創造神は実は、世界を管理する会社みたいなモノだった的な?
なにか、ふわふわっとした不思議な気配を感じ、目が覚める。
「...知らない天井だ」
そこには白い天井...と言うよりも白っぽいモヤが見える。
「ここは...?」
とりあえず上半身を持ち上げ、今の現状を把握する。
地平線が見えるような白く開けた空間。その空間には何も...いや、あった。
あったと言うよりも居たという方が正しいか...
そこには、巫女装束を着て、黒子っぽいの衣装みたいな形の白い布を頭に被っている女の子? ...体型的には女の子がそこに佇んでいた。
「あの...?」
「ようこそ...。坂本紫音様。坂本竜太様の消滅によりあなたは第一創造神継承権を所有されておられるため、創造神になる事の出来る権利が与えられました…」
巫女装束の女の子に、なんでこんな所にいるのか聞こうとするが先に女の子が喋り出す。
「父さん...?」
坂本竜太...この名前は忘れるはずは無い。なぜなら俺の父親だから...。
父さんはいつも海外へ出張している為、家におらず、母は病気で俺が五歳の時に死んでおり、俺は一人暮らしをしていた。
「なんで、父さんが消滅したんだ? そして俺に何をしろと?」
「坂本竜太様は創造神をしておりましたが、邪神の手のひらで踊らされ、人類に特別な力をばら撒き、世界に大きな変化を与えてしまいました。」
「父さん...が創造神だったとは...」
確かに創造神である父さんの相続には一人息子の俺が継ぐ必要が有るだろう...しかし、まさか、創造神が父さんだったとは…
「坂本竜太様は邪神との協力行為をしてしまい、最高神様に消されてしまいました。そして今回は世界に大きな変化があったので世界の寿命に影響が出まして、寿命が半分になりました...」
「世界の寿命を半分にする程の事を...」
世界の寿命が半分になる程の...しかし、コレが半分で済むハズない。
人が大きな力を持ったらどうするか。それは欲を満たすことに使われる。
警官に反抗できるほどの力があれば、犯罪も容易。
嫌いな奴は殺せばいい。何故ならば、この力があるのなら誰にも邪魔されないから...
人が全員、武器を持っている状態でマトモに生活出来るのだろうか…否。
欲を制御できるのだろうか…否。
そして、高ランクの異能力、低ランクの異能力持ちが平等であるか…否。
誰しもが人を傷付ける力をもっている殺伐とした世界になってしまう。
そして、戦争が多発し、環境を破壊し、さらに世界の寿命を減らす事になるだろう。
「坂本紫音様がするべき事は一つです。坂本竜太様を継ぎ、創造神となる事です。そして世界を制御するのです」
創造神...。神になるという事か...? これは15歳ではキツすぎるのでは?
「俺が神にならなかったら?」
「世界が終わりを遂げます」
巫女装束の女の子はサラリとそう告げた…。
「少し待ってくれ...」
「世界は創造神がいないと、徐々に寿命が普通より早く削れていきます」
っちょ!? マジか...まあ、なるなら人間より神の方が位が高いだろう...
「分かった。俺を創造神にしてくれ」
「了解しました。創造神、坂本竜太から第一創造神継承権、坂本紫音に創造神の設定を移行します」
目の前の女の子は淡々と言葉を発していく。彼女が顔に被った白い布越しに青い光が漏れる。
おそらく、位置的に目であろう。左側の目が発光したのだ。
「そんで、創造神は何をすればいいんだ?」
「簡単に言えば世界をより良くする事です。実際、最高神に雇われている世界を管理する会社みたいな感じです」
「世界をより良くする事って難しくないか? 大きな変化を加えると寿命減るし...」
世界をより良くするには様々な手段がある。だがしかしその手段を取ってしまうと寿命が減る可能性が有るのだ。
「世界に大きな変化を与えず、個人に変化を与える事で小さな変化で抑えられます」
「なるほど...」
例えば、大きな変化は、全員の異能力を無くす。まあこれは、使うと世界の寿命が酷いことになるので出来ない。
個人に変化を与えるという事は、世界を治せる人材を探し、能力を与え、英雄を育成しろという事か。
「まあ、坂本紫音様も神とはバレない程度に変化可能です」
「えぇ...」
流石に、英雄とかにはなりたくない。というか、向いてない。そして周りから頼られる程、人間の器は無いし...
「じゃあ、とりあえず...君のこと教えてよ」
とりあえず、相手だけ名前を知っているのは話しずらい。
「私は世界管理システムです。名前はありません」
「君はシステムなのか…! とても人間じゃないとは思えない...」
目の前の女の子はなんと…世界を動かし管理する。システムであった。
「じゃあ、名前をつけていいか」
「可能です」
じゃあ名前をつけるか...システム...シスとか? は男っぽいか…。じゃあ管理の『り』を入れてリシスだな!
「じゃあ名前は、リシスちゃん? 」
「坂本紫音様は私をちゃんなど呼ぶ必要は無いです」
「分かった、リシス」
「坂本紫音様。お名前、ありがとうございます。」
「ああ」
リシスにはまだ色々聞く必要がある。創造神についてだ...
「創造神が出来ることは?」
「設定の書き換えです。それはここ、神界で私を通してしか出来ません」
設定の書き換えか...強いな。そして、やはりここは神界なのか…
「では、まだ、坂本紫音様はまだ異能力を一つ持った普通の人間なのでチュートリアルとして自分自身に最低限の防御能力を与えましょう。」
「ああ」
「まず、私の身体に触り、設定対象。設定するモノ。どんな設定か。の3つを思い浮かべ、想像し私に送るようにして下さい」
ほう...じゃあ、自分自身、異能力、能力名だな。
「じゃあ、始めるぞ」
「了解致しました」
流石に胴体や顔を触るのはどうだろうか...ここは普通に手から...
リシスに手を伸ばすと、リシスがそこに手を置く。
「よし...じゃっ!?」
「こうした方が想像したモノが私に送信しやすいんです」
リシスに想像するモノを考えようとしたら、リシスの顔が近付いてきて、おデコとおデコが布越しに当たる。心なしか吐息が当たり、少し生暖かい。
「あ、ああ!」
動揺したものの再度、想像する。じゃあ、とりあえず死なないように、避けるためのものを考えよう。
でも完全回避だと、能力がバレてしまうから、死亡しそうな時だけにしよう。
死亡回避といったところか…
坂本紫音、異能力、死亡回避...そしてリシスのデコに集中を向ける。
リシスの目が青く光る。
「書き換えを完了しました」
終わったか…じゃあ確認してみるか
「[ステータス]」
淡い水色のプレートが宙に出てくる。
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サカモト・シオン
異能力名:瞬間加工
ランク: B
説明欄:瞬間的に加工を行うことが出来る異能力。加工には材料のみ必要で、材料が曲がったり、加工が容易でないモノは切り屑が地面に落とされるようになる。
※その材料に手を置くことが必要で、加工の形状は想像力が要求される。
異能力名:死亡回避
ランク: A
説明欄:本来、命中し死亡するはずの攻撃を確率で回避する。
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確率か...これは微妙だな...
「もう1回やるぞ...」
「了解です」
リシスとデコをくっつけ合い、想像したモノを送る。
想像したモノはこれだ。
坂本紫音、異能力、幸運。と、坂本紫音、異能力、豪運だ。
これさえあれば高確率で死亡を回避で出来るだろう。
「2つですね。了解しました」
またしてもリシスの目が青く光る。
「完了しました」
「よし、[ステータス]」
ステータスを確認し、先程の書き換えが行われているか見る。
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サカモト・シオン
異能力名:瞬間加工
ランク: B
説明欄:瞬間的に加工を行うことが出来る異能力。加工には材料のみ必要で、材料が曲がったり、加工が容易でないモノは切り屑が地面に落とされるようになる。
※その材料に手を置くことが必要で、加工の形状は想像力が要求される。
異能力名:死亡回避
ランク: A
説明欄:本来、命中し死亡するはずの攻撃を確率で回避する。
異能力名:幸運
ランク: D
説明欄:運がほんの少し、上がる。
異能力名:豪運
ランク: A
説明欄:運が凄まじく上がる。周りに影響を及ぼす程。
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うまく出来たようだな…。これで死なないだろう。
「ところで、坂本紫音様? 神界の時間と世界の時間が違いますので現実で3日ほど経っておりますが、戻らなくても宜しいのですか?」
「あ、やべ...」
そういえば、高校の入学式があるんだった。ヤバい。明日じゃないか!!
「戻る!! どうしたらここを移動出来るんだ?」
「ここの風景を思い浮かべたら神界へ。世界の風景を思い浮かべたら、その世界に飛びます」
慌てて戻ろうとすると、リシスから説明を受けた。
「よし、じゃあ...」
そして、自分の家のリビングを思い浮かべ飛ぶ。
「いってらしゃいまs」
リシスの声が途切れ、気が付くと自分の家のリビングに佇んでいた。
今さっきの事は本当だったのだろうか...
「......[ステータス]」
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サカモト・シオン
異能力名:瞬間加工
ランク: B
説明欄:瞬間的に加工を行うことが出来る異能力。加工には材料のみ必要で、材料が曲がったり、加工が容易でないモノは切り屑が地面に落とされるようになる。
※その材料に手を置くことが必要で、加工の形状は想像力が要求される。
異能力名:死亡回避
ランク: A
説明欄:本来、命中し死亡するはずの攻撃を確率で回避する。
異能力名:幸運
ランク: D
説明欄:運がほんの少し、上がる。
異能力名:豪運
ランク: A
説明欄:運が凄まじく上がる。周りに影響を及ぼす程。
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「...本当の事だったか...」
じゃあ俺がすべきことは…
英雄となる人材を探す事だな。勿論、俺は裏方役の目立たない存在で影で支えていく。
英雄を育成し、世界中の人々を取り締まり、これ以上世界の寿命を減らさないようにする。それが創造神の俺がやるべき事だ。
まずは高校で英雄となる人材を探すか...