表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/4

始まりのキス

夜の学校、使われてない教室、そこは扉のみ残っていてコンクリートでとじられたところ

35年に一人、その教室の中へつながるカギを持っているものがいる

「きしきしきし」

そこにあるのは、少しばかり腐ったミイラと、青く光るランプ、黒板は血を流し

机はみんな、木片だ

「遅かったね」

彼女の声は屍の声

甘ったるい死の匂い

体の中から腐るような毒のある甘さ

それは今僕に向けられている

35年に一人の鍵の使い手にして、彼女の花婿である僕を

「おおわが主様よ、どうじゃ覚悟はできたか」

覚悟―つまり、ここでカギを折る

そしたら、もうカギは作られない、35年間誰にも

それも、かぎが新たに作られればだが、ほかならともかくこの教室で壊すのはまずい

なぜか、かぎが新たに作られなくなる

永遠の閉鎖

出口のない扉

「うん」

頷いて、僕はカギを彼女に渡した

ぽき

金属の鍵が折れる、まるで血のような断末魔のような感じでボロボロに崩れ散る、金粉が

戻れなさを表している

逃げ場はない、もう捨てた

ここで、「くふふふふ」

赤みがなくてまるで、鮮血を抜かれましたとでもいうような白

指がつっーと僕の腹をなでる

「さぁ、ちかおうぞ」

僕は出会った頃を思い出していた

それは四月のことである

どこからともなく手の中にかぎが現れ、そして夜

ふっと気づくとこの部屋にいた

「35年ぶりか、、、そちらから来ないから招いておったぞ

私は、ぐぜの、俗に言う悪の親玉さ

ああ、君はわからないであろうな、むろんそうであろう、私は」

漆黒の髪は夜の闇のようで、その瞳は見たものの希望をへし折る目だ

口は人の幸福を嘲り笑い、地に落とす怪物の唇、だというのにこう思わざるを得なかった

美しいと

彼女の声はよく響いてきてでも、体の震えが止まらない

「くふふふ」

微笑しながら顔を使づける

「私は、人の世を壊すために生み出された存在、魔女だ」

魔女、魔女とは

世界に絶望した者たちが作り出した最終兵器的なもの

「私はそのうちのグリード、強欲さ」

つっーと、指があごの下を這う

「ねぇ、死んで」

気が付けば血まみれだった

気絶したわけでもない、ただ直感的に判断した

自殺したのだおそらく、舌を噛み切って

そして、復活させられた

「あ、、、あ、、、、」

声は出ない、そこへ彼女が唇を重ねる

「どうだ、わが夫になり、世界を滅ぼさないか」

ーそれは、断るにはあまりにも魅力的だった、なぜなら

「その代わり、私自身を君にプレゼントしようーさぁ、選べ、世界か我か

4ヶ月の猶予を与える、夫となるそちはその間我を見ておけ」

そこ、そこで見たのは彼女自身である

嗤った顔、怒った顔、さげすんだ顔、慌てる顔

そして、僕はいつの間にか答えを出していた―いやはじめじからだしてたんだ

―そして、今僕は彼女に初めての、こちらからキスをした

そう、世界を滅ぼす最初のキスを



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ