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やりたくない事は人任せ?

勇者が微睡んでいます!どうしますか?


いしをなげる


いしをたべる


いしをたべさせる


ゆうしゃにいしをなげられる


なく


ねかせる


こもりうたをうたう


みみもとでおおきなこえでこもりうたをうたう


ゆうしゃになげられる


あたまからじめんにささる


とほうにくれる


かんがえるのをやめる


かめんをかぶる


にんげんをやめる


きばがはえる


ゆうしゃにかみつく


ひざしになげられる


いしになる


へんなぽーずでかたまる


よそうをする


よそみをする


ゆうしゃにつまづく


ゆうしゃにたねをなげられる


あなにおちる


ようすをみようとねる


ようすをみる←



カバリナス王国王城カグレリス。

城の側壁に無数の大小の穴が穿たれ大小の亀裂が縦横に走る。

時折轟音が響き城が大きく揺れる。

城の命運が尽きようとしていた。





「さてと~それじゃ~頂きまーす!」


「「「「「「「「「「「頂きまーす!」」」」」」」」」」」


俺達は一暴れする前に空中庭園で腹拵えをした。

エルフ達は喜びながら涙を溢し旨そうに食事を楽しんでいた。

味のする食事をするのが三年ぶりなのだと。

俺達はファンタジー・ファーマー・ファクトリーで調味料や香辛料や食材などを手に入れられる事を有り難くノエルに感謝をしている。

エルフ達はこの三年の間いくら食事をしても満腹感を感じたとしてもすぐに襲って来る空腹感に悩まされていたらしい。

エルフ達は俺達の用意した料理を食べて凄く満足していた。



全員が満腹になり人心地ついて空中庭園の床に皆で寝そべり空をぼんやりと眺めていた。

(フム、右を見れば見事な双丘。左を見れば見事な双丘。至福の一時だな。)


俺の右には全裸だったエルフと左には伝説の鎧を纏っていたエルフそのとなりにユリアがケイと仲良く寝そべり耳元で囁き合っている。

ユージとユカも耳元で囁き合っている。

(これが若さか。眩しい物だな。ふっ。)


城に隠し部屋の様にあったかなりの数の宝物庫や城内庭園の地下に隠される様にあった食料貯蔵庫を使い捨て(ハズレガチャ☆LV1)のミラージュ・ガード・ドームを設置するのには手を焼いた。

これで終わりだと思うとまた次の食料貯蔵庫が見付かり少々手間取り腹拵えが遅れてしまった。

(よくもまぁあれだけの財宝や食料を蓄えていたものだ。国民から絞り取れるだけ絞り取っていたのだろうな。だからあの(ぶよぶよに太った男)あの姿(醜い姿)だったのだろう。呆れ返るとしか言いようがないな。)


平穏な一時(ひととき)の安息の時間が心地よい風と共に流れる。《お昼寝タイム》




食後休みを終えて俺は目を覚ます。

ジェネレータポンプ(心臓)スタンバイ(体調)オールグリーン!!(絶好調!!)では始めるとしようか!アラヤ出るぞ!!)






「ふぁ~、よし。それじゃ皆~一丁行きますかー!」


俺はこの城の終焉の号令をかける。


「「「「「「「「「「「オー!!」」」」」」」」」」」


ユージとユカとケイとユリアと七人のエルフ達が声を合わせて掛け声を上げる。


俺は空中庭園をゆっくりと歩き頬に風を感じて庭園の端の街を見下ろせるバルコニーまで行く。

俺がバルコニーに現れた事にざわざわとざわめき立つ王都の人々。



俺は大きく深呼吸をして目を瞑る。

更に深呼吸をして魔法力を身体中に巡らせる。


俺は目を見開き右腕を真っ直ぐ前に伸ばし左手で右手首を掴み右掌を正面の王都の壊れた外縁城壁門の先に翳す。

強風が俺の回りを放射状の円を描き吹き荒れる。

俺は今は亡き大地の神に祈る様に低音の遠雷の様な声に魔法力を込めて言霊(ことだま)(つむ)ぐ。


『我が声に応え我が元に来たれり我が箱庭(スマホ)から全機20機荒ぶり揃い出でよ!!機獣レギオン・ベヒモス(期間限定☆LV8)!!』


大地を引き裂く閃光が走り大気を切り裂く爆雷音が轟く。

轟々と大地震わす動力音。

業火の炎の様な深紅の巨体が二十機荒れた大地に揃い並ぶ。

獰猛な爪を太陽が照らす後部アタッチメント。

更に猛猛しい唸りを上げるレギオン・ベヒモス達。


王都から響動めきと悲鳴が上がる。

王都の人々が両掌を合わせて祈りの救済を求める声を上げる。

それを無視して俺は非情な先刻を機獣に命ずる。


『機獣レギオン・ベヒモスかの国の民住まう地、田畑、森林を除外した全ての大地を地中深くまで蹂躙し耕し尽くせ!!』


二十機の後部アタッチメントが揃い振り下ろされ轟音を上げて剛爪を大地に突き刺し食らい付く。

二十機の後部アタッチメントの回転式の刃が唸りを上げて大地を引き裂き大量の土砂を撒き上げ朦々と土煙を上げてレギオンベヒモス達が並列に並び大地を蹂躙しながら徐々に耕しながら力強く突き進む。



『ふははははははは!我々豊穣の女神ノエル様の執行者を阻みし反逆の者共よ!これが貴様らの末路だ!その目に映し覚えよ!!その耳に刻み覚えよ!その脳裏に描き覚えよ!この様を!!ふははははははは!大地が!大地が切り裂かれ(めく)れて行く!!ふははははははは!大地が!!この荒れ果てた大地がまるでっ!まるで畑の様だ!!ふははははははは!!』




強風が俺の回りを放射状の円を描き吹き荒れる中俺は仰け反る様に雷鳴の様な声で笑う。



「「「「「「「「「「「今確実に耕せって言ったよね!!どう見ても畑だよ!!」」」」」」」」」」」


ユージとユカとケイとユリアと七人のエルフ達に声を合わせて突っ込まれた。




ノエルに何時も通りに頼み事をメールで送ると快諾の返信があった。


「さて。じゃあ仕上げの城潰しと行こうかー!」


「「「「「「「「「「「オー!!」」」」」」」」」」」


俺達は城の入り口まで今までに無いくらい派手に城の中を破壊しながら歩き入り口を目指していた。


「おっさ~ん。なんかかてぇ(硬い)壁がまたあんぞ~。多分くそ王のいた部屋(謁見の間)の下の方の壁みてぇ~なトコだけどよぉ。また隠し部屋か?ちっとばかり強くやっていいか~?」


ユージの声を聞いてその壁を触って見ると確かに周りの壁とは違う異質な物を感じた。

ふとエルフ達を見るとエルフ達が震えていた。


「ここから来たんだな?」


俺はエルフ達に優しく語りかけるとエルフ達が頷く。


「ケイ、ユージ、俺と来てくれ。多分アレの部屋だ。派手にヤるぞ!ユカとユリアはエルフ達を任せる!キリッ」


「「おおよっ!!」」

「任せておじさん!」

「///ハイ!アラヤさん!気を付けて下さい!///」


俺とケイとユージでその壁沿いの広い廊下を進み地下に向かい長く続く螺旋階段を降りると扉があり扉の向こうには広い廊下があり広い廊下を進み異質な気配を感じる壁に沿って右に曲がると大きな扉を見つけた。

城の地上階になかった筈だ。

見付けられなかった筈だ。

ユージが大きな扉を蹴り飛ばし扉を粉砕して中に入る。

俺達は慎重に部屋の中に入り周りを見渡す。

かなり高い天井に双手に別れ溝の様な大穴が空きその下に瓦礫が山の様に重なり合っている。


大きな太い柱が等間隔に何本も建ち並び天井を支えている。

閲覧の間の真下の地下にそれはあった。

召喚儀式の間。

噎せかえる様な生臭い匂いが鼻を突く。

石材の床のほぼ全面に赤黒い沁みが(おびただ)しく広がっている。

かなり古い沁みの様だ。

それらを一目見れば解る。


この城がどれだけ多くの到来者の血を啜ってきたのかが。

俺達は召喚儀式の間を慎重に歩いて進み周りを見回す。

(城の地上層よりもかなり年代が古い様式の造りの部屋だ。それに床の材質が謁見の間よりも硬い。見定めなければなるまいな。)


玉座の壇上の前の正面通路を挟んで等間隔で左右に床に血溜りらしき黒い沁みが色濃く溜まりその沁みの上に六台の断頭台があり内二台が激しく損傷していた。

(なんだと!この断頭台の材質がかなり硬いぞ!壊せなくはないが。ムム!あの刃は到来者の首をはねて来たのか!やはり古い年代の武器などは気を付けねば!)


太い縄で引き上げられ固定されている赤黒い錆びを浮かせた重量のある大きな分厚い刃を鈍く光らせた断頭台が四台もある。

(何度も使用されていた様だな。ここは…この国の歴代の王共は許しがたいな!この城はこの部屋は残してはならない!徹底的に潰さねばなるまい!!)


大きな槍が立て掛けてある張り付け台が四台もある。

(フム、あまり使われた形跡はないな。これは恐怖心を引き出し脅しに使われた様だな。それに材質が脆い。)


床に何本もの鎖に付いた枷や壁にぶら下がる何本もの鎖に付いた枷もある。

両手で鎖を掴み引くと鎖は千切れる。

(この鎖は脅し用だな。演出用の小道具だな。簡単に引き千切れる。)


見える範囲の全ての柱の周囲も赤黒い沁みがつき変色して柱からも何本も鎖が上下から伸びて枷が付いている。

鎖を掴み両手で引っ張るが力だけでは引き千切れなかった。

魔法力を込めて思い切り引くとようやく引き千切れる。

(この鎖は!かなり硬いぞ!千切れるがかなり魔法力を込めねば千切れないとは!)


左右の瓦礫の奥に檻もある。


様々な彩りの布で編まれた様な縄のぶら下がる絞首台が一際大きな柱の前に二台もある。

(なんだと!この縄は到来者の衣服ではないか!!これをこの世界の人間に造れる筈がない!到来者に造らせたな!!)


左右の壁に等間隔で大きな斧や大剣や太い槍が何本も立て掛けてある。

(この武器類は飾り様だな。威圧感の演出と言ったところか。)


柱や床に無数の古い破壊の痕跡を刻んでいる。


玉座の様な壇上と周辺を囲む様な席には傷一つ無い。

(これは!完全に見世物としての観客席(アリーナ席)だな!人の命をなんだと思っているのだ!この世界の支配者を気取る者共め!!)


閲覧の間の床が頑丈な訳だ。

真下は召喚儀式の間の天井だった。

だがそこは召喚儀式の間ではなかった。




そこは処刑場だった。









ただの処刑場(見世物小屋)だった。









俺とケイとユージの怒りに火が着いた。


「っざけやがって!!くそったれがー!」


ケイが怒りの怒号を上げる。

王都の大気が大爆発を起こし爆風が吹き荒れ王都が激しく震える。


「どんだけの人を殺して来やがったんだ!くそ共がー!」


ユージも怒りの怒号を上げる。

王都に剛雷が落ちた様な爆音が響き王都周辺まで激しく大地が震える。


「玉座に…お前はー!!よくふんぞり返って座れていたなー!くそ王がー!」


俺の怒号が響き渡る。

王都周辺まで爆風が吹き荒れ更に激しく王都が震える。

俺はぶよぶよに太った男が落ちた場所に込められる魔法力を込めた向日葵の種を両掌に握れるだけ握り両手の親指の爪で弾き飛ばし撃ち出す。

激しく爆裂をして召喚儀式の間を吹き飛ばす。


「ぶっ飛べ!!業火斬炎撃!!」


ユージの斬撃が縦横十文字の炎を纏い飛んで行き召喚儀式の間全体を焼き斬る!!


「くそがー!突き抜けろやー!レイジフレイムストーム!!」


ケイの渾身の左右のアッパーを交互に連打で撃ち上げると召喚儀式の間を焼き尽くす様な炎の竜巻が天井を突き破る!!


「人の命を弄ぶのは大概にしろ!!お前らは肉片も残さずこの世から消えろ!!俺の種達!!この部屋を吹き飛ばせ!」


俺の両掌から投げ放たれる魔法力を限界まで込めらた向日葵の種達が天井、壁、床に凄まじい爆裂を巻き起こし破壊していく!!


儀式の間を支えていた柱は全て崩れ落ちて天井に大穴が空き瓦礫は粉々になり炎の砂の様に堆積していた。




「ケイ、ユージこの城は前の城よりも徹底的に粉砕するぞ!!」


「「おおよっ!!」」


俺とケイとユージは召喚儀式の間を出ると更にケイが振り返り渾身の右ストレートをユージが振り返り袈裟斬りを俺も振り返り右腕を大きく振りかぶり魔法力を限界まで込めた右掌の向日葵の種を召喚儀式の間にバラ撒く様に投げ付けた。

召喚儀式の間は激しく音を立てて崩れ落ちて城の屋上の空中庭園も崩れ落ちて瓦礫となった。



俺とケイとユージは来た道をたどり城の入り口に戻るとユカとユリアと七人のエルフ達が俺達を待っていてくれた。


「おじさん…聞いたよ…凄い…ひどい…部屋だったん…でしょ?…」


ユカが大粒の涙を両目から流しながら俺に訪ねる。


「ああ。あの部屋は召喚儀式の間じゃあ無い。処刑の間だ。ただ到来者達を弄び殺す為だけの処刑場だ。」


俺は声を圧し殺して語る。


「…あり得ない…人を…拐っておいて…殺して…許せない!」


ユリアが涙を流しながら激しく怒りを燃やす。

大気を引き裂く高音の炸裂音が王都周辺に響き渡り王都が突き上げられる様に震える。





俺達は城を出て城内庭園へ歩いて城門へ向かう。

アファルセルの王都の様に街の広場に人の気配がない。


「なんか変だな。エネミー・サーチ・フル・オープン!!…いねぇアラヤさん。街中に誰もいねぇ。」


ケイが索敵スキルを使い様子を伝えてくれた。


「ああ。いないな。誰も。」


俺もファクトリーの害獣探索で王都を探索して気配の無い事を確認して呆れた。


「おじさん…この街の人…なんなの?」


ユカはもぬけの殻となった王都を見回して呆れている。


「ユカ。ようやく気付いたんだ。自分達が大勢の死体の上に生きていた事にな。それで逃げ出したんだ。戦争を糧に自分達が人を間接的に殺していた事に気付いて現実から逃げ出したんだ。」


この街の人々の心の中にあったモノをユカに語る。


「なんなんですか…国がそんな事をしている事に気付かないなんてあり得ない…そんなのズルいじゃ無い!」


ユリアは涙ながらに声を絞り出すように話す。


「ああ。まさに見て見ぬふりそれだ。到来者の怒りを間近で浴びて到来者達の真実を突き付けられてようやく気付いたんだ。自分達が自分達の国がどれだけ浅ましいかを。だから俺達が城から出て来る前に逃げ出したんだ。自分達が殺されるかも知れないと思ってな。」


「デッド・オア・アライブ・サーチ・フル・オープン!!街に死人は~あぁ、ありゃぁー墓場か。大丈夫だ。と、城はまぁいいか。アラヤさん地震とか建物の下敷きになった死人はいねぇみてぇだ。」


ケイが死傷者探索スキルの結果を伝えてくれた。


「ここまで…貴殿方は本当に凄いのですね。」


全裸だったエルフが街の様子を見て胸の前で両掌を握り感想を言うと六人のエルフ達も大きく頷き話しあっている。

(やはりなんという質量のプレッシャーだ!見事だ。流石はエルフだ。)


「ンー俺達が特別と言う訳じゃあ無いかな。本来の到来者であればこのくらいは皆出来るんだ。それが隷属という枷で封じ込められているだけだからな。到来者にとって隷属さえされなければこの世界は砂で作った遊び場の様な物でしか無い。強度も何もかもな。君達も時期に元の力を魔法力を取り戻せる。旨い物をしっかり沢山食べていればな。」


俺はグーを突き出し親指を上に立ててエルフ達ににこやかな笑顔を贈る。


「んじゃあ~おっさん。とっととぶっ壊して風呂にでも入ろーぜー。こんな街~反吐が出そーだ。」


ユージが仕上げに掛かろうとこの街を早く出ようとうんざりしながら言う。


「だな。じゃあ城門まで行くか。」


「「「「さんせーい!」」」」

「「「「「「「はい!」」」」」」」


俺達は歩いて城門までたどり着く。

振り返り城を見ると既に半壊状態であちらこちらが崩落していた。


「んじゃー!オオリャー!ぶっ飛べ!!剛炎爆砕撃!!」


ユージのナイフが陽炎を纏い長大な日本刀となり袈裟斬りに切り下ろした斬撃が焔を纏い大地を焼き焦がし城を切断して切り口が爆砕して城が燃え始める!


「「「オオー!ユージ漢字読めたんだ!」」」

「だから読み仮名がスキルに書いてんだっうの!」


ユージがスキルを読み上げた事を誉める。

エルフ達は両掌を口に当てて驚いている。


「ウラァー!砕けろやー!レイジ・ガイア・ブレイク!!」


ケイの真っ赤に燃える様な陽炎を纏った渾身の右ストレートの拳圧が焔となって大地を焼き焦がし城を更に破壊して激しく炎上し城を業火で包み込む!


「「「「「「「「「「「オオー!」」」」」」」」」」」

「そんだけか!」


ケイのスキルに感嘆の声を皆で上げるがケイは不満そうに突っ込んできた。



「こんなお城壊れちゃえー!ビーナス・シールド・バッシュ!!」


ユリアの左手の大盾の形をした陽炎をユリアが全身の力を込めて前に突き出すと大盾から凄まじい暴風と衝撃波が城を襲い原形が無くなるまで破壊して業火に包まれた燃える瓦礫の山に変える!


「「「「ユリアすげぇ~格好いい~!!」」」

「ユリアちゃん可愛~い!」

「///やだもー!///」


俺とユージとケイがユリアを格好いいと言ってユカが可愛いと誉めとユリアは頬を染めてテレる。

エルフ達は目を見開き両掌を口に当てて驚いている。


「焔を消しされ!ドラゴン・フォール・ダウン!!」


ユカの右手に握られた杖の陽炎が輝き城の真上から大瀑布の様な大量の水が降り注ぎ業火に包まれた瓦礫の山の城の焔を消し去っていき城内庭園全体が浸水して街に大量の水が流れ出る!

焔が完全に鎮火すると大量の水は幻の様に消える。


「「「「前より凄いぞ!!ユカ~♪」」」」

「えへへ」


俺とユージとユリアとケイがユカを誉めるとユカは可愛くテレる。

エルフ達は目を見開き両掌を口に当てて固まっている。



俺は目を瞑り大きく深呼吸をする。

全身に魔法力を巡らせる。

堪えきれない怒りを魔法力に上乗せする。


俺は目を見開き右腕を前に真っ直ぐに伸ばし左手で右手首を掴み右掌を城に向けて(かざ)す。

強風が俺の周りを放射状の円を描き吹き荒れる。

言い切れない怒りと哀しみを魔法力に織り交ぜ言霊を(つむ)ぐ。


『我が怒りの声に応え我が哀しみの元に来たれり我が箱庭(スマホ)から雄々しく荒ぶり出でよ!!機獣ジェネシス・ベヒモス(期間限定☆LV10)!!』


凄まじい閃光と共に大気が轟音を上げて揺れる。


轟々と大地のそこから轟く様な大気を震わせる動力音。


大噴火を起こし吹き零れる火山のマグマの様に紅く燃え立つ深紅の巨体。


後部アタッチメントが轟音を立てて振り下ろされ大地に剛爪が喰らい付き回転式の刃が大地を切り裂き大量の土砂を巻き上げ掻き回す。

剛雷の様な動力音を上げて大地と大気を震わせる。



俺は命ずる。

怒りと哀しみと魔法力を乗せて。


『機獣ジェネシス・ベヒモスかの城をこの世に存在亡き物とする迄蹂躙し耕し尽くせ!!』


「「「「来たー!ジェネシス・ベヒモスー!耕せー!」」」」


ユージとケイとユカでユリアがジェネシス・ベヒモスの登場に喜んでいる。

七人のエルフ達は皆で目を見開き両掌で口を押さえて声も出せずに驚いている。


剛雷の様な凄まじい動力音を上げて徐々に城内庭園を蹂躙しながら城に接近していく。

城内庭園もろとも城は破砕され切り裂かれ大量の土砂を巻き上げ

地中深くまで掘り返され蹂躙されていく。

ジェネシス・ベヒモスの車重がのし掛かり更に瓦礫は破壊されていく。

大気を揺らす動力音と大地を震わせ進む巨大な車輪。


城は徐々に徐々に姿を変えて行く。



畑に。




世界中の空から遠雷の様な通る低音の声が響き渡る。



『その脳裏に刻め!この様をその身に覚えよ!国々の支配者を気取り拐かして来た到来者達の未来ある人生を!その尊き生命を弄んで来た外道共!!この蹂躙され耕される城の様を明日はその身に振りかかると思い知れ!豊穣の女神ノエル様の代弁者であり執行者の我々が命ずる!即刻到来者達を隷属の呪縛より解き放て!我々の前に立ちはだかる者は断じて許しはしない!いずれ訪れるであろう滅びを受け入れ行動せぬ者に明日の繁栄はない!ただ今持ち得る権力や富にすがる者に明日はない!繁栄を求める者はその手に鍬を取り大地を耕せ!実りある豊かな畑をその手に!!』


『グローリーノエル!!』


『『『『『『『『『『『グローリーノエル!!』』』』』』』』』』


『グローリーノエル!!』


『『『『『『『『『『『グローリーノエル!!』』』』』』』』』』』


『グローリーノエル』


『『『『『『『『『『『グローリーノエル!!』』』』』』』』』』』


『グローリーノエル!!』


『『『『『『『『『『『グローリーノエル!!』』』』』』』』』』』


俺とユージとケイとユカとユリアと七人のエルフ達は右拳を振り上げ唱和を続けた。






城を破壊して一時間程経過した頃にジェネシス・ベヒモスの作業終了までの退屈しのぎに王都周辺を歩いて適当な場所に俺は片膝を立てて座りユニバース・ベヒモス達とレギオン・ベヒモス達の耕した畑の土を土壌検査スキルで見ていた。

(フム、これだけ深く耕してもやはり不良状態か。草もほぼ生えてはいなかったがここまでとは…耕すだけでは駄目だな。よし、リンメル草原の手入れを終わらせてから考えるとするか。)


と土を握り色々と俺は考えていた。


ふと気が付くと何時の間にか小さな女の子が俺の側に来てちょこんと座って俺の手元を見ていた。


「おじさんなんでつちであそんでるの?ここあぶないんだよ?」


女の子は俺が土を握り締めていた事を不思議そうに見て聞いて来た。


「んーとだな。土がちゃんと畑に出来るかどうかを見てたんだ。」


「はたけ?」


「畑を知らないのか?」


「ううん、しらな~い」


無理もない。王都周辺には草すら生えてないのだから。

ぽつんぽつんと大きな木が生えているだけだ。


「そっか。知らないか。そうだな食べられる野菜や果物をいっぱい育てる、あーいっぱい増やして大きくする所だな。」


「プニグレープとかいっぱいできるところ?」


「プニグレープ?」


「うん!まるいくてかたいかわのなかにいっぱいあまいおいしいのプニグレープ!」


女の子が嬉しそうに説明してくれる。

俺は多分葡萄っぽい果物の事だと思った。

まぁまぁの甘味はあったがそんなに強く甘く感じなかったがこの世界の人々にはあの甘味で十分な様だ。


「プニグレープってこれか?」


俺はストレージの葡萄っぽい果物の中で一番綺麗に粒の揃った大きな房を一つ取り出し女の子に渡す。


「わぁ!プニグレープ!これ、プニグレープ!おじさんいいの?もらっていいの?」


「ああ、いいぞあげる。」


「ありがと~!おじさーん!プニグレープ~♪」


女の子は小さな手で一粒ちぎり葡萄っぽい果物の皮を懸命に剥いている。

俺達には弾ける食感の薄い皮なのだがこの世界の人々には固い皮の様だ。


「貸してみろ。」


「うん!」


俺は葡萄っぽい果物の皮を剥き女の子に渡す。


「こりこりしておいし~い♪おじさんもういっこむいて~♪」


女の子は笑顔で美味しそうに食べている。

俺達には軟らかい果実なのだかこの世界を人々にはこりこりとした固い果実の様だ。


「いいぞ。…ほら。」


もう一粒葡萄っぽい果物の皮を剥き女の子に渡す。


「モグモグ。おいし~い♪おじさんぜんぶもらっていいの?」


女の子が葡萄っぽい果物を小さな両手に大事そうに抱えて少し不安げに聞いて来る。


「ああいいぞ。それなら、あーまだ持てるか?もう一つ持って行け。あの人はお母さんじゃないのか?」


不安げに俺と女の子を離れて見ていた女性を指さしをして女の子に言う。

俺は葡萄っぽい果物ストレージから出して小さな女の子にもう一房渡す。


「あっ、おかあさんだー!わぁ~!ありがと~!おじさん!おか~さ~ん♪プニグレープ~♪おじさんありがと~♪」


女の子は俺にお礼を言うと駆け足で母親の側に行き葡萄っぽい果物を小さな両手に二房を抱えて嬉しそうに見せていた。

母親は二度俺に頭を下げていた。

俺は右手を軽く上げて返す。

女の子は葡萄っぽい果物を母親と分けて持ち仲良く手を繋いで話しながら嬉しそうに笑顔で二人は歩いて行った。




ノエルに頼み事をメールで送ると快諾の返信があった。


カバリナス王国の空に遠雷の様な通る低音の声が響き渡る。


『カバリナス王国の王城カグレリスは本日、豊穣の女神ノエル様の代弁者であり執行者である我々の権限に基づき破壊し畑と生まれ変わった。以後カバリナス王国は豊穣の女神ノエル様と水の女神アフィル様の監視下となる。


かの国の大地を我の(しもべ)達が耕している。その畑は誰の物でもなく作物を植え育てた者の畑となる。


豊穣の女神ノエル様と水の女神アフィル様は寛大なお心を示された。だがかの国の繁栄の為には民達自ら厄災に立ち向かうべしと申された。勇者と呼ばれる到来者達に頼る事なく民達自らの力と知恵で乗り越えよと。さすれば作物の豊作をと示して下された。


我々執行者の権限により王族らや貴族らに搾取され隠蔽されていた十二の部屋に膨大に蓄財されていた金品や財宝が納められる宝物庫と城内庭園の地下に秘匿されていた二十の巨大な食料貯蔵庫を我々が発見し守護し城の跡地に埋めてある。民達は後に掘り起こしそれらを用いて国を支え繁栄へと導くがよい。


囚われし到来者達に告げる。隷属の呪縛の(たが)は緩んだ。到来者である諸君らをこの世界にかの国に拐かした者共は我の手により処断し滅した。以後かの国において到来者達の隷属呪縛を行い使役する事は我々執行者に対する反逆を意味する者と知れ。


囚われし到来者諸君に告げる。呪縛より解き放たれし時にかの国の無辜なる民達への心無い力を奮うべからず。あまりあるその力をこの滅び行く世界の救済を行う為に奮うがよい。


隷属者の通称ではなく真の勇者と呼ばれる振る舞いを行う事を祈り豊穣の女神ノエル様の代弁者であり執行者である我々は到来者である諸君らに真の勇者足る振る舞いを行う事を切に願う。豊かな実りある畑を育てよ。』




端的に言えば(ぶっちゃけて言えば)いずれこの世界に現れる耳障りの良い無責任な格好良い事を言う正義の味方(面倒臭い事)を到来者達に押し付けた。

俺達の目的の為に。


勇者が葡萄を持っている!どうしますか?


ねだる


ほしがる


よだれをたらす


ゆびをくわえる


どげざをする


だだをこねる


おどかす


うばいとる


ゆうしゃになげられる


あたまからじめんにささる


いしになる


へんなぽーずでかたまる


かめんをかぶる


にんげんをやめる


かべをすりぬけようとしてかべにはまる


まちのひとをおそう


ゆうしゃにたおされる


つちにかえる


つちのなかでそだつ


つちのなかでふえる


いやがらせにたいりょうにはえる


ゆうしゃにかりとられる


やかれる


なく


あんまりだーとさけんでなく


よそうをする


よそみをする


ゆうしゃにぶつかる


ぶとうをひとつぶもらえる


まるのみする


しりからぶとうをだす


はたけにうめる


ようすをみる←

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