空気を読まない中年と空気を読めない青年
勇者は食事をしています!どうしますか?
いっしょにたべる
ごちそうになる
たっぱーをとりだす
たっぱーをにおかずをぜんぶいれる
たっぱーをわきにかかえる
とらっくにのる
はしりさる
ようすをみる←
俺達は青年の四年間の日記を偶然発見した。
緑色の髪の全身タイツスーツの女性のベッドのマットレスの下に詳細を事細かに書き留めた青年がどれだけ几帳面なのかが伺える日記が整頓されて古い年月の順番に綺麗に並べられ四年間分が貯められていた。
全身タイツスーツの彼女達にとって辛い四年間だった筈だ。
青年は欲望のままに四年間を過ごしていた様だ。
日記からは青年の仮面の下の外道ぶりが見て取れた。
青年達がこの世界に召喚されて治癒魔法で青年が一番最初に意識を取り戻して地下の召喚の儀式の間で大暴れをして口髭男を恐怖のドン底に叩き落とした後青年は元の世界に帰る手立てがない事を知ると口髭男達に話を持ち掛けた様だ。
『僕がお前達に脅されて従う振りをするよ。だから彼女達にその呪いをかけてくれ。彼女達を僕のモノに出来たら僕がこの国を守ってあげるよ。勇者が欲しいんだよね?彼女達がお前達の前にいる間は僕に命令口調で喋ってもいいよ。だけど忘れないでくれよ?それは僕がお芝居をしているだけだからね。あまり調子に乗るとあの部屋の様にこの城と街がなるからね?』
これが全身タイツスーツの彼女達の意識が戻るまでの青年と口髭男達との密約だった。
彼女達は魔法力に近い力を初めから備えていたらしい。
その力はルーンと言うらしい。
彼女達はルーンを使い青年との妊娠を回避していたらしい。
肉体的にも精神的にも負担の大きな事だったらしい。
彼女達かかる負担も苦痛も考えずに青年は欲望のままに彼女達を好き放題にヤり捲り弄んで快楽に溺れていた様だ。
それからの四年間の青年は好き放題に過ごし気紛れに第二強国の傭兵に成り済まし戦争という名の殺戮ゲームを思う存分に楽しんでいた様だ。
青年にとってこの世界は欲望に塗れた最高のボーナスステージだった様だ。
ケイが城の中にレッド・シグナルが一人だけいる事を教えてくれた。
レッドシグナルの気配の位置と俺達が捉えていた青年の位置と一致した。
ケイは青年のイエロー・シグナルがレッド・シグナルに変わる瞬間もトレースしていたらしい。
全身タイツスーツの女性達に囲まれて正座をさせられている時に青年はイエロー・シグナルからレッド・シグナルに変わったらしい。
だが俺は敢えて青年を泳がせた。
青年が冷静になればイエロー・シグナルに戻りキチンと四年間の青年の行いを反省して彼女達に謝罪をすれば俺は何も口出しをしないでいるつもりだった。
しかしレッド・シグナルの青年は武器倉庫を六ヶ所全部を周り宝物庫を十ヶ所全部を周り地下の召喚の儀式の間の中を隅々まで動き周り食糧倉庫を五ヶ所全てを周り暫く厨房で待機していた。
食事でもしていたのだろう。
厨房から動き始めた青年はレッド・シグナルのまま謁見の間に近付いてくる。
青年が何を準備するのかを俺は悪い方の予測もしていた。
青年が隠しているつもりのスキルの効果に俺達は気付いていた。
青年はそのスキルで俺達に勝てると思い込んでいたのだろう
青い髪の全身タイツスーツの女性から青年に食事の誘いの連絡のあとも謁見の間に来る事もなく青年の気配は城を駆け回り周到な準備をしていた様だ。
壊れた城の謁見の間に俺達は集まり食事を食べながら最後の人物が到着するのを待っていた。
俺達が食事を食べ終えた頃に待っていた最後の人物が謁見の間にようやく到着した。
「あっれー?皆さんもう集まって食事が終わっちゃってたんですねー僕はお腹が減っちゃって我慢出来なくて厨房に寄り道をして食べて来ちゃいましたー」
張り付いた様な笑顔で聞いてもいない事を青年はべらべらとよく喋る。
青年が謁見の間に到着してから謁見の間の空気が微かに揺れている。
「青年、遅かったな。俺達の食事は終わってしまったぞ。彼女の通信から約一時間もかけて一体何を準備して来たんだ?」
俺は青年が青い髪の全身タイツスーツの女性に食事に誘われて謁見の間に一時間も遅れて来た理由を聞く。
「イヤだなー別に何かの準備を訳が無いじゃあ無いですかー」
謁見の間の空気が揺れて城が震える。
「てめぇ、その嘘臭ぇ喋り方どうにかなんねぇのかよお。」
ユージは青年に向かって吐き出す言葉に棘を織り混ぜる。
「えっ?どういう意味ですか?僕にはよく解らないですね?」
青年はみっともない三文芝居を続けている。
「レメス、私達はアラヤさん達がお城を耕し終わったら一緒にこの国を出て行くから一人で頑張ってね。」
青い髪の全身タイツスーツが青年に別れを告げる。
「じゃあ僕も一緒に頑張って耕すよ!」
青年は彼女が何を言っているのかに気付いているのに素知らぬ振りをして惚けている。
「あのよ、てめぇ!俺達には表面だけの仲間面は通用しねぇんだよ。てめぇに固有スキルがあんのに俺達に固有スキルがねぇ訳がねぇだろうが!」
青年が俺に敵対心を持って俺達の前にいる事を理解出来る様に伝える。
「やだなー何の事ですか?僕にはよく解らないですね?」
全てが露見している事にようやく気が付いた青年が冷や汗を流し棒読みの台詞を頑張って喋りしらを切る。
「青年、俺の仲間はエネミー・サーチが出来る。青年が俺の陽炎の中で敵対心を持てば反応感知出来る。彼女達は諦めろ。恨むなら青年の几帳面を恨め。書き留めた日記を女性のベッドのマットレスの下に綺麗に並べて置いていたのは支配欲か?自己顕示欲か?青年のその仮面の下のナルシストぶりも全部ばれている。彼女達だけじゃ足りなかった様だな?えーと、この日記に書かれているのは、ほほう、ビゼルデル帝国の到来者の女性達もたっぷりと弄んでいたようだな。オヤオヤ、十代前半の魔法使いのショートヘアーのつるぺたの女の子が最近のお気に入りなのか。ほう、そうか、解放者で魔法剣士を引退している身長が高くて手足も長くて長い金髪で巨乳で腰が細くて大きなお尻で手も指も口も舌もモノ凄いテクニシャンでその上モノ凄く激しくていつまでも離れられ無くなるほどモノ凄く上手い腰使いでモノ凄く綺麗な顔のとても五十代に見えないおばさんがとてもモノ凄くお気に入りなのか。その女性と…なんと!三日間も寝ないでずっとだと!はぁーこれは凄いな。青年のストライクゾーンの広さには俺も驚いた。」
俺は日記の一部を掻い摘んで青年に読んで聞かせた。
「///なぁ、なぁ、ケイ、あいつ五十代のセクシーおばさんと三日間だってよ!///」
「///スゲェな!つるぺたもだってよ!色んな意味でスゲェな!ユージ!///」
「///ユリアちゃん、ユリアちゃん、つるぺたて何?///」
「///ユカちゃん、そう言うの聞いちゃダメ!///」
「ユリアさんご存知ですか?つるぺた?」
「///ミリーシアさんも!聞いちゃダメです!///」
「アメリアはユー君と幾つ離れているの?」
「えーと、ユー君が18歳だから…220歳位かしら?リアーナは?」
「私はユー君と180歳位かな?」
「ミリーシアはアラヤ様とは幾つ…あっ、確か2……痛い痛い!ミリーシア!耳を引っ張らないで!痛い痛い!とれちゃう!とれちゃう!」
「マリアーナが悪いんでしょ?今度また言ったら両方引っ張るわよ!」
「私は聞きません。」
「えーと…エルフって本当に長生きなんだね。」
「なんか…凄くズルい。エルフ。《胸を触る》」
「大丈夫だよ、大きくなるって。《胸を張る》」
「「「「「大丈夫!大きくなるよ!《胸を張る》」」」」」
「だ、騙され無いで!み、皆!そ、その日記はぼ、僕が書いた物じゃ無い!こ、国王が僕がう、裏切った時にお、お、脅す為にだ、だ、誰かにか、か、書かせていた物だよ!に、に、に、偽物だよ!も、もしほ、本物だとしてもほ、本人の前でよ、読むなー!く、空気を読めー!に、偽物だ!ぼ、僕のに、日記じゃあな、無い!」
バケツの水を頭から被った様に冷や汗を顔から流して唇を震わせて青年は頑張って嘘を付く。
「ふぅ、青年。お前は馬鹿だろう。この日記の文字は青年の世界の文字じゃないか。この国の誰が書けるんだ?」
俺は青年の馬鹿を指摘する。
「それは…そうだ!彼女が書いたんだ!国王に命令されて彼女が書いて自分のベッドの下に隠していたんだ!」
青年は緑色の髪の全身タイツスーツの女性を指さしをして言う。
「はぁ、こんな奴だったなんて知らなかったわ。レメス。私は書いてないわよ。」
緑色の髪の全身タイツスーツの女性はため息を漏らして言う。
「呪いにかかっていて覚えて無いだけだよ!僕じゃあ無い!そんな今日会ったばかりの奴が読んだ日記よりも僕の事を信じて!僕が皆を守って来たじゃないか!それは嘘じゃ無いだろう!」
青年は話しをすり替えようと足掻く。
「青年、この場を去れ。ビゼルデル帝国にでも鞍替えしろ。」
俺は最後の助け船を青年の前に押し出してやる。
「ふ、ふ、ふ、ふざけるな!僕の僕のハーレムの女達だ!お前みたいな爺に僕の女達を渡す訳が無いだろう!」
青年はとうとうボロを出した。
慌てて青年は口を両掌で塞ぐが遅すぎた。
「レメス!!私達がいつあんたのハーレムの女になったのよ!夢を見るのもいい加減にしてよね!!」
黄色髪の全身タイツスーツの女性が吐き捨てる。
城が震える。
女性達の胸が少し揺れ始める。
俺はユリアの胸をガン見する!
ユリアが少し嬉しそうに頬を紅く染めて俺に頬笑む。
俺もユリアににっこりと頬笑む。
(さすがユリアだな!良い揺れだ!)
「あたしはレメスの事を本気で好きだった。でも目が覚めた。」
ピンクの髪の全身タイツスーツの女子が冷静に言い放つ。
「ふざけてるのはレメスじゃない!!ハーレム?馬鹿じゃないの!あんたのハーレムなんか何処にも無いわよ!」
紫の髪の全身タイツスーツの女性が青年に現実を突き付ける。
城が更に震える
女性達の胸が揺れる!
俺は勿論ガン見をする!
ミリーシアが嬉しそうに両腕で寄せてくれる!
俺は勿論ミリーシアの胸をガン見をする!
ユリアが少し寂しそうな顔する!
またユリアの胸をガン見する!
ユリアが嬉しそうに頬笑む!
(なかなかの揺れだな!)
「レメス!!私達の四年間を返して!私があんたの罪を擦り付けられなきゃいけないのよ!あんたは馬面以下よ!」
緑色の髪の全身タイツスーツの女性が怒りを露にする。
城が軋み始める。
「何度も…何度も私はお腹にルーンを使って来たと思うのよ!あんたの性欲の為の捌け口じゃないの!」
赤い髪の全身タイツスーツの女性が涙を溢してお腹に両掌を当てて怒りを吐き出す。
城を突き上げる様に揺れる!
皆の胸も上下に揺れる!
俺は腕組みをして首を左右にゆっくりと振り揺れを楽しんでガン見する!
(オオー!正面から見たいモノだな!)
「馬鹿なナルシスト!私達の誰一人もあんたの女じゃあ無いわよ!種無し野郎!!」
緋色の髪の全身タイツスーツの女性が魔法力を言葉に込めて怒りを青年にぶつける。
城が激しく震える!
皆の胸も激しく震える!
俺は腕組みをして皆の胸をじっくりガン見する!
(フム、素晴らしい眺めだな!これこそ絶景ではないか!)
「レメス。私あんたと付き合ったのは間違いだった。さようならどこにでも行ってあんたも股間も腐れ落ちろ。溶けろ。消えて無くなれ。」
青い髪の全身タイツスーツの女性が青年にもう一度冷酷な別れを告げる。
城の揺れが止まる。
皆の胸の揺れも止まる。
(なんだと!)
謁見の間にそよ風が吹く。
「何を言っているんだよ。リデアには僕がいないと何も出来ないだろう?僕が守ってあげるよ。そんな爺の所にいないで僕の所においでよ!国王はいないんだ!そうだ!僕が国王になる!!皆王妃様だよ!僕が国王だ!」
青年が馬鹿な子供の様な事を言い右腕を前に突き出し叫ぶ。
(…俺は青年に説明をしたはずだがな…)
「爺!!これは宝物庫にあった最強の隷属のアクセサリーだ!僕のスキルでブーストした!召喚されし勇者アラヤ!お前の名前は隷属の腕輪に刻まれた!レイメルス・ガイルが命ずる!僕に従え!ハッハッハッハッ!爺!!お前は今からは僕の奴隷だ!」
青年の頭は中身の無い不思議な卵の様だ。
(もはや言葉が見つからないな。)
「だが断る!!」
俺は断固拒否する。
「そんな馬鹿な!!僕のスキルでブーストされているのに!あり得ない!!くそー!それなら直接殺してやるよ!」
青年がそう言い放つとストレージから剣を取り戻した。
うっすらと陽炎を纏っている。
青年がローブを脱ぎ捨てる。
うっすらと陽炎を纏う古い汚い右胸当ての着いた臭そうな何かの防具を着ている。
(…どこから掘り出して来たのだ!ここまで臭いそうだ!)
「あはははははは!この国の武器倉庫にあった最強の剣と鎧だ!僕のスキルで強化された最強の装備だ!オーラだけの見せ掛けの装備じゃあないぞ!リデア!そこから離れないと知らないぞ!死ね!爺!オーラ・スラッシュ!!」
説明のしようが無い程に一点突破した馬鹿になった青年はとうとう彼女達も巻き込む範囲攻撃を仕掛けてきた。
(はぁ、一度完璧に防がれた技を声高らかに使うとはやはり青年の頭の中身を母親の腹の中に忘れて来たようだな。)
「脇が甘ぇ!」
紅い紅蓮の疾風が謁見の間を駆け抜け青年が剣を振り下ろす前に弾き返す。
「そんな!僕の最強の技が!ナイフがオーラで伸びただけの剣に負けるかー!!オーラ・ラッシュ!」
青年は剣をめちゃくちゃに振り回す。
甲冑の陽炎を纏った戦国武将の様なユージの握るナイフが紅蓮の陽炎を纏い長刀となって青年の剣を華麗に捌き切る。
「うえりゃー!破砕斬!!」
青年の剣をユージが雄叫びを上げて横一線に斬り払う。
青年の剣の中程から刃が断ち折れる。
「そんな!ナイフに最強の剣が負ける訳が無いだろー!僕には剣はまだまだあるんだ!死ねガキー!オーラ・ストライク!!」
青年は右手に握った折れた剣をユージに投げ付け左手でストレージから新しい剣を取り出し突きかかる。
「てめえ、おっさんの最後の優しさを踏みにじってんじゃねぇよ!飛燕返し!!」
投げ付けられた折れた剣を躱しユージは青年の剣を下段から斬り上げ弾き返し飛燕返しで青年の首元に陽炎を纏ったナイフを突き付け寸止めをする。
「ヒィ!」
青年は情けない悲鳴を上げて左手の剣を落として腰を抜かし股を開いて座り込み股の間を濡らし床に汚い模様を描き出す。
「おっさんはな、お前も拐われてきた被害者だからって生かしてやるつってんだ!消えろやボケが!!」
ユージの右蹴りが青年の鳩尾に綺麗に入る。
(さすがユージ!更に容赦の無い追い討ちとは!見事だ!)
「ブべゲロッ!」
青年は胃袋の中身を口から吐き出す。
ユージは床に唾を吐き捨てて青年に背を向けて俺達のいる玉座前に戻ろうとする。
それを見た吐瀉物まみれの青年の右手が動く。
ストレージから剣を取り戻しユージに斬りかかる。
「ユージ!!まだだ!気を抜くなー!」
「ユージ!危ない!」
「ユー君!後ろ!!」
「ユー君!避けてー!」
俺とユカとアメリアとティアーナがユージに叫び危険を知らせる。
「死ねー!オーラ・ギガント・キリング・ザッパー!!」
『カウンター・ガードシステム!ミラージュ・ガード・ドームリモートオープン!』
青年の剣が届く一瞬前にユージをドームが包み込み全力で斬り付けた青年が弾き飛ばされる。
「ぐはっ!な、な、なんでテントが…」
大の字で謁見の間の破壊された扉の横の壁にめり込んだ青年が声を洩らす。
「フフフ、ミラージュ・ガード・ドームはただのテントではない!ビニールハウスだ!鉄壁の防御力を誇る最強のビニールハウスなのだよ!」
俺は立ち上り青年に説明をしたが青年は気を失っていた。
ユージがドームから出て来るとドームは収納される。
「おっさん!助かった!スゲェ特攻ドーム!」
無事だったユージがお礼を俺に言いドームを誉めている。
「特攻ドーム便利だろ?ニコっ!キリッ!」
生活用の個室ドームとは別に戦闘用の個室ドームに識別召喚紋様を描いてもらい個別に登録している。
俺達が突撃によく使うドームだ。
ユージ命名特攻ドーム。
俺が召喚しなくてもそれぞれの任意でも召喚出来る優れ物。
更に今回の様に自動防御壁として反撃展開が出来る。
これはドームの機能のほんの一部でしかない。
俺達は青年を稲藁で編んだ縄と稲藁で織られた蓙で簀巻にきつく縛り上げて青年がマッピングしてくれた食糧倉庫や宝物庫に使いきりのドームを建てて行き地下の召喚の儀式の間にやって来た。
カバリナス程の物はなく青年が持ち出した剣などが置かれていた台座や打ち捨てられた到来者達の躯が重ねて置いてあった。躯の一番上に槍が深く突き立てられていた。
「アラヤさんこいつは…ひでぇ…遊んだあとだな。」
「…ああ、積み上げて遊んだあとに槍をあの子に突き立てて苦しむのを楽しんでいたんだな下衆共め!我の元に顕現せよ!ユニバースベヒモス!」
俺は略式詠唱で喚び出したユニバース・ベヒモスのフロントの上に立ち上りゆっくりとユニバース・ベヒモスを積み重ねられている躯の側に進ませて停車して突き立てられている槍を引き抜く!忌まわしい槍をストレージに叩き込む!
死後五年間が経過してミイラ化した幼い子供の遺体は槍の柄を両手でしっかりと掴んでおり必死に引き抜こうと足掻いた後が見て取れた。
「もう…抜けたぞ…苦しかったな。痛かったな。…怖かったな。…おじさんが君達の魂を…今から神様達の元に送って上げるからな。魂だけでも…元の世界に還れると…良いな。」
まだ幼い子供の左脇腹に突き立てられていた。
こんなに幼い子供にこのような仕打ちをした者とさせた口髭男を楽に逝かせ過ぎたと更に怒りを覚える!
俺達は儀式の間の入り口まで戻り皆で鎮魂の祈りを捧げた。
『異なる理の世界から喚び出され咎なく無下に黄泉路へと突き落とされし無辜之民達よ。異なる理の世界の神々の御手の内で安らかな眠りにつく事を願い冥福を祈る。我ら豊穣の女神ノエル様の代弁者であり執行者として汝らを浄化の炎を用いて送り届けん。幼くして過酷な仕打ちを受け苦しみと恐怖の中で落としたその命の為に五柱の神々よ願い奉る。願わくば御霊のみでも元の世界に還らせたもう。彼らの御霊が安らかに眠れることを願い祈りを捧げ大八柱様方を奉りたまう。』
俺は皆に頷き冥福を祈りながら聖魔法を放つ。
「ゆっくりとおやすみ、坊やと到着者達。」
俺は堪えきれずに両目から涙を溢す。
『ヘブンズ・フレイム・レクイエム!』
暖かな優しい炎が折り重ねられた24人の躯を包み込んで煙もあげずにゆっくりと彼らを導く様に焼き尽くして行く。
「おじさん…どうして…どうしてあんな小さな子供が…」
ユカが泣き崩れる。
「あんまりだろ…なんであんなちっちぇガキンチョが死ななきゃ行けねぇんだよ!マジで腐ってんな!この世界はよ!ボウズ!もう痛くネェからな!ゆっくり眠るんだぞ!」
ケイが大粒の涙を流し怒りを吐き出し両掌を合わせて冥福を祈る。
「チビスケー!迷わねぇでちゃんと還んだぞー!皆も家族の所に還んだぞー!おっさん!あいつらちゃんと還らせくれるよな!ノエルー!ちゃんとちゃんと還らせくれよなー!」
ユージも涙を流しノエルに願いを託し両掌を合わせて祈りを捧げている。
「ノエルちゃんとアフィルちゃんとセフィルちゃんと二人の神様!!あの人達が安らかに眠れることをお願いします!もうあの人達が怖い事に巻き込まれない世界に生まれ変わらせてあげて下さい!」
ユリアは大粒の涙を流しノエルやアフィルやセフィルと二人の神様に24人の冥福の祈りを捧げる。
「「「「「我らを守りし森の神々精霊達よ、我らエルフの祈りを捧げる。大いなる母大樹マザーマナよ、彼らの魂を健やかな安らかな地へと導きたまへ!」」」」」
ミリーシアとアメリアとティアーナとリアーナとマリアーナは皆大粒の涙を流してエルフの鎮魂の祈りを捧げる。
全身タイツスーツの女性達も胸に両掌を当てて涙を流して祈りを捧げていた。
俺達は炎が全て燃え尽きるまで彼らを見送った。
ノエルや神様達からの慈悲深いメールが届き内容を読んだ俺達は皆で泣き崩れた。
儀式の間の炎が燃え尽き全ての躯の灰を俺達は風魔法で慎重に一ヶ所に集めて大きな蓙で丁寧に梱包して俺のストレージに大事に入れて運ぶ。儀式の間を探索して書簡や古い本や絵巻物をストレージに放り込んで行った。それらを集め終わると儀式の間の入り口から皆でスキルを打っ放し儀式の間を徹底的に破壊した。
螺旋階段を上がり謁見の間で簀巻にした青年の元に戻りロープを繋ぎそのまま引き摺り城を出る為に階段を降りながら皆でスキルを打ち放しながら内部を適当に破壊して城の入り口までたどり着いた。
「あれ?僕どうしてこんな事にされているんですか?」
気が付いて惚ける青年は全身タイツスーツの女性達全員から無言で蹴られ踏みつけられていた。
(フム、青年は天然のMなのだな。)
「お前は本当に馬鹿だな。俺達の世界では青年の今の台詞は火に油を注ぐって言うんだ。暫く黙るかまた馬鹿な事を喋って城に置き去りにされて畑の肥やしになるか選べ。」
青年はようやく自分の立場を理解したようで黙る。
俺とケイとユージで青年を引き摺り瓦礫になった城門まで戻る。
振り返りユージとケイとユリアとユカはスキルに魔法力を少し込めて城に向けて撃ち放つ。
「オオリャー!ぶっ飛べ!剛焰爆砕斬!!」
ユージが紅蓮の炎の陽炎を纏ったナイフを斬り下ろすと紅蓮の炎の斬撃が大地を焼き払いながら飛び城を斬り裂き爆砕して燃え始める。
「「「「オオー!ちゃんと漢字読めたね!!ユージ!!」」」」
「だから読み仮名が書いてんだっつうの!」
「「「「なるほど!」」」」
「なっ?わざとだろ?」
「「「「 そこは聞いちゃ駄目!」」」」
「行くぜー!レイジ・バーニング・ガイア・ブレイク!!」
ケイの渾身の右ストレートの拳圧が真っ赤に燃える深紅の炎が大地を焼き焦がしながら城を直撃して城は更に紅蓮の業火に包まれ燃え上がる。
「「「「オオー!ケイ技がパワーアップしたのか!」」」」
「おおよー!」
「悲しい思いの詰まったお城なんか全部壊れちゃえー!ビーナス・ハリケーン・シールド・バッシュ!!」
ユリアが左手に持つ陽炎で出来た大盾を全身の力を込めて突き出すと凄まじい衝撃波と暴風が城を直撃して粉々に粉砕して城を業火で燃え上がる瓦礫の山に変える。
「「「「ユリアもパワーアップしてるー!スゲェー!」」」」
「ユリアー!可愛いー!」
「ユリアー!なかなかやるな!キリッ」
「ユリアちゃん!!やるー!」
「///もーやだー!///」
「冥福を祈り焼き尽くした鎮魂の炎よ!消え去れ!ドラゴン・フォール・ダウン!!」
城の真上から大瀑布の様な大量の水が業火に包まれれた瓦礫の山に降り注ぐ!!瓦礫の山の炎は完全鎮火して庭園や街中を浸水していた大量の水は幻の様に消え失せる。
「「「ユカ更に強くなったなー!」」」
「ユカちゃんすごーい!」
「「「「「ユカちゃん凄いですよ!!」」」」」
「えへへ」
俺は両目を瞑り魔法力を高め練り上げる。
俺は両目を見開き冥福と鎮魂の祈りと魔法力を込めて言霊を紡ぐ。
俺の周りを強風が放射状の渦を描いて吹き荒れる。
俺は右腕を前に突き出し左手で右手首を掴み右掌を城に翳す。
『我が声に応え我が元にきたれり!我が箱庭より荒ぶり顕現せよ!機獣ジェネシス・ベヒモス』
大気を引き裂く閃光が走り大地の底から轟々と轟く轟音の動力音が唸り響く。
大地を焼き尽くして燃え上がる業火の様な深紅の巨体。
大地に喰らい付く漆黒の四輪の巨大な車輪。
獰猛な剛爪を鈍く輝かせ回転式の幾重に並んだ刃を備えた後部アタッチメント。
「「「「来たー!ジェネシス・ベヒモスー!!」」」」
「「「「「大地の守護者、ジェネシス・ベヒモス!!」」」」」
「「「「「「「「何!あれ凄い!!」」」」」」」」
「ヒィ!化け物マシン!」
俺は魔法力を込めて命ずる。
『機獣ジェネシス・ベヒモス!!かの城の大地深くまで切り裂き蹂躙し耕し尽くせ!!』
轟々と轟く轟音の動力音をあげて大地を揺るがし剛爪を突き立て回転式の幾重に並んだ刃が高速回転をして大地を掘削して切り裂き大量の土砂を巻き上げ朦々と土煙を上げてゆっくりと城内庭園を蹂躙して突き進む!
既に瓦礫の山になっている城を巨大な車輪で更に押し潰しながら蹂躙していく。
『ふっはっはっはっはっはっ!我ら豊穣の女神ノエル様の執行者に刃向かい行く手を阻んだ者の末路だ!ふっはっはっはっはっはっ!その目に焼き付けよ!その耳に刻み震えよ!その脳裏に描き覚えよ!ふっはっはっはっはっはっ!見よ!!城が砕かれ切り裂かれ蹂躙されてゆく!ふっはっはっはっはっはっ!これではまるで!まるで畑の様だ!ふっはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!』
俺の周りを強風が放射状の渦を巻いて吹き荒れる。
俺は右掌で両目を覆い反り返る様に声高らかに笑う。
「「「「完全耕せって言ったよね!!完璧に畑だよ!!」」」」
「「「「「完全に仰りました耕せと!アラヤ様畑でございます!」」」」」
「「「「「「「「耕してるから畑じゃん!」」」」」」」
「なんだ!あの化け物マシンは!なんなんだ!あの爺はー!」
判って無い一人以外から綺麗に突っ込まれた。
ピピッピピッピピッピピッ
ノエルからメールが届く。
俺はスマホをメール画面にして読む。
『守谷克哉さん♥️もう堪りません素敵です♥️貴方の素敵な声で夜も寝れなくなりそうです♥️素敵な召喚姿を拝見出来てとても嬉しく思います♥️また素敵な声と素敵な姿を拝見出来る事を期待しています!豊穣の女神貴方のノエルより♥️』
もうこれは良い筈だ!
俺は右拳を握り…
「「「「まだまだ早い!!」」」」
「「「「「アラヤ様!まだまだ早いです!!」」」」」
まだ腰の辺りで拳を握っただけなのに突っ込まれた。
「…せめてさぁ、拳をさぁ、」
「「「「やる事判っているから突っ込むでしょ!」」」」
「アラヤ様!それは二人だけでお部屋で♥️」
「「「「あっ!ミリーシアズルい!」」」」
「えっ!あの人がお嫁さん!凄く綺麗ー!」
「「「「「「「ええ!凄く若いお嫁さん!!」」」」」」」」
「爺の癖に若い嫁だとエロじ…うわっぐはっやめっグボッたすけっゲボハッブヘッごふっ!」
一人だけ身体中を沢山の足で突っ込まれているものがいた。
勇者が焚き火をしている!どうしますか?
いっしょにまきをくべる
いっしょにたきびにあたる
ばけつにみずをいれてくる
よそうをする
たきびにいもをいれる
いいにおいがしてくる
だれかがくる
すこしどきどきする
じょうおうさまがちかづいてくる
すごくどきどきする
じょうおうさまにいもをわたそうとおもう
いもをゆうしゃがたべている
すごくあたまにくる
ゆうしゃにどなる
じょうおうさまにむちでたたかれる
なんだかとてもきもちがいい
ゆうしゃをおこる
じょうおうさまにすわれといわれる
よつんばいになる
すわられる
なんだかとてもうれしい
ふりむく
ゆうしゃにすわられている
とてもあたまにくる
ゆうしゃにもんくをいう
はいひーるであたまをふまれる
すごくうれしい
せなかがおもくなる
すごくたのしくなる
ふりむく
だれかがすわっている
むひょうじょうになる
ようすをみる←