魔法使いのフォルダ ~最強装備を辞めたいんです~
私は今、まさに魔法使いへとなる年齢へと至ったわけだが、これはいったいどうしたことだろう。なにか軽い啓示みたいなものを受けた気がする。
『君の魔法は、【フォルダ】。君が今まで集めてきたものが力になるよ。それじゃあ、楽しい魔法使いライフを楽しんでね。』
軽すぎて、いきなりすぎて頭が混乱するが、ためしに唱えてみることにした。
「フォルダ。」
そこにはスクール水着が召還された。普段の私ならばスルーするところだが、今の私はマッパである。しかたなく装備することにした。するとおかしなことに、サイズが自動調整された。これは魔法のスクール水着なのだろうか。
そんなことに戸惑っていると、狼の群れが現れた。森のような状況なのでおかしくはないだろうが、いきなりハードモードではないだろうか。
私は命の危機を感じたのだが、それもつかの間のことであった。狼が襲ってきたので回避しようとしたら、私の体は私の想像を超える動きをしたのである。これならば、逃げ切れるのではないかと思ったところに、死角から不意打ちをくらった。
「全然、痛くない。」
おかしいことに、狼の突進をくらった私の体にはなんのダメージもない。狼達も不思議がっている。そこからは一方的なフルボッコタイムが開始されたのだが、攻撃手段が素手で時間がかかってしまった。防御力はあるのに攻撃力は低いらしい。
命のやり取りを終えた瞬間に、いいアイデアが思いついた。もう一度魔法を唱えれば何か有用なアイテムが手にはいるはずである。私は再び魔法の呪文を唱えた。
「フォルダ。」
しかし、なにも起きなかった。回数制限があるのかもしれない。最悪なの最初の一回きりというものだが、後々検証していこう。
しかし、いい年したおっさんが森でスクール水着ではまずい。なんとか衣服を調達しなければならない。後はスクミズの性能を知りたい。スクミズに精神を集中させるとなんとなく、性能がわかった気がした。
なんとべんりだろう、しかも都合がよい。全部理解したわけではないが、水の魔法を使えるような気がした。これで飲み水の問題はなくなった。食料さえ獲得できれば、しばらくは生きていけるだろう。
私は水の魔法がどんなものか試していった。そして木を切り倒して、皮を剥いで、加工して、ウッドメイルとソードを作りあげた。
これで、一応人の目はごまかす事ができる。まぁ、ものすごいショボい冒険者としてだろうが。
魔法使いのフォルダ ~最強装備を辞めたいんです~2
森で一晩過ごして、二日目の朝となった私は再び魔法を唱えてみることにした。
「フォルダ。」
するとそこには美しい宝玉?が召還された。手に持ってみると宝玉ではないのが、なんとなくわかった。これは、あれだ。
「光る泥ダンゴだ。」
少し悲しくなった。しかし、いいこともあった、これがあれば土魔法が使える気がした。お腹が減っている、なんとか町を見つけたいと思っていたところだ。さっそく土魔法で自分の足元から土を盛り上げて、森の木々より高くした。
運がいいことに、森もなんとかぬけれそうだし、近くに町らしきものも見える。私は、町を目指すことにした。
おっさんならば、少しは辛いかもしれないが実は私はおっさんではない。見知らぬ森で夜をあかすことは危険だが、木でバリケードを作って朝を向かえることができた。水魔法で顔をあらし、地面の水たまりをみると私は若返っていた。もう、ウッドメイルに着替えるときに気がつけよという話だが、それだけショッキングなできごとだったということだ。
私はなんとか街に入ることができた。若者ということでウッドメイルでも生易しい視線で耐えることができる。さっそく私は商店で、狼を換金することにした。全部は持ち運べなかったが、体格や毛並みのよさそうなのを2匹ほどもってきたのである。
そこそこ高値で売れたと思いたい。ここでの相場も知らないし、貨幣の単位も違うのである。言葉はなんとか通じることはできたのだが文字はわからなかった。だから、信用できそうな店を選ぶに多少の時間をかけた。
得たお金でマントを購入することにした。そして、なんやかんや悪戦苦闘のすえに、宿をとることに成功した。そこで、私は状況を整理することにした。
フォルダの魔法を使えるのは1日に1回?、もしくは今後増えるかもしれない。フォルダから出てきた物から推測して、私のPCのフォルダに入っている物が召還される。召還されたアイテムには何かしらの力が宿っている可能性が高いというものである。
なにやら、今までの行動で疲れてしまったので早めに、食事をすませて寝ることにした。昨日は水しかのんでいなかったのだから。
魔法使いのフォルダ ~最強装備を辞めたいんです~3
宿屋で朝を向かえ恒例の魔法を唱えることにした。
「フォルダ。」
そこにはブルマが召還されていた。私は一瞬テンションが上がり、その分高くテンションが落下していった。さっそく手に持って精神を集中してみる。なにやら攻撃力があがりそうだ。たしかにスクミズは鉄板の鉄壁だし、ブルマも攻撃力は高いけど、たしかに高いんだけどそういうことでいいのか。
さっそくスクミズの上にブルマをはいていく。何かしらの高揚感に加えて体に力が沸いてくる。スクミズ・ブルマの完成である。完璧な変態の誕生である。宿を出て、狼を退治できる腕の持ち主ということをアピールしつつ、お金稼ぎと教養を身につけれることがないか探したら、冒険者の斡旋所みたいなところをみつけることができた。
さっそく依頼とばかりに狼を狩ってくることを依頼される。昨日までいた森にやってきて早速狩りを行うことにした。
上昇した身体能力に、鉄壁の防御に攻撃力。そして気休め程度のウッドソード。なんなく狩りを無事にすませて、昨日よりも多い3匹の狼を持ち帰ることに成功した。これで、生活に関しては問題がなくなる。
冒険者斡旋状で様々な依頼を受けて、森の生物をハントしていった。ときには魔法を練習したりもした。水と土の魔法を同時に使って、新しい使い道も研究していった。
うん、水魔法と土魔法の融合は危険だわ。ウォーターカッターやん。水流に小さく固い粒まぜたら、もう危険やん。さいしょ木倒すのに多少苦労したんに、1発やん。土魔法使えたら住む場所にも苦労せんし、簡単な建物や炊事場なんかすぐできるしね。狼にあったハードモードはもうなくて、ベリーイージーやん。
魔法使いのフォルダ ~最強装備を辞めたいんです~4
毎朝恒例の呪文詠唱。
「フォルダ」
そこには着ぐるみが召還されていた。恐竜の妖精の着ぐるみである。スクミズブルマで着ぐるみを着てみる。さらなる身体能力の向上を感じることができた。しかも、この着ぐるみのモデルはスポーツ万能、高い跳躍力などなどを備えていた。その力が私にも実行できてスポーツ万能という特徴は武器全般、つまりは武芸百般という形で現れることになった。
これにより、こんごどんな武器が召還されても使用できるのだが、この姿がまずい。まず、この世界には着ぐるみ文化なんかないので、よくて変態、最悪モンスターに間違えられてしまうかもしれない。なので、私は、大型のマントを買いにいくはめになった。
なんかとてもくやしい。スクミズもブルマも着ぐるみもつかっても汚れない効果があるようだ。しかもしかも、着ぐるみのなかは地獄だとか、臭いとかきいたことがあるがそれがいっこうにない。いつまででも、着れていられる感じである。脱ぐに脱げないじゃん。
この力があれば、この世界で生きていくことは簡単だろう。しかし、金はないので金の稼げる町に行くことが必要である。好都合なことに、ダンジョンのある町が近くにあるらしい。私は着ぐるみの効果のハイテンションを利用して、移動することにした。
恐竜の妖精の脚力に跳躍力で移動はスムーズである。あぁ、楽しみであるダンジョンの町。
魔法使いのフォルダ ~最強装備を辞めたいんです~5
もう、省略したいけど恒例の詠唱。
「フォルダ」
そこには、体操着が召還されていた。これって当たりかレアじゃない。あまたのフォルダの中身から上下セットがそろちゃったよ。早速装備してみることにした、やはりブルマとセットで装備するものだったか。防御力があがったのがはっかりとわかった。しかも、この世界での名前がしっかりと、ひらがなで書かれている。ここはポイントが高い。
ダンジョンの町に着くと、男どもが精力が尽きた顔をしていた。話に聞くと処女のサキュバスが暴れまわっているという。被害者の男達は口を揃えてこういう。彼女の捨て台詞はこうである。
「私を従わせられるのは、私以上の性欲を持つものか、私の真の名を知り言える者だけど。」
さっそく、私は彼女を捕まえることにした。夜になるとあっさり彼女は捕まえることができた。着ぐるみのパワーで妖精だけあって、悪魔などの存在を感じることができたのである。後は身体能力に任せてとりおさえる。
「放せ、放せ、緑の変なやつ。」
私は彼女に手をのばして・・・てやった。そう、上だけ体操着を着させたやった。すると体操着に彼女の名前が書かれていた。私はそれを口にした。
「うそ、名前を知られたのも信じられないけど、この世界の人間に発音できるわけがないのに。」
残念ながら、たぶんこの世界の人間じゃないと思うのでしかたがない。私は彼女を使い間にすることができた。