表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/4

天使のような微笑み

「新入生代表の挨拶.........新入生代表、桜坂姫花」

「暖かくなり、植物たちが生き生きとしだすの春。私はーーー」


体育館の前。彼女...先程、自転車の後ろに乗せた彼女が前に立っており、新入生代表の挨拶をしている。


「マジかよ…」


流石にそれは驚きを隠せないわ...。彼女が転んで無かったら容赦無く見捨てるつもりだったんだが、見捨てるとどうなってたんだろうな...


そんな事を考えながら、彼女の声を聞いているといつの間にか終盤になっていた…


「異能力と言う特殊なモノが現れ、社会が崩れゆく中、私達は規律を守り立派な大人になれるように精進していきたいと思います。先生、並びに来賓の方々。私達に暖かく時には厳しくご指導していただきますよう、よろしくお願いします」


彼女の挨拶が終わり、体育館に拍手が鳴り響く。


そして、入学式は...着々と進んでい......あれ? 在校生代表の歓迎の言葉、聞いてないぞ!? てか、もう居ないし...


考え事をしていたのは長い校長の話の時だが、在校生代表の時にはちゃんと見ていたはずだ...。


おかしいな...記憶でも操作されたか?


.....普通に、有り得るな...。


この異能力がばら撒かれたこの世界ならば...


担任の先生の紹介と校歌を考え事をしながら、ボーッとして過ごしていると、閉会の言葉が終わる。


「これで第32回、入学式を閉会いたします…」


やっと終わったか…長かったぞ...


皆が教室に担任によって先導されていく。担任はどうやら、20代らへんの茶髪の女性。


つり目で、ちょっと厳しそうだな...


そんな事を思いつつ、自分のクラスの教室に行った。


紫音のクラスは2組で30人ほどのクラス。で席は真ん中の方だった。


黒板に貼ってある座席表で自分の席の近くの人の名前を確認しようとする。そしてそこにはある言葉が書かれていた…


「えっと、前は坂井で...後ろが...っは!?」


桜坂......っと。


「...マジか!?」


そして、紫音は理解した…。後ろの席の人が遅刻しそうだった、さっきの新入生代表の桜坂姫花という事を...!


そして、紫音は黒板に貼られた座席表を二度見する。


「...ふぁ!?」


そして、またしてもある事実を知る。


「増殖...してる?」


なんと彼女の席の後ろを見るともう1つ、桜坂と言う文字が有るでは有りませんか...


「あれ...よく見たら...」


後ろの席の名前は桜坂姫乃...となっている。


「双子?」


「はい。そうなんですよ」


疑問に思った事を声に出すと真横からその疑問の返事が返ってきた。


「おわっ!?」


「えへへ...驚いちゃいましたか?」


「...ああ。」


桜坂姫花さんは真横にいつの間にか立っていたのだった…。


「えっと...貴方は...」


「ああ。そっちだけ名前知らないのは不公平だよな…俺は、坂本紫音だ。」


「えっ!...私の前の席じゃないですかっ! ふふふっ...」


彼女は、紫音が前の席だと知って、自然と笑みが溢れる。


まあ、知らない顔だらけの集団の中で知っている人間が居るだけで安心が生まれるからだろう…てかなにこれ、天使? 天使の微笑みっすか?


「お前ら〜席に座れ〜」


先生が話をする為、生徒を座らせるように声を掛ける。


「座りましょう!! 紫音さん!」


「ああ。」


桜坂さんと共に席に向かおうとする..?


あれ? 下の名前で読んでね? それが...普通...だよな…


紫音は席に座り、桜坂さんに話し掛ける。


「桜坂さん...思い出したんだけど、双子なんだよね?桜坂さんは 姉と妹どっちなんだ?」


「そうですね。妹です。あと、私は下の名前で呼んでください。双子だと分かりにくいですから...あ、呼び捨てても構いませんよ?」


「ああ、分かった。姫花」


よし、名前呼びゲット!! そうじゃなかった…妹か。

...姉よりすぐれた妹なぞ存在しねぇ!!っ的な? まあ、存在しちゃったけどな。


「じゃあ、とりあえず自己紹介だな...」


前の教卓の前で担任の先生が喋り出す。そんな中、気の抜けた笑い声がギリギリ聞き取れるか分からないぐらいの小ささで後ろから聞こえる。


「えへへっ...」


それで後ろを向いてみると両手で頬杖をしてニコニコしながら、幸せそうな声を漏らす姫花がいた…。


なんかいい事、あったのかな...? まあ気にしないでいいや、っと顔を前に戻す。


「私の名前は佐藤晶子。異能力は...刃物生成だ。ランクはAだ。」


担任の先生は黒板に自分の名前を書き、チョークを持った右手を横に伸ばし、チョークを上に投げる。


そして、投げた瞬間に異能力を発動し、刀を生成。


その刀には鞘が付いており、すぐさま左手で鞘を持ち居合切りをし、チョークをぶった斬った。


そして静かな教室に2つほどモノが落ちる音が広がる。


それを見た生徒達は思わず、息を呑む。


「一応、剣道5段は持っている。以上。これから5分待つから自己紹介の内容を考えてくれ...」


担任の佐藤先生は、簡素に挨拶を済ませる。

そして、持っている刀を鞘になおし、刀を先っぽが下になるように両手で持ち、杖のように扱って仁王立ちをする。


自己紹介ね...さっきの通り、名前と異能力だけでいいか。


異能力は瞬間加工ランクB、死亡回避ランクA、幸運ランクD、豪運ランクAだな…。瞬間加工は普通ぐらい。死亡回避はヤバい。幸運は低すぎ。豪運はヤバい...。


やっぱりここは自分は普通に持っていたランクBの瞬間加工にするか...


てか、まともに異能力使った事ないじゃん...。自己紹介の時、使ってみるか...


「はい。時間になったぞ。えっと...相澤。お前から言っていけ」


「は、はい。相澤翔です。僕の異能は第3の手、です...。ランクはCです。」


佐藤先生の指示で番号順に自己紹介をしていく。


皆は自己紹介と能力を使って見せたりする。それに先生はメモをとっているのが見えた。


一列目の席が後ろの方になってきたので後ろ側を向くと姫花がまだ顔がニコニコしている。


しばらくしても、まだニコニコしているので心配になってきた。


「大丈夫か?」


「大丈夫ですよ〜!紫音さ〜ん〜」


あ、これはもうダメだ...。おいおい…さっきの新入生代表の時の真面目さは何処に行った…


「次は...坂本の番だぞ?」


佐藤先生は座席表を見ながら、坂本を指す。


どうやら、いつの間にか回ってきたようだ。


「ええっと…坂本紫音。異能力は瞬間加工で、Bランク。例えば、この...鉛筆を...」


とりあえず、自己紹介と瞬間加工を使うために適当に身近にあった鉛筆をとる。


確か、鉛筆の芯を鎖状にしてるのをテレビで見た気がするのでそれをパクる。


鉛筆を軽く持ち、念じる。瞬間加工っ!


すると、鉛筆から細かい木屑と黒い鉛筆の芯の粉が落ちる。中に粉が入っている為、息で軽く吹き、粉を飛ばして、周りに見せる。


そして、拍手が送られる。


次は姫花の番だ...が?


「えへへ...えへへ...」


まだ、ニッコリ微笑んでいる...。


「桜坂ぁー桜坂妹ぉー」


先に会っていたのか、新入生代表だからなのか、座席表を見ず呼ぶ。


「は、はい!?」


姫花はいきなり呼ばれた事に驚き、慌てて返事をする。


「自己紹介、自己紹介...」


「えっ?...あ、うん!」


紫音のアシストで理解したのか自己紹介を始める。


「桜坂姫花です。好きなモノは...あ、有りません!」


後ろ向いて、姫花の自己紹介を見ていると変に目が合ったが気にしないでおく。


挙動不審な姫花を見て、これからクラスメイトになる皆にクスクスッと笑われる。


「桜坂...異能力だ異能力。」


「え?...はい!? 異能力は治癒でAランクです。」


だがそれも一変...佐藤先生が聞いた異能力のランクで、笑い声が無くなる。


今までAランクは出ず、B以下、B、C、D、E、Fしか出ていないのだ。そして目の前にいる佐藤先生と同ランク。それによって、笑う者は急にいなくなったのだ。


これが異能力格差という奴か...


姫花の番が終わり、後ろを見るが双子である桜坂姫乃がおらず、空席だ。


「姉はどうしたんだ?」


「高熱を出してしまって、おやすみしてるんです」


後ろの席の姉について教えてもらう。


「なるほど...そして姉の異能力、分かるか?」


「えっと、必中、ランクAだったと思います」


あ、ヤバい。チートだな...この異能力格差、なんなんだろう...。遺伝子かな?


そう思う、紫音であった...。





















評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ