほんのちょびっと込めて大きな声で怒鳴り付けデュアルチェーンソーを青年の目の前に突き付けてトリガーを全快で引く。


王都の大気が激しく揺れて大地が激しく震える。

だが王都の大地には大きな損傷はない。

小さな家が数件倒れた。

デュアルチェーンソードの動力部がけたたましく唸りを上げる!

(フム、少し残っていたようだな。まぁ良いだろう。手間が省けた。)


青年は顔の穴から出せる液体を出せるだけ出して更に臭い匂いの汚い醜い顔の青年にバージョンアップした。


「ま、ま、ま、魔法使いが剣を持つなんて狡いぞ!!ま、ま、ま、魔法で来い!!」


デュアルチェーンソードの動力音がうるさ過ぎてよく聞き取れ無かったが剣で来いと言っていたはずだか、今度は魔法で来いと言い出した。

俺は面倒臭くなって来た。

(西南西の微風。コースよし。)


俺は思いきり手加減をして臭い匂いの汚い顔の青年の腹をサッカー少年の必殺シュートの様に右脚で蹴り抜いた。

(いっけー!ドライ○シュート!!)


「グゲベロー!!」


臭い匂いの汚い顔の青年は吐瀉物を口から吐き出しながらサッカーボールの様に飛んで城の城門のアーチに激突した。

それでもまだ臭い匂い汚い顔の青年は生きていた。

俺とユージは歩いて臭い匂い汚い顔の青年に近付いて行く。

(なかなかしぶといな。)


臭い匂い汚い顔の青年は呻いていた。


「ぐぐがぁ…折れた…あばら骨が折れた…あり得ない…僕が…負ける…なんて紙装甲の魔法使いに…負ける…なんて…あり得ない…」


「おっさん、こいつのこれ読んだ?」


ユージが臭い匂いの汚い顔の青年の日記を渡して来た。


「いや、全部は読んで無いぞ。出来の悪い自己満足のエロ小説みたいで読む気が失せた。」


「読んでみ。こいつ生かす必要ねぇよ。」


臭い匂いの汚い顔の青年の戦闘日記に目を通した。

数分後読み終わり日記をユージに渡した。


「外道が…ゲーム感覚で行う殺人が楽しくてビゼルデル帝国に大量殺人の報奨で貰える女到来者達を好きなだけ貪っていたのか。ユージその日記は役に立つ。持って置いてくれ。」


「ハイよ、おっさん。俺は皆の所に戻るな。」


「ああ、判った。すぐに行く。」


ユージはユニバース・ベヒモスに戻ると乗り込み走り去って行った。

何かを察したのか臭い匂いの汚い青年は慌ててストレージから荷物を次々に出している。


「何をやっている?」


俺は臭い匂い汚い顔の青年に聞く。


「ストレージ!ストレージ!ほら!ストレージから荷物を全部出せば逃がしてくれるんですよね?全部です!これで全部です!」


臭い匂い汚い顔の青年の周りに山の様に武器と食糧が積まれていた。

(フム、これだけの量を一人で食うつもりだったのだろうか?なるほど!それで出て来たモノがあの量なのだな!)


臭い匂い汚い顔の青年が作り笑いをしている。


「ぜ、ぜ、全部出しました!これで全部です!!」


「嘘をつくな。食糧倉庫の備蓄量と無くなっている量がこれでは合わない。まだあるだろ。それはこの国の住民達の食糧だ。出せ。」


俺は右手のチェーンソードを臭い匂いの汚い青年に突き付けて言う。

トリガーに人差し指をかけてある。


「わ、わ、わ解りました!出します!出しま…死ね!くそ爺…えっ?…」


俺の側を風が通り抜けたと思うとストレージから剣を抜き出そうとしていた臭い匂いの汚い顔の青年の胸を太い槍が深く貫いて城門のアーチにまで突き刺さっていた。


「召喚儀式の準備が出来たと書簡を読んで来てみれば何だこれは!!レメス!!貴様はよくもワシの女達にまで手を出してくれたな!その槍はワシから貴様への罰だ!その槍は冥土の土産に貴様にくれてやる!」


年配の厳つい野太い怒声が聞こえて来た!

怒声のしてきた後ろを振り向くと六十代程の年配の厳つい大きな男が離れた元城の入り口付近に立っていた!

さっきまで気配探知に反応はなかった!

だが今は気配反応がある!

(何!あの距離から青年を狙っただと!こいつは出来る!)


「ガメス…将軍…ごばっ…」


臭い匂い汚い顔の青年が口から大量の血液を吐き出して大男の名前を言い残して死ぬと青年のストレージから大量の荷物が溢れ出てきた。

(ほう、持ち主が死ぬとストレージの中身が溢れ出るのだな。)


俺は男に向き直り


「横から獲物を掠め取るのも得意かガメス。」


俺は怒りを滲ませて言葉を吐く。

(いつの間に彼奴はどうやって現れた?)


大気が激しく揺れて大地が激しく震える。

ガメスは厳つい顔を歪ませてニヤリと笑う。

(厳つい男のにやけ顔など見たくもないな。)


「ふん、悪かったな。だがワシの女達に手を出した虫を殺しただけだ。貴様に悪気は無い。貴様は誰だ?」


ガメスは隷属のアクセサリーをかなり装着している。


「教える義理はない。」


「ふん、なるほど面白い、貴様は頭の切れる勇者のようだな。貴様の顔と武器は覚えた。ワシの用は…これでは敵いそうに無いな。次に会うときにはその武器は渡して貰うぞ。使えそうだ。」


ガメスはデュアルチェーンソードに目を付けたようだ。

耕された城を見てそう言うとガメスは俺に背を向けて畑になった城に向かい歩き出す。


「待て!お前には…」


俺が呼び止めようとした時には既にガメスの姿は消えていた。

勇者は狩りをしている!どうしますか?


てつだう


やりをもつ


ねらいをつける


ゆうしゃのしりにねらいをつける


なげる


よそうをする


はずれる


ゆうしゃにしりをねらわれる


だれかがくる


むひょうじょうになりかける


じょうおうさまがくる


どきどきしてくる


じょうおうさまがちかづいてくる


すれちがう


じょうおうさまがゆうしゃとはなしをしている


なんだかもやもやする


ゆうしゃにいしをなげる


じょうおうさまがくる


むちでたたかれる


なんだかきもちがいい


またたたかれる


なんだかうれしい


ふりむく


だれかがむちでたたいていた


むひょうじょうになる


ようすをみる←



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ