8 ガイド
2017.1.1 章管理導入に伴い改稿
「身分証か、紹介状を拝見させてください。まさか、持ってないの?」
『下僕、聞こえているか?声は出すなよ! お前、身分証を持っているか、持っていたら左の耳を手でつまめ』
テスタは、少し考えると左耳をつまんだ。
『よし、じゃあ身分証を見せて、俺のことは、お前の連れだと言え』
「あの、これを。それと、この人は私の連れです。昨日、田舎から出てきたばかりで書類が出来ていないんです」
「へー、お医者様ですか。医師等の一級市民は、ゲスト5人まで招待できますから結構ですよ。ところで、ガイドは必要ありませんか?」
「それでは、お願いしようかしら。この人で、良いわね?」
『なかなか、上手いじゃないか。』俺は、無言で頷いた。
『くっ、なんか 悔しい』
「では、ご案内いたします。ガイドを勤めますのは、わたくし、加藤茶阿です。チャー(茶阿)と呼んでくださいね。よろしくお願いします、テスタロッサさん、えーとあなたは?」
茶阿は、小首を傾げて俺の瞳を見つめた。
「俺は、ジョージだ」
「はい、ジョージさん、よろしくお願いしますね」
「ジョージさん、もっと笑ってください。そうだ、テスタさん、くすぐってあげてください。はい撮りますよ❗」
「あはは、あんた結構笑うと憎めないね」
「ふ、ほっとけ」俺たちは天守閣にある大展望大で記念撮影をした。
しかしというか、やはり一般の見学では重要施設を拝むことは叶わないか。
「さすがに、地上八00メートルからの眺めはすばらしいなあ。ところで、
来週のイベントに参加したいんだがどうすれば、いいのかな?」
天守閣展望台に来る途中、ドイツ製戦車のポスターに『挑戦者、求む』の文字がどうも気になってしょうがないので茶阿に聞いてみた。
「本気なの?なら、エントリーシートは、ここにあるから書いて。私が後で提出しとくから。頑張ってね、応援するから」
なぜか、目だけ笑ってない茶阿に、礼を言う。
「ありがとう、今日は楽しかったよ」
次回 異種格闘戦