高校での入学式に行く話。
神界から戻って、来たら既に夕方...翌日には高校の入学式が迫っていた。
「はぁ...本当に三日経ってるし...そういや、異能力がみんな使い出したけど、変化無いかな...? とりあえず、ここはニュースで...」
テーブルに置いてあるテレビのリモコンを手に取り、押す。
『今現在...2日前に占領された北海道は黒い竜によって、占領されたままです。また、犯人は分かっておらず、捜査が難航されたままです...』
「ファ!? もう日本に危機が起こっているやん...」
北海道占領...か。なかなか広くて占領しにくくそうだけど、どうやってやったんだ...?
『黒い竜は全長1.5m程、高さは1m程の竜で、億に達する程の数が上空に浮かんでいる事が確認出来ました』
「億っ!?.....数によるゴリ押しか…それはキツい」
まだ、異能力を使いこなせない今、数を相手にするのは相当キツいだろう...。
考え事をしていると話は別の話題になる。
『そして各地で暴走が起こる中、異能力格差が問題しされています』
「......やっぱりか」
思っていた通りのことが起こった。
火種を出す程度の異能力と炎を自由自在に使える異能力。どちらが強いか...勿論、言うまでの無い。
そして弱い側の異能力者達は反発するだろう…。
『これに、政府は銃砲刀剣類所持等取締法を無くすか、議会に上がっており、審議の事です』
「ほう...弱い者に対処する為の武器を持たせるか…」
強いものに対抗するならば弱い者達に武器を持たせる必要がある...
まあ、銃は設計図があれば3Dプリンターで作れるし、すぐに全員に行き渡るだろう。
「...この混沌とした世界を纏め上げる人材が必要なんだけど…こんな状況で、入学式あるのか?」
そんな事を思っているとまたしても、別の話題に切り替わる。
『そんな、緊迫した状態の中、異能力を使った新たな動きがありました。こちらは異能力を使い、農業革命に成功した吉岡さんです。』
『はい...そうですねぇー...私のスーパーパワー、植物成長促進でぇー...』
「あ...割と、平和ボケしてて入学式ありそう」
あまりの平和に、ありそうな雰囲気を感じられる。
「さて…そろそろ夕飯時だな...」
キッチンへ向かい、冷蔵庫を確認する。
そして、そこには消費期限が切れた食品達が...
「おおぅ、やってしまわれた...今日はカップ麺にするか...」
冷蔵庫に入っている食品が終わっていたので、横の袋に入っているカップ麺を取り出し、お湯を入れて作る事にする。
「はぁ...てか、今まで父さんから送られるお金で生活して来たけど、お金もう送られてこないよな...」
世界にとっては些細な事だが、本人にとって死活問題
な事を考えながら時間が経っていくのであった...
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翌日の朝。
いよいよ、入学式だ。
制服もバッチリ着たし、寝癖も無い。
「うおっと!? ヤバい...そろそろ出発しないと遅れるぞ...!?」
慌てて、家を飛び出す。
チャリ通学なので、自転車で学校に向かうとする。
家から学校までは30分ほどの距離で、近いからという理由で選んだ。
20分程、漕いだ事だろうか…
目の前におそらく、自分が通う高校の生徒だろう...自分の制服と同じデザインの制服を着た女子生徒が歩いていた。
「...遅れるぞ? あのペースじゃ...まあ、他人だし放って通過するか...」
そう思っていたら、目の前でコケた。
「はぁ...大丈夫か、あれ...。しょうがない助けるか」
紫音はコケた女子生徒に自転車で近付き、横で止まる。
「大丈夫か?」
「は、はい。大丈夫です! 」
綺麗な黒髪で童顔、おおぅ…なかなかの美人だ......これで性格さえ良ければ、完璧なんだろうけど、そんなに甘くないよな
「血が出てるぞ?」
「えっ?」
女子生徒が膝を怪我しており、履いているストッキングが破け、そこから血が出ている。
「ええっと...大丈夫です!!」
「はい?」
女子生徒は大丈夫だと口にし、膝を上にあげ、怪我をしたところに手を当てる。
するとそこから緑の光が漏れる。
「はいっ!治りました。コレが私の異能力の治癒です!」
「おおっ!」
手を叩きながら、驚嘆する。だけどあれじゃね? 破けたところは戻らないんじゃね?
「だけど、その破けた所は?」
「あ...」
女子生徒は紫音の言葉でも気付き、表情が止まる。
「大丈夫です! 脱げばいいんですから! 脱げば! 」
「ええ!?」
そして、女子生徒はとの場で靴を脱ぎ、ストッキングを脱ぐ。
思春期の男の子である、紫音にそれは心に響いたのであった…。
「って!? ヤバい!!」
「どうしたんですか?」
紫音は時間がやばい事に気付くが女子生徒は分かっていない模様。
「時間がヤバイぞ!?」
「へっ!? 確かにこれは遅れます!?」
紫音の説明でようやく分かり、女子生徒は慌て出す。
はあ...これはもう仕方ない...
「...乗る?」
「二人乗りは危険だと思いますよ…?」
女子生徒は絶対に法律を守らないといけないという思想があり、それが行動を邪魔をする。
「よし、じゃ! バイバイ」
「ちょ、ちょっと待ってください! 私を乗せてください!!」
紫音が出発すると...
でも、初日で遅刻は嫌なのか、結局乗る事にするようだ。
紫音は仕方なく止まり、女子生徒を待つ。
「はいはい。しっかりと掴まってろよー」
「はい!」
それは腰か自転車で捕まってろっと言う意味で言ったのだが、後ろの彼女はすごい抱き着いている。
「...どうしてこうなった」
紫音は女子生徒に気づかれない程の小さな声で呟いたのだった。
そして高校へ付いた。そして後ろを向くと気付いておらず、目を瞑ってまだ抱き着いている。
「なあ、もう着いたんだけど、腹部を圧迫をしているのをどうかしてくれ」
「へっ? ああ、ごめんね。乗せてくれてありがとう!」
「別に気にしなくていいぞ」
女子生徒はそれに気付き、自転車から降りてお礼を言った。
「じゃあ駐輪場言ってくるからここでバイバイだな。」
「じゃあね! 」
「ああ」
女子生徒と別れを告げ、駐輪場で自転車を停めてから入学式の会場である体育館へ向かう。
「おおぅ...ヤバいヤバい...あと1分じゃないか!?」
体育館へ走り、なんとか間に合い、先生に来てるかのチェックを入れてもらい、指定された椅子に座る。
見知った中学の頃の喋りもしなかった同級生を数人見かける中、それ以外は知らない人だ。
「大体、みんな緊張してるな...」
見て分かるほど、皆しっかりとしている。まあ、コレが一年経過したら中だるみするんだろうけどな…。
おっと、入学式が始まった。
放送部とかマジで大変そうだよなー...俺だったら部活とか委員会とかやる気にならない。
だけど、創造神となって世界を纏め上げる英雄となる人材を探す必要があるし、積極的に人と関わらないとな...
そんな事を考えていると、既に校長先生の挨拶は終わっており、生徒会長の言葉と新入生代表の言葉に入る。
ってあれ...?新入生代表、何処かで見た気がするんだが...?
「っ!?...っ!?」
思わず、二度見してしまう。
それは...新入生代表が先程、自転車に乗せていた女子生徒だったのから...