表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/14

4. 最悪な目覚め

「ぺちゃ」


 何か湿ったものが頬を撫でる感触で、俺は意識を覚醒させた。

 例えるならばその感触は……雑巾。表面がザラザラしていて、俺のすべすべお肌には刺激が強すぎる。

 もしかして、本当に雑巾でもこすりつけられたのだろうか? その「何か」が触れたところは濡れてしまってスースーする。気持ちが悪い。

 でも俺は目を開けないでいた。何故ならば、俺の頭の下にある枕の様なものが、女性の太ももみたいな感触だったからだ。ふにゅふにゅ〜、ぽわぽわ〜って感じだ。

 まあ、どうせ膝枕されたことないお前らには分からんだろ!

  俺もないがな。


 とにかく、俺は綺麗なお姉さんに膝枕してもらう妄想に浸りたいのである。故に目は開けない。


「起きぬな」


 妄想が、お姉さんに耳かきをして貰うところまで差し掛かったとき、俺の耳に低いイケメンボイスが届いた。誰だろうか。妄想の邪魔をしないでくれたまえ。


「そだねー。俺の『必殺!垢()めの術!』でも起きなかったねー」


 今度は少し可愛らしい男子の声だ。なるほど、理解した。この2人は俺を起こそうとしているんだな。

 しかし、垢嘗めの術って何だろう。必殺って、起こそうとしてんのに殺しちゃあかんやろ。


「なんかさー、この人間の纏う法力の所為かなー、舌がピリピリ痺れるんだけどー」


 可愛い声が不満そうに言った。

 舌……? 俺の法力って舌を痺れさせるのか? 何その薬の副作用みたいな効果。初耳だわ。


「はあ。(われ)もこれの頭が乗ってるところが痺れてきた。やはり法力は恐ろしい」


 イケボが溜息を吐く。待って、もしかして俺、こいつに膝枕されてんの?

 うわー……。

 でも感触が女性ならば問題ない。妄想には充分だ。

 俺は再び綺麗なお姉さんを想像し直そうとした。

 ライトブラウンのふわふわボブでえ、唇は桜色でえ、大きな目は薄い茶色お。やべっ、ちょー可愛い。


「起きないならもう一回舐めてみようか?」


 可愛い声がイケボに向かって提案した。

 ん、もう一回舐めるって何?

 もう一回ってことは……もう既に舐められたってこと?


 いつだ!? いつ俺は舐められた!?

 ハッ! もしや俺の頬を湿らせているこの液体は……!?


 その答えに思い当たった瞬間、俺はバチッと音でも出そうな勢いで目を開けた。


 俺のつぶらな瞳に映ったのは、俺のすべすべお肌を舐めんとする真っ赤な舌。

 そしてその大きな舌の持ち主である醜い化け物の姿だった。


「ぎゃああああああ!」


 その断末魔の叫びが自分の出したものだと気付く前に、俺の意識は底なしの闇へと沈んで行った。







読んでくださりありがとうございます。


趣味で書いている連載ですが、多くの人に楽しんでもらいたいので、改善点等を知りたいと思っております。絶賛感想募集中です。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ