最強最弱の超能力者
どんな能力よりも強く誰にも負けない、
最強の可能性と最弱といえるデメリットの能力者。
彼はその力を使いこなせるのか?
オレはいま、時間を止めるべきか時間を止めないべきか迷っていた。
話は簡単だ。
オレは人生で1度だけ「時間を止める」ことができる。
「止める」だけで「戻す」「進める」はもちろん、
「ふたたび時間が進む状態」に還ることもできない。
この力を使えば誰にでも勝てるし世界を滅ぼせるが、
オレは永遠に止まった時間の中だ。
目の前の子供があとほんの数秒で車に轢かれる。迷っている時間は長くない。
時間を止めれば、子供を安全な場所へ移動させることは出来る。
オレはそのまま一生かえってこられない。
時間を止めなければ、オレはこの最強の力を持ったまま、
きっとこれからもこの平凡な人生を不安なく暮らしていける。
減速する気配のない車が少年の体にもう接触する。
決断の時は今しかない。
「…」
オレは背筋を伸ばしてやたら持ちにくい少年を抱えて、公園に立っている。
空を飛ぶハトやスズメが空中で停止している世界で、そっと少年を地に下ろす。
オレはもう二度と沈むことがない太陽を見て、
あんがい悪くない気分に浸っている。
時間停止ができたら面白そうだけど怖いなー。
といっている友人を見てたら思いつきました。
異能をすぐ思いつく人って凄いですよね。