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時代廻り  作者: アタリ缶
1/1

1話

初めまして、初投稿です。

最初なので自己紹介を。

いつもは身内でTRPGのシナリオを書いて遊んでいる、アタリ缶といいます。

珍しく、というより趣味の延長線上ということで、投稿させていただきました。

読んでいただけると幸いです。

こんにちは。

今から僕の犯した罪の話をしよう。

人の犯罪の話、なんて縁起でもないし聞きたくもないかもしれない。

だけれど、ここまで読んでくれているのなら、少しくらい話を聞いていってくれ。

ある冬の話だ。


「おはようりんか」

僕はいつものように彼女に話しかける。

「おはよー、今日も気だるそうだねぇ」

彼女は佐伯凜華、僕の親友にして唯一の友人にして、僕が密かに想いを寄せている相手でもある。

そしてここは普通の公立高校だ。

中の下くらいの成績で普通に受かってしまうような、そんな程度の高校だよ。

おっと自己紹介を忘れていた。

僕は宇佐裕貴、この話の語り手にして、この話のメインである罪を犯した人間だ。

人間だなんて、相当な皮肉だけども。

「そりゃあ、学校なんて面倒なだけだろ?」

当たり前の生活に当たり前の日常、ありがちな普通、そして彼女の存在、僕はそれだけでよかった。

自らに人ならぬものを隠して。


「そうだけど…あ、そういえば今日の課題何かあったかな?」

いつもの会話、全てが日常。

ただとある日、例外が起きた。

そしてその日、僕は罪を犯した。


何気ない会話の最中、彼女はこう言った。

「あのね、実は、那須くんと付き合うことになったの。」

「…え?」

突拍子もないひとことに、僕は固まった。

「そのね、ずっと那須くんが好きだったんだよ、私、それでね、告白したらOKしてもらえたの!」

那須と言えばあれじゃないか、酷く悪い噂のある、垂らしで女をころころと変えている、と、そんなやつだ、と。

「で、でも、待って、那須の噂は知っているの、?」

震える声で言った。

「うん!でも、話してみたらなんだかいい人そうでね!優しくて、気さくで!」

彼女は酷く高揚し、嬉しそうだった。

それだからこそ、怖かった。

「…そっか、よかったね、りんか。」

つい声のトーンが低くなってしまった。

酷く苦しい。

多分、今の自分は醜い、心も、顔も。

「ゆーくん?どうしたの?辛そうな顔だよ?」

自分の心配は彼女には伝わっていないようだ、体を走る血液が速度を速めるような感覚がしている。

「ゆーくん!ゆーくん!どうしたの!?」

取り乱した凜華の声を聞きながら返す。

「大丈夫だよ、少しふらっときただけだから」

取り乱しているのはこちらもだったが、当時の僕に色々考える余地はなく、ただ一つ、現実を受け入れられないという現実逃避に望んでいた。

「そ、そう?ほんとに?心配なんだからね?」

その心配もこれで2番目になるのだろう、おまけになるのだろう、付属品だ。

あまり鬱に、俯きがちに考えてはいけないとわかっていてもどうしても考えることをやめられないのだ、だってそうとしか考えられなかったから。

「ごめん、今日はもう帰るよ」

え?え!?と動揺を繰り返す彼女をよそに来たばかりで机に入れてもない教科書の入ったカバンを背負い、僕は教室を後にした。

後ろからひたすらに名前を呼ばれていたような気がするけれど、その時の僕に声は遠かった。

早退の旨を帰りに通りかかった担任に酷く震えた声で告げ、僕はまだ早朝の学校を自転車で去った。

帰り道でも僕の目には最低限見るべきである下校路の信号やぶつかりそうな歩行者のみが映っていた。

遅刻だと急ぐ同校の生徒とは真逆の方向へ自転車を走らせる、何も考えないように走り続けると、家についた。

我が家はマンションで、母との二人暮らしである、僕は自転車を止めると、足早にエレベーターを呼び、自分の住まう8階のボタンを押す。

今の時間なら母ももう仕事に行っているだろう。

エレベーターの上がっていく音は、自分の心のような重低音だった。

「…ただいま。」

帰ってすぐに制服のまま自分の部屋のベッドへと向かう。

そこからは、ただただ泣き続けた。

泣き続け、哭いた。

同じ意味の言葉だけれど、自己解釈として大小の差があったと考えてもらえればいい。

最初はしとしとと、静かに泣いていた、だが、しばらくすると大声で哭き始めたのである。

泣いても泣いても、何も変わらないが、それでも哭き続けた、やっと落ち着いたという頃にはお昼になっていた。

ベッドの上には赤い涙が溜まっていた。

「ああ、またやってしまった。」

しかし、どうにかするわけでもなく、僕はリビングへ向かう。

もちろん昼食を取るためである、赤い涙というものは僕の種族では仕方ないことでもあったから故に、血に濡れた布団より昼食を優先したのだ。

僕や母は、竜血種と呼ばれている。

呼ばれてはいるが、それはあくまで専門家の中でだが。

僕は父が人間、母が竜血種のハーフボーイだ、竜血種というものは、昔、竜が作った人間の祖先らしい。

魔法が使え、身体能力が人ならざるものをしている、そういう人間もどき、が僕である。

設定紹介の間にも話は進む。

昼食を取った、カップのやきそばだ、完成しても味を感じなかった。何も、何も。

それ以上は永遠と自室で座ったり、寝転がったりしているだけだった。

そのまま、僕は眠りにつく。

数時間後、携帯のブザーで僕は目を覚ます。

「うわ…っ、目、赤すぎだな…」

ブザーが鳴る携帯に映る顔を見ながら、ブザーのなる原因、かけられてきた通話に出た。

「ゆーくん!?やっとでた、大丈夫!?大丈夫なの!?」

やはり凜華だったことに安心感を覚えつつも、小さな嫌悪感が自分の胸の中では膨らみ始めていた。

それは彼女が受けいれられないから、現実を見つめたくないから。

漫画でよく見る感情だろう、苦しいのである、何年も愛おしく、ずっと想いを寄せてきた相手が、たったひとことで攫われたような気分になったからだ。

「…大丈夫」

「そっか…」

「うん、切るね」

もはや自暴自棄だった、あからさまに彼女を避けようとしている。

こんなことをしても意味が無いというのに。

「ゆーくんは、私のこと、嫌い?」

何故こんな残酷な質問をするのだろう、何も気づいていないのだろうか、やはり口にしないと理解されないのか、それとも。

「…放っておいてくれ」

そう答えると通話を切った。


それから3日、学校にも行かず引きこもった僕は、とても言い表せないほど醜いものだったと思う、仕方ないことではないのだろうか?、僕はただ、目の前を立ちふさがるように現れた現実に、怯えに怯え続けていた。

そんな最中、通話を切ってから音沙汰のなかった携帯に、一本のメールが届いた。


件名 ごめんなさい


「…は?」

そのメールには、人の首を這うように舐めながら、愉悦の表情を浮かべる那須と、舌で舐めまわされている、とても苦しそうな、嫌そうな、そんな凜華の姿があった。

どうだったでしょうか。

完全オリジナルの小説なんて書いたのは初めてだったので、TRPGのシナリオと全然勝手が違うなと感じています。

更新は気分次第ですが、今後ともよければご愛読下さいませ。

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